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ノルティア国誕生編

episode 22 5年ぶりの再会。

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 あれは5年前。
舞踏会の会場がノルウェル王国で行われた時に僕らラスタード帝国の王族も招待された。
 当時のラスタード帝国は二代国の『ノルウェル』と『バスターナ』には遠く及ばない国だった事もあり、舞踏会の際外国には勇んで足を運ばされていた。

 人に酔ってしまった僕は一人でコッソリとテラスに出ると星を眺めていた。
 すると、庭の辺りから女の子がすすり泣く声が聞こえて思わず駆け出していた。

 庭を探すと金髪で目は青の澄んだ瞳をしていた。僕は思わず、その子に手を差し伸べると手を取り合ってダンスを踊った。

 まぁ……テンパって無言でダンスを強制したのにも関わらず、下手なのがバレて笑われてしまったけど……泣いてる顔よりも笑っている方が可愛らしいと思ってしまったっけ。

 
      ―姫君到着日 当日。―
 昔の記憶を掘り出しながら出た答えは……
 
「待て…考えても"黒歴史"なんだが!?手紙を出される何かをした記憶が無いんだけど……」
「黒歴史は気になりますが、ソロソロお出迎えの準備をなさいませんと。」
「分かった……行ってきます!」

 僕は移動中も何が起きているのか、どうして姫君は会いにきたのかをずっと考えていたが、到着しても答えは出ないでいた。
(うん!考えることを止めよう!!)

 ノルウェル王国はラスタード帝国と違い、武力国家では無いけど兵士の質や志願兵の多さでは帝国は負けているだろう。

 つまり、『国民が国を幸せにした形』これが強みだろうか…だから、今回の訪問は姫君が来ることもあり、厳重警戒で来るだろうからラスタード帝国にバレないように気をつけないと。

「来た…って何て人の数なんだ!?」
(何百人連れてきてるんだ?!)

 馬車の中でも絢爛豪華な装飾品であしらわれた馬車が目の前に止まった。
 当然の様に周りには屈強な兵士が取り囲んでいる中……馬車から降りたったのは金髪の長い髪を後ろで束ねて綺麗な青いリボンを付けていた。

「ご機嫌麗しゅうノル様。わたくしはエリーナです。
 レイチャード様より、お噂は予々かねがね聞き及んでおります。」
「お久しぶりです。エリーナ・ノルウェル様!」
「敬称は不要ですわ!」
(だって敬称は大事でしょうよ?)
「ご存じかもですが、僕は今は王族ではないですやので……それはちょっと。」
「ノル様の経緯は理解しておりますが、私には関係ございません…だって私がそう望んでいるのですから気にせず……エリーナと呼んでください。」
「分かったよ。これからエリーナって呼ぶよ。」

 エリーナはとても真っ直ぐで前に会った時よりも美しい女性レディになっていた。

 馬車から降りての立ち話と言うのと森から出た辺りもあり、魔物を気にしてエリーナの側近の男性が話を遮る形で会話に加わった。

「大変申し訳ありませんが、魔物が現れるかもしれないので出来ればゲストハウスで積もる話をなさって頂けると……」
「あっ……こ、こちらこそ失礼しました!」
(エリーナは姫君だ。その人をこんな場所で立ち話させてしまうなんて……かなりの失態だ。)

「もう…アルトロスってばッ!!」
「申し訳ありません……エリーナ様!」

 少しムスッとエリーナはしていたが、直ぐに機嫌は直っていた。
『ゲストハウスで沢山お話ししましょう!』って言ったのが良かったのかは分からないが……

 

 

 

 
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