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29話 調査と真実。
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「大人しく入っていろよぉ~グヘッ!」
一人だけ個室の部屋に放り投げられて地面に強く身体を打ちつけた。
しかし、起きているのを悟られてはいけないと我慢して奴がいなくなるのを待った。
「あれ?鍵がねぇ…どこに落としたんだっけ?」
「あれ?あれ?あーれ?」
ドアを握りながら動かすと錆びているせいか動きが悪くなっていた。
鍵を失くしたが、ドアが動きにくいことを知ると奴は頭を使わずに考えることを止めた。
「まぁ……イイか!どうせ硬えし。」
「逃げれっこねぇよな!」
鍵だけ付けずにそのまま奴は何処かへと行ってしまった。周りの劣悪な環境で精神も肉体も疲弊してしまっている子供達がいっぱい居た。
「行ったっぽいな。」
「皆んな…助けに来たよ!」
しかし、反応がない。ずっと暴力を受けたり、逃げ出せない恐怖を刻まれた結果…逃げる希望を失ってしまっている。
「もう少しだけ……待ってて!」
僕はこの状況を告発する為に首謀者、関係者、どの程度の規模の組織図を明らかにする為に潜入して証拠を手に入れる為にアジトの中を一人で動き回っていた。
この場所は地下通路は下水道をそのまま使っていてあちらこちらに壁に穴を開けて牢獄のような部屋をいくつも作っている。
隠れて悪さするには適した環境なのかもしれないと思いながら慎重に見つからないように進む。
収容する場所と異なり、見た目からしてしっかりとした部屋が数はそう多く無いけど、見つけた。
「あれ……怪しいな。」
「他とは頑丈さが違うし、隠すのにイイ……」
運良く、近くにある頑丈な部屋の扉が開いているのを見つけて中に入る。
中に入ると資料の保管庫らしい場所で棚がいくつもあり、書類が山積みになっていた。
「当たりッポイ!」
「証拠になる書類……」
物色していると何枚かの書類に目が止まる。
「これ…帝国印じゃないかッ!」
「これも…これも……これもだ……」
ラスタード帝国に横流しする奴隷リストと費用の見積書や狂化ドラッグの販売などもあった。
どれも僕がラスタード帝国に在籍していた頃に抱えていた問題だったけど、奴隷問題は取り締まりを強化したはず……。
それに狂化ドラッグはほとんどが摘発してラスタードから撤退したはずなのに…。
僕はショッキングな内容とで周りに集中できていなかった…後ろから声を掛けられてハッとした。
「キミ…何をして……」
「あれ?レイチャード様の所にいたノル君?」
「あなたは…」
「あの時は名乗り遅れてすまない。」
「ボクはロバート・アルニーニョだ。」
「ロバートさんはどうしてここに!?」
「怪しげな奴らを追ったらここにね…」
(怪しい……けど、レイチャード殿の関係者ならば信用できるか…?)
「ノル君は何を?」
「僕も怪しい連中を捕まえるために来ました!」
「そうか……でも、子供が無茶は良くないよ?」
「後は任せて地上に戻っていな?」
「奥にもたくさんの子供が囚われています…」
「助けてあげてください!」
「分かった!助けるとしよう…。」
「さぁ、その書類はボクが持つから渡して…」
手を伸ばすロバートの手の甲にはさっき見たはずのタトゥーがロバートにも刻まれていたのだった。
一人だけ個室の部屋に放り投げられて地面に強く身体を打ちつけた。
しかし、起きているのを悟られてはいけないと我慢して奴がいなくなるのを待った。
「あれ?鍵がねぇ…どこに落としたんだっけ?」
「あれ?あれ?あーれ?」
ドアを握りながら動かすと錆びているせいか動きが悪くなっていた。
鍵を失くしたが、ドアが動きにくいことを知ると奴は頭を使わずに考えることを止めた。
「まぁ……イイか!どうせ硬えし。」
「逃げれっこねぇよな!」
鍵だけ付けずにそのまま奴は何処かへと行ってしまった。周りの劣悪な環境で精神も肉体も疲弊してしまっている子供達がいっぱい居た。
「行ったっぽいな。」
「皆んな…助けに来たよ!」
しかし、反応がない。ずっと暴力を受けたり、逃げ出せない恐怖を刻まれた結果…逃げる希望を失ってしまっている。
「もう少しだけ……待ってて!」
僕はこの状況を告発する為に首謀者、関係者、どの程度の規模の組織図を明らかにする為に潜入して証拠を手に入れる為にアジトの中を一人で動き回っていた。
この場所は地下通路は下水道をそのまま使っていてあちらこちらに壁に穴を開けて牢獄のような部屋をいくつも作っている。
隠れて悪さするには適した環境なのかもしれないと思いながら慎重に見つからないように進む。
収容する場所と異なり、見た目からしてしっかりとした部屋が数はそう多く無いけど、見つけた。
「あれ……怪しいな。」
「他とは頑丈さが違うし、隠すのにイイ……」
運良く、近くにある頑丈な部屋の扉が開いているのを見つけて中に入る。
中に入ると資料の保管庫らしい場所で棚がいくつもあり、書類が山積みになっていた。
「当たりッポイ!」
「証拠になる書類……」
物色していると何枚かの書類に目が止まる。
「これ…帝国印じゃないかッ!」
「これも…これも……これもだ……」
ラスタード帝国に横流しする奴隷リストと費用の見積書や狂化ドラッグの販売などもあった。
どれも僕がラスタード帝国に在籍していた頃に抱えていた問題だったけど、奴隷問題は取り締まりを強化したはず……。
それに狂化ドラッグはほとんどが摘発してラスタードから撤退したはずなのに…。
僕はショッキングな内容とで周りに集中できていなかった…後ろから声を掛けられてハッとした。
「キミ…何をして……」
「あれ?レイチャード様の所にいたノル君?」
「あなたは…」
「あの時は名乗り遅れてすまない。」
「ボクはロバート・アルニーニョだ。」
「ロバートさんはどうしてここに!?」
「怪しげな奴らを追ったらここにね…」
(怪しい……けど、レイチャード殿の関係者ならば信用できるか…?)
「ノル君は何を?」
「僕も怪しい連中を捕まえるために来ました!」
「そうか……でも、子供が無茶は良くないよ?」
「後は任せて地上に戻っていな?」
「奥にもたくさんの子供が囚われています…」
「助けてあげてください!」
「分かった!助けるとしよう…。」
「さぁ、その書類はボクが持つから渡して…」
手を伸ばすロバートの手の甲にはさっき見たはずのタトゥーがロバートにも刻まれていたのだった。
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