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28話 囚われのノル!?

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「ガタガタ…ガタガタ…ガタガタ……ガタン!」

 なんだろ……揺れているような……僕は確か……あの子のお母さんを助ける為に看病をしてたっけ。

「ん?何で揺れてんだ……」

 薄らと目を開けると辺りは薄暗く、狭い空間にいるようだ。それと時よりガタンと全体が揺れている感じに僕は思い出していた。

 あの時、誰かに殴られて気を失って……気付いたらこんな場所に居て縛られている状況を言葉で言い表すならば……『誘拐』か!?

 待て待て……なんで僕なんだ?

「あっ……」

 金を持ってそうな子供だったからか…金は無いけど、見た目だけでも見栄え良くしたのが失敗だったか!

「なら、話は簡単…縄は容易に外せる」
「馬車からも逃げるのは楽勝だけど……」

 連れ去りが単なる奴隷売買目的ならば着いた先で無力化すれば良い。
 けど、僕が目的なら……帝国の密偵とかに見つかったならば問題はかなり深刻になる。

「ん~。どうしようかな……」

 一人でヒソヒソと話してるのもちょい寂しいけど、しばらくはこのまま連れ去られてみよう!

「他にも幼い子が連れ去られてるかもだしね…」


        ―数時間後―
「馬車が止まった……」

 起きてるとバレたら少し面倒だから気絶してるって装って様子を見ようか。

 荷台の後ろのカバーが開くと明るい朝の光が中に伸びる。薄目で見ると周りには気絶させられている子が多数見られた。

「明らかに暴行された子…薬を盛られている子…」
「異常事態だ。」

 やはり、全容解明の為に全て知ってから行動しよう……じゃないと全員、助けきれない。
 
(ルシアにバレたら首輪付けられそう…)

「おら!ささっと歩きやがれッ!」
「こいつ…もう動かねぇ……捨てるか?」
「勿体ねぇだろうが!」
「この女は顔がイイから相手させよう!」

 ろくでもない話があちらこちらから聞こえてくるが……我慢するしかない。
 これで全て把握できたらコイツらを一網打尽にして捕まっている人々を救出しよう。

「おい!」
「何すか!?」

「まだ、そいつは寝てんのか?」
「へい!ボンボンはグッスリですぜ。」

「お前、前の時に後ろから後頭部を強打して頭蓋骨ごと粉砕して殺した前科あるよな?」
「前のは女の子だったから加減を間違えた」

 コイツ…だからあの時、一撃で気絶したのか!
常に身体強化を掛けていたのに……どんだけ強く殴ったんだ!普通に死んでたかもしれないって…怖いんだが……!?

「まぁ、死んでねぇならイイや!」
「変態の貴族に売れば大金が手に入るしな!」
 
「グヘッ!オモチャ欲しい…」
「成功したらカワイイ子を回してやるよ」

「そいつは監禁室に入れておけよ?」
「わかった……監禁…幼女……」

「お前……幼女って男だろ?」
「グヘッ…グヘッ」

「はぁ……」
「グヘッとか言い出すと人の話が聞こえなくなるからな……あいつ。」

 監禁室って…厄介な場所に閉じ込められたらマズイぞ……ん?
 待てよ…【グヘッ】って言ってる間はコイツの頭はお花畑なはず…なら監禁室の鍵を開けたタイミングを狙って奪い取る作戦だ!
 
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