26 / 30
26話 厄介ごと(2)ルシア編。
しおりを挟む
「では、デルカにノル様を任せます。」
「はーい。分かったぞ!」
私はデルカにノル様を任せて一人で宿屋の手配と食事処を探しに街を探索していた。
「やはり…町だけあって広いですね。」
「あっち側なら宿屋がありそうです。」
町は二種類の区画に分かれているらしく、富裕層の居住区と貧民層の居住区が7対3の割合のようですね…こんな時代だから無理もないか。
弱肉強食の世の理が生活困窮者を増やしている。もちろん…弱者を救済できるほど国が発展して幸福な環境下ならば全てを救うという戯言も叶えることはできるかもしれませんがね。
「見つけました。」
「ちょっと多いけど、宿屋の中ではマシな方でしょうかね。」
「レスタの宿屋…ここにしましょう。」
さっそく中に入るとちょうど一ヶ所だけ空いていて直ぐにそこの宿屋にチェックインした。
「さて、次は……食事処を探さないとですね」
宿屋を出て細道を歩き回りながら探していると誰か分からないけど、複数人からマークされているのに気づいた。
「どうしましょう…攻撃行動しない内は泳がして様子を見るか……それとも危険な芽は先に摘み取るべきか…悩みます。」
考えを巡らせていると気づけば貧困地区に入り込んでいた。
劣悪な環境から出る垂れ流しの汚物やら死体から出る死臭などでそのエリアだけ悪臭が蔓延している状況に私は鼻を押さえた。
「臭ッ……様々な悪臭が混ざってます。」
「早めに出ないと…」
元来た道を戻ろうとすると5人ほどの男達が私を見ながらニヤケながら近づいてくる。
「ケケケッ…これは高く売れそうだぜ!」
「オーナーが傷物にするなってさ。」
「犯すぐらいは問題ないだろ?」
「オレも賛成だぜ……ギャハハッ!」
「身体に傷を残すな!あと、臭えから富裕層区画へと連れてくぞ!」
「へい!ボス。」
武器を装備してジワジワと近寄る5人はメイド服の娘がいて、奴隷商人に売る手はずだが、先に味見したいからキズを残さないように犯す…で一致したようだった。
「はぁ……臭いのでできれば富裕層区画へと向かいませんか?」
「犯してる女の横で汚物の匂いは萎えるし……そこのメイドを捕まえてこい!」
「それで…着いて行ったらヤバい女確定ですね」
「笑えない冗談はちょっと……」
「何を言っとるんじゃあ?」
ルシアに掴み掛かるオッサンの手を握ると一瞬で反転して倒した。
「もう…何もしなければ見逃したのに……」
「犯すなら殺られる覚悟も当然、出来てるよね?」
私はガーターの中にナイフ・フォルダーに常時、装備している2本の短刀を取り出すと転ばした敵の心臓を一突きする。
「まず……1人目。」
「なんだよあのメイド……」
逃げようとする者には"昏倒の覇気"を使って動きを止め、動ける人間には誠意を込めて相手をするように師匠に教わったっけ……昔の記憶を思い返しながら次々と鎮めていく。
「3人目。」
「バケモノめ……」
「先ほどまで犯すと言っていた女性に対して酷い言い様ですね…バケモノは流石に悲しいです。」
「グハッ…」
メイドの女がゴロツキを瞬殺していく様は相手からしたら恐怖でしかないだろう。
「4人目……おしまい♪」
「残りは覇気で逃げ道を奪ったやつだけ。」
昏倒の覇気を解除して直ぐに足にナイフを突き立てて完全に動きを塞ぐ。
「ねぇ…誰に雇われたの?」
「ゴロツキなら尾行なんてせずに襲うでしょ?」
「知らねぇよ…」
「ホントだから解放してくれよ……」
「死にたくないなら早く答えなさい…」
「バージャック伯爵様だ。」
「それ以上は何も知らないんだ……」
「分かりました。信じましょう…なら、解放ね」
「え?」
ゴロツキの首はキレイに切断したことで切られていない様な状態に普通に生きているみたいにしばらく動いていたが……動けなくなると崩れる様に倒れた。
「5人目…討伐完了。」
しかし、まさか黒幕がバージャック伯爵家……
ですか。ノル様に危険が向かないように気をつけねばなりませんね。
「はーい。分かったぞ!」
私はデルカにノル様を任せて一人で宿屋の手配と食事処を探しに街を探索していた。
「やはり…町だけあって広いですね。」
「あっち側なら宿屋がありそうです。」
町は二種類の区画に分かれているらしく、富裕層の居住区と貧民層の居住区が7対3の割合のようですね…こんな時代だから無理もないか。
弱肉強食の世の理が生活困窮者を増やしている。もちろん…弱者を救済できるほど国が発展して幸福な環境下ならば全てを救うという戯言も叶えることはできるかもしれませんがね。
「見つけました。」
「ちょっと多いけど、宿屋の中ではマシな方でしょうかね。」
「レスタの宿屋…ここにしましょう。」
さっそく中に入るとちょうど一ヶ所だけ空いていて直ぐにそこの宿屋にチェックインした。
「さて、次は……食事処を探さないとですね」
宿屋を出て細道を歩き回りながら探していると誰か分からないけど、複数人からマークされているのに気づいた。
「どうしましょう…攻撃行動しない内は泳がして様子を見るか……それとも危険な芽は先に摘み取るべきか…悩みます。」
考えを巡らせていると気づけば貧困地区に入り込んでいた。
劣悪な環境から出る垂れ流しの汚物やら死体から出る死臭などでそのエリアだけ悪臭が蔓延している状況に私は鼻を押さえた。
「臭ッ……様々な悪臭が混ざってます。」
「早めに出ないと…」
元来た道を戻ろうとすると5人ほどの男達が私を見ながらニヤケながら近づいてくる。
「ケケケッ…これは高く売れそうだぜ!」
「オーナーが傷物にするなってさ。」
「犯すぐらいは問題ないだろ?」
「オレも賛成だぜ……ギャハハッ!」
「身体に傷を残すな!あと、臭えから富裕層区画へと連れてくぞ!」
「へい!ボス。」
武器を装備してジワジワと近寄る5人はメイド服の娘がいて、奴隷商人に売る手はずだが、先に味見したいからキズを残さないように犯す…で一致したようだった。
「はぁ……臭いのでできれば富裕層区画へと向かいませんか?」
「犯してる女の横で汚物の匂いは萎えるし……そこのメイドを捕まえてこい!」
「それで…着いて行ったらヤバい女確定ですね」
「笑えない冗談はちょっと……」
「何を言っとるんじゃあ?」
ルシアに掴み掛かるオッサンの手を握ると一瞬で反転して倒した。
「もう…何もしなければ見逃したのに……」
「犯すなら殺られる覚悟も当然、出来てるよね?」
私はガーターの中にナイフ・フォルダーに常時、装備している2本の短刀を取り出すと転ばした敵の心臓を一突きする。
「まず……1人目。」
「なんだよあのメイド……」
逃げようとする者には"昏倒の覇気"を使って動きを止め、動ける人間には誠意を込めて相手をするように師匠に教わったっけ……昔の記憶を思い返しながら次々と鎮めていく。
「3人目。」
「バケモノめ……」
「先ほどまで犯すと言っていた女性に対して酷い言い様ですね…バケモノは流石に悲しいです。」
「グハッ…」
メイドの女がゴロツキを瞬殺していく様は相手からしたら恐怖でしかないだろう。
「4人目……おしまい♪」
「残りは覇気で逃げ道を奪ったやつだけ。」
昏倒の覇気を解除して直ぐに足にナイフを突き立てて完全に動きを塞ぐ。
「ねぇ…誰に雇われたの?」
「ゴロツキなら尾行なんてせずに襲うでしょ?」
「知らねぇよ…」
「ホントだから解放してくれよ……」
「死にたくないなら早く答えなさい…」
「バージャック伯爵様だ。」
「それ以上は何も知らないんだ……」
「分かりました。信じましょう…なら、解放ね」
「え?」
ゴロツキの首はキレイに切断したことで切られていない様な状態に普通に生きているみたいにしばらく動いていたが……動けなくなると崩れる様に倒れた。
「5人目…討伐完了。」
しかし、まさか黒幕がバージャック伯爵家……
ですか。ノル様に危険が向かないように気をつけねばなりませんね。
20
お気に入りに追加
179
あなたにおすすめの小説
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
学園長からのお話です
ラララキヲ
ファンタジー
学園長の声が学園に響く。
『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』
昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。
学園長の話はまだまだ続く……
◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない)
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
全てを奪われ追放されたけど、実は地獄のようだった家から逃げられてほっとしている。もう絶対に戻らないからよろしく!
蒼衣翼
ファンタジー
俺は誰もが羨む地位を持ち、美男美女揃いの家族に囲まれて生活をしている。
家や家族目当てに近づく奴や、妬んで陰口を叩く奴は数しれず、友人という名のハイエナ共に付きまとわれる生活だ。
何よりも、外からは最高に見える家庭環境も、俺からすれば地獄のようなもの。
やるべきこと、やってはならないことを細かく決められ、家族のなかで一人平凡顔の俺は、みんなから疎ましがられていた。
そんなある日、家にやって来た一人の少年が、鮮やかな手並みで俺の地位を奪い、とうとう俺を家から放逐させてしまう。
やった! 準備をしつつも諦めていた自由な人生が始まる!
俺はもう戻らないから、後は頼んだぞ!
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる