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26話 厄介ごと(2)ルシア編。

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「では、デルカにノル様を任せます。」
「はーい。分かったぞ!」

 私はデルカにノル様を任せて一人で宿屋の手配と食事処を探しに街を探索していた。

「やはり…町だけあって広いですね。」
「あっち側なら宿屋がありそうです。」

 町は二種類の区画に分かれているらしく、富裕層の居住区と貧民層の居住区が7対3の割合のようですね…こんな時代だから無理もないか。

 弱肉強食の世の理が生活困窮者を増やしている。もちろん…弱者を救済できるほど国が発展して幸福な環境下ならば全てを救うという戯言ざれごとも叶えることはできるかもしれませんがね。

「見つけました。」
「ちょっと多いけど、宿屋の中ではマシな方でしょうかね。」
「レスタの宿屋…ここにしましょう。」

 さっそく中に入るとちょうど一ヶ所だけ空いていて直ぐにそこの宿屋にチェックインした。

「さて、次は……食事処を探さないとですね」

 宿屋を出て細道を歩き回りながら探していると誰か分からないけど、複数人からマークされているのに気づいた。

「どうしましょう…攻撃行動しない内は泳がして様子を見るか……それとも危険な芽は先に摘み取るべきか…悩みます。」

 考えを巡らせていると気づけば貧困地区に入り込んでいた。
 劣悪な環境から出る垂れ流しの汚物やら死体から出る死臭などでそのエリアだけ悪臭が蔓延している状況に私は鼻を押さえた。

「臭ッ……様々な悪臭が混ざってます。」
「早めに出ないと…」

 元来た道を戻ろうとすると5人ほどの男達が私を見ながらニヤケながら近づいてくる。

「ケケケッ…これは高く売れそうだぜ!」
「オーナーが傷物にするなってさ。」
「犯すぐらいは問題ないだろ?」
「オレも賛成だぜ……ギャハハッ!」
「身体に傷を残すな!あと、臭えから富裕層区画へと連れてくぞ!」
「へい!ボス。」

 武器を装備してジワジワと近寄る5人はメイド服の娘がいて、奴隷商人に売る手はずだが、先に味見したいからキズを残さないように犯す…で一致したようだった。

「はぁ……臭いのでできれば富裕層区画へと向かいませんか?」
「犯してる女の横で汚物の匂いは萎えるし……そこのメイドを捕まえてこい!」

「それで…着いて行ったらヤバい女確定ですね」
「笑えない冗談はちょっと……」
「何を言っとるんじゃあ?」

 ルシアに掴み掛かるオッサンの手を握ると一瞬で反転して倒した。

「もう…何もしなければ見逃したのに……」
「犯すなら殺られる覚悟も当然、出来てるよね?」

 私はガーターの中にナイフ・フォルダーに常時、装備している2本の短刀を取り出すと転ばした敵の心臓を一突きする。

「まず……1人目。」
「なんだよあのメイド……」

 逃げようとする者には"昏倒の覇気"を使って動きを止め、動ける人間には誠意を込めて相手をするように師匠に教わったっけ……昔の記憶を思い返しながら次々と鎮めていく。

「3人目。」
「バケモノめ……」
「先ほどまで犯すと言っていた女性に対して酷い言い様ですね…バケモノは流石に悲しいです。」
「グハッ…」

 メイドの女がゴロツキを瞬殺していく様は相手からしたら恐怖でしかないだろう。

「4人目……おしまい♪」
「残りは覇気で逃げ道を奪ったやつだけ。」

 昏倒の覇気を解除して直ぐに足にナイフを突き立てて完全に動きを塞ぐ。

「ねぇ…誰に雇われたの?」
「ゴロツキなら尾行なんてせずに襲うでしょ?」

「知らねぇよ…」
「ホントだから解放してくれよ……」

「死にたくないなら早く答えなさい…」
「バージャック伯爵様だ。」
「それ以上は何も知らないんだ……」

「分かりました。信じましょう…なら、解放ね」
「え?」
 
 ゴロツキの首はキレイに切断したことで切られていない様な状態に普通に生きているみたいにしばらく動いていたが……動けなくなると崩れる様に倒れた。

「5人目…討伐完了。」

 しかし、まさか黒幕がバージャック伯爵家……
ですか。ノル様に危険が向かないように気をつけねばなりませんね。
  
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