(改訂版)帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!

黒猫

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4話 光の世界と試練。

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 ここは……確か……父の前で魔水晶に触れて……
あれ?何で僕はひとりでこんな所にいるんだ!?

『ようこそ、ノル……』

 何か何処かで聞いた事があるような声……どこで聞いたか思い出せない。

『私はレティアです。』

 その名前も何処かで聞いたような……

『ノル……前世の時に言われていたスキルを授けたいと思っております。』
「僕の前世ですか?」
『そうです…スキルの名は建築です。貴方なら今から起きる試練に打ち勝ち、昔からの野望を実現するのを私に見せて下さい!』

 レティアはそう言うと僕の額にキスをして祝福を与えてくれた…と同時に【レティア】と言う名を思い出した。

「あの時の老婆!!?」
『ふふふっ♪思い出しましたか?女神の祝福を直接受けられる幸福はいかがですか?』
(そりゃ……女神にキスは流石に嬉しいが……)

「光栄です。女神レティア様。」
『それでは、素敵な人生を楽しんで……』

 気付けば僕は寝転がっていた。いゃ、全員が不思議な事に気絶していたのだ。

「何が起こったのだ……」
「ワシにもわからん……」
「光に包まれた後の記憶が無い……」

 それぞれに動揺が隠し切れないくらいには突然過ぎる出来事にパニックになっていた。
 
 その時だった……

「静まれ!神の啓示やもしれぬ……」
「我、子……ノルに最大の祝福をなさったのだ!」

 皇帝の発言により、全員が静寂に包まれる。

「グラドよ…早よ我が子のスキルを示すが良い。」
「はっ!直ちに……。」

 グラドは魔水晶に手をかざすとグラドは動揺しているように見えた。

(あぁ…攻撃型のスキルじゃなかったからか……)

「恐れながら皇帝ザリオン様……ノル様はその…」

 言いづらそうにしているグラドを僕は唯一理解していた。あと、自分がこの後に起こる事態も大凡おおよその理解はしていた。

「実は……ノル様のスキルは…『建築』という稀有なスキルでして非常に言い難いのですが……」

 グラドは恐る恐る皇帝の顔を覗き見た…彼を含めてこの場にいる全てが凍りつかせたのだ。

「何だと……?もう一度、言うてみよ。」
「建築スキルなのです皇帝よ……」

「貴様……我を愚弄するかッ!」
「ひぇぇぇえ……恐れ多い事ですじゃぁ……」
「クッ…もう、よい。下がれ。」
「はっ……」

 グラドは皇帝直轄のスキル付与士……そう簡単には死罪にはならないだろう。

 それよりも……僕だな…ヤバいのは……。

「ノルよ…貴様……何だそのスキルはッ!!」
「も、も、申し訳ございません……。」

 どうしようもない結果に息子に何を求めているのだろうか。とりあえず、死罪だけは避けたいが…。

「ノルの王族除名を決定する!」

 その瞬間…周りが騒めき出していた……

「ノルのラスタードの家名を名乗る事を禁ずる。」
「父様…」
「貴様はもう、我の子では無い。」

 全ての視線が冷たく突き刺さる…僕の味方はもう居ないのだと悟った。

「それから貴様を直ちに処刑する!」

 すると待ち構えていた兵士達が数人がノルを取り囲むと捕縛した。
 
「えっ……ど、どうして……。」
「家名を傷つけた罪は万死に値する。」

(家族の縁を切っただけじゃなく…処刑まで……)

「ザリオン様、お待ちください!」
「何だ…エリー。我に意見を言うのか?」
「違いますわ!こんな愚かな愚息…いぇ、大罪になど殺す価値もありません。それより良い案がございますわ!」
「それはどんな案か言うてみよ。」
「それは……」

 母エリーは処刑を止めて僕にモンスターが巣食う【嘆きの大森林】の奥地まで兵に連れて行かせてそこでモンスターの餌にする事を提案した。

「それはよい案だな!命ずる……ノルを嘆きの森へ追放処分とする。」
「ノルに一言、罵る許可をもらえませんか?」
「よいぞ!」

 母エリーは僕の近くに寄ると兵を下げさせた。

「下がりなさい!」
「はっ!」

 それから僕の耳元で話をし出した。

『母ができるのはここまでの様です。助けれるなら助けたい…私の前で貴方が死ぬことは耐えれないのです。どうか…生きて。それとこれを……。』

 母はコッソリと見えない様に僕のふところに何かを忍ばせた。

『よく聞いて…こんな家に産んでごめんなさい。
私を恨んで…恨んで…それを糧にしなさい。』

 母はそれだけ言うと少し離れてみんなの前で大きな声で罵ってみせた。

「本当に……産むんじゃなかったわ!」

 その後は……あまり覚えていない。

 気付いた時には馬車に乗せられ、兵士数名と共に【嘆きの大森林】へと向かっていた。

「これは独り言です!」
「え?」
「今までのノル様のご活躍に感謝しています。」
「えぇ!?」
「私どもの武具の新調を大臣殿に言って頂いたのを私どもは知っております!」
「ありがとう…皆んなが頑張ってくれたから国は存在できるんだよ……だから見合った報酬だよ!」

 兵士達は目に涙を滲ませていた。

【嘆きの大森林】の奥地に進むと高い木のせいで昼間なのに闇に覆われている。
 更にモンスターの鳴き声が時折り、辺りに響き渡っていた。

 奥に進み少し開けた辺りで馬車が止まると兵士がアドバイスをくれた。

「嘆きの大森林のモンスターは夜に行動することが多いので昼は数も少ないので早めに拠点を作り火を起こして下さい!獣系モンスターは火に弱く、近寄りません……ご武運を……。」
「ありがとう。生き延びてみせるよ!」

 もう一人の兵士が近づいてくると袋のような物を手渡してきた。

「これは魔法マジックアイテムで収納袋インベントリです。奮発したアイテムですので容量も沢山入ります……必ず重宝するので使ってやって下さい!」
「ありがとう!大切に使わせてもらうよ。」

 兵士の人達は僕を降ろすと暫くの間、僕に敬礼して馬車で引き返して行き、僕もスキルや状況を確認する為に拠点を探す事にしたのだった。

 
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