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11話 【誘 い】

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 シリカちゃんを先頭やにオレとシエラそれからオレの肩の上にフェブルを乗せて彼女が泊まっていると言っていた宿を目指して歩いていた。

「タクト兄ちゃん達って……強いの?」
「そんなにだな…まだまだ新人みたいなもんだよ」
「そうなんだぁ!」

 辺りをキョロキョロとしながら何かを気にしている様子だったけど、今のところは特に何もなくて少し安心している。
(ヤッパリ……考えすぎだったか?)

「コッチの裏路地が近道なんだ~着いて来て!」
「狭そうな道を通るんだな…怖くないのか?」
「うん…慣れてるからね~」

 狭い裏路地を慣れているのかスイスイと進んで行くシリカちゃんをオレ達は必死に追いかける。

「早っ!?」
「ねぇ…タクト……」

 小声でシエラはオレに注意するように声をかけて来てくれた。

「数十人ほどかな……敵を確認。」
「そっか…やっぱり。」
「フェブルはタクトをいつでも守れるようにね?」
「ガゥッ!」

 これでハッキリした……今から向かう場所はこの敵意をむき出しにしている敵の罠の中だろう。
 強い人物が居るならばこんな風に数を差し向けたりはしないだろう……たぶん。

「アジトに向かっているのかも?」
「アジトってやっぱり……」
「たぶん…気配消してるけど、逃がさないように尾行してる感じかな。」

 気配察知ができるシエラの言うことならば間違いないだろうし、たまに見かける悪そうな顔の男も何かこっちをニヤニヤして見てやがる。
(町に来て早々にトラブルってオレに何か憑いているんじゃなかろうかっ!?)

「この状況…シエラなら一掃できるだろうし、逃げるにしても余裕だろう。」
(ただ、完全にシリカが手下ならその判断が正しいだろうけど、もし…やらされているとしたら……)

 オレはいつしか様々なことをゴチャゴチャと考えてしまっていた。
 違うな…オレはゴチャゴチャ考えるようなタイプじゃない!やらない後悔するより、やってしまってからの後悔の方がマシだろ……絶対!

「シエラ…アジトに着いてからシリカの動き次第だけど、制圧を頼めるか?シリカが脅されてるなら助けてやりたいし…違っているなら救ってやりたいと思うんだよ……勝手なエゴだけどな。」

「任せてタクト!アナタが進むなら私は隣で守ってみせるよ。シリカちゃんのことも気になるし……」
「あと、できたら殺さずにな!しかし、自分が優先だから危ないなら容赦なく……やっていい。」
「任せて♪この程度の任務なら楽勝だから!」

 なんだかシエラ楽しそう……それにフェブルも心なしかウキウキしてそうなんだけど!?
 そうこうしているとオレ達は袋小路になっている広い場所にまんまと誘き出されてしまった。
 数は……30人ほどの人数が武器を持って待ち構えている。果たして敵は何者なのか?
 そしてシリカの正体は……。
 
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