セリと王子

田中ボサ

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  お昼休み、何故か女子に囲まれている。

何だろう?

知らないうちにわらわらと囲まれて、校舎裏に連れてこられた。

人気はない、は、もしや集団で殴る?とか?



「セリーヌ=バロウズ男爵令嬢、貴方に聞きたいことがあるの」

中心にいる彼女はマリアンヌ=イルーナ伯爵令嬢。

学年も違うし、話したこともないぞ?

てか、初めましてだよね、他の皆様もだけど。



「貴女昨日の選抜大会で優勝したわよね」

「あ、はい、なんかそうみたいですね」

「違うの?」

「いや、何といいますか、大会だってことも知らなくて・・・」

「知らなかったの?」

「はい」

先ほどクラスのみんなにした話をまた繰り返す。

あれ?なんかハンカチで目を抑えてる女子が多いぞ?

マリアンヌ様もハンカチをあてている。

「貴女、そんな環境でよく色々学んでいるのね・・・」

そう言って肩を撫でてくれた。

なんで皆そんな可哀そうなものを見るような目で見るんだよ。

解せぬ・・・。



それはともかく、なんで私は囲まれたのか、ようやく話を聞くことができた。

「は?生徒会の皆様がどんな女性が好みなのか?ですか?」

「そうなの、殿下を始めとして皆様素敵な方ばかりなのにまだ婚約者がいらっしゃらないでしょ?」

悪魔には婚約者候補が何人かいるみたいですけどね。

「だから、どのような女性がお好みなのか知りたくて」

「それと・・・・」

「何ですか?」

「皆様幼いころからご一緒に過ごされているでしょ?」

そうみたいですね。

特に殿下とクロード様、カイト様、ゴウゼル様は5歳くらいから一緒だと聞いている。

「それでね、その・・・」

なんでモジモジしてんだ?

「お互いの事をどう思っているとか・・、あの・・・」

「どんな気持ちなのか知りたい、というか・・・」

何なんだ?よくわからん。

「殿下と他の幼馴染の皆様がお互いをどう思っているのか知りたいってことですか?」

うぉ、すごい勢いで頷いるぞ、首がとれちゃうよ?

私の心配など関係なく、全員がものすごく真剣に知りたいらしい。

ま、それくらい聞いてみたっていいんだけどさ、めんどくさいな。



「聞いてきていただけたら、私達それぞれのおすすめのデザートをお持ちしますわ」

「お任せください!」

おすすめのデザート!素晴らしい!

私の返事に女子たちも嬉しそうだ。

私とマリアンヌ様はがっちりと握手をして別れた。



どんなデザートがくるのかなぁ~、ふふふふふふふっふ。

「セリ?なんかいいことあったのか?」

おぉ、デザートのネタ、もとい、クロード様だ。

浮かれていて生徒会の皆様が集まった事に気が付かなかった。



皆さまにお茶を配り終えたところで質問だ。

「実は他の方から質問がありまして、皆様にそれぞれお答え頂きたいんです」

「質問?」

「あ、個人的なことですよ、ご安心ください」

紹介とかお見合いとかそんなんじゃないよ。

そんなことをしてはいけないって悪魔から厳しくしつけられたからね。



まずはクロード様からだな。

「クロード様、女性の好みはどんなのですか?」

「は?」

「歯ですか、独特ですね」

「いやいや、待て待て、単に反応しただけだ、歯ってなんだ」

「ではどんなのがお好みで?」

「・・・・・」

「あれ?女性は好きではない?」

「そんなことはないが、その、答えにくい質問だな」

「そうですかね、私はどんな女性でも素敵だと思っていますよ」

カイト様が乱入してきた。

「ほうほう、カイト様は女性がすき、と」

「え?」

「え~と、カイト様は女好き、と」

メモに書き込んでいると

「待て待て、違うから、女性は好きだけど、その誰でもよいわけじゃないんだよ」

止められた。

違うんかい。

「じゃあ、どんな女性がいいんですか?」

「え~と、まぁ、美人でスタイルが良い、か、な?」

「顔と体、と」

「違う違う~」

あれ?なんか頭抱えてしまったよ。

違うのか?難しいな。



じゃぁ、ゴウゼル様

「俺はエリザだ」

うん、まったくぶれないね。

幼馴染のエリザ様大好きだもんね。



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