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第二章
ビリジアンは王女に恋をする⑤
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二十年前グリディア王都
エルフの女王が二十年振りに王都に足を運ぶということでグリディア王国は歓迎ムードで盛大に迎え入れた
もともと長い親交のあるエルフの里とグリディア王国だが今代の女王シルフィアはあまり人族と関わろうとしなかった
シルフィアがあまりにも美しい美貌だったため人族と関わった時には、ほとんどの男達から好奇の目や好色そうな目で見てくること、上から下まで舐め回すように見られることに嫌悪感を抱いていたのだ
エルフにはラビス語を使える者もいるのだがシルフィアはそういう事もあってなかなか覚えようとする気にもなれない
だがエルフの里とグリディア王国の関係を築いていかなければならない立場のシルフィアは気の進まないまま王都に行くことになった
「いや~よくぞ来られましたシルフィア様!グフッ」
「この度はお招きありがとうございます」
ウシャスが通訳として同行し、挨拶を交わすのは女好きで有名なズーク外交官
ズークはやはりシルフィアを舐め回すように見る
「最高のおもてなしをさせて頂きますよ!なんせ今年は「例の年」……ですからね!グフッグフッ」
「……そうですね、神託に基づき視察と行動をさせて頂きます」
シルフィアは態度に出さないように慎重に対応する
これもエルフの繁栄のため、滅びの未来を変えるためと自分に言い聞かせる
ウシャスも内心ではツラいがシルフィアが我慢しているのに自分が態度に出すわけにはいかないと冷静に対応していく
「大丈夫ですかシルフィア様……視察は女王の役目ですが「契り」はシルフィア様でなくてもいいのですよ……」
「……いいえ……今年まで里の子達から人族の方とそのような関係になりそうな子がいなかったので……女王であるわたしが「神託」を実行しなくてどうするのです!」
「……しかし……あの者のように好色な目でシルフィア様が見られるのは私もさすがに……」
「良いのです!「契り」を結び、子供を作れば後は人族の短い人生なんてあっという間です、ひとときの我慢です」
「……分かりました……」
契りを結ぶことは必ずしも女王である必要はない、しかしシルフィアは責任感から今年の「神託」は自分で成そうと考えている
王都で行われたのは歓迎ムードではあるがパレードのようなものではなく、何日かかけて街を歩き公務のように施設を訪れて人族と接し、貴族のパーティに参加したりと日々は続いた
ある貴族のパーティではグリディア中の貴族達が集まっていた
シルフィアにとってはここが正念場だったが、婚活を焦るシルフィアはラビス語を喋る事も聞き取る事も出来ない置き物状態だ
シルフィアの美しさに見惚れる男性はいるのだが積極的に話しかけてくる者はいない
ウシャスも声をかけに行くが何故かいい反応は得られない、そこへ声をかけてきたのはズーク外交官
「グフッ、グリディアは楽しんで頂けてますでしょうか?それと……お相手はいかがいたしましょうか?」
「……いえ……なかなかうまくいかないものですね……」
シルフィアは婚活に自信をなくして俯いて答えた
「グフッそうですか~……我は喋れぬ事など気にしないですぞ!グフッ」
ズークが好色な目でシルフィアを上から下まで舐め回すように見る
「――!ズーク外交官はご結婚されてますよね!」
ウシャスはズークの言葉をシルフィアに通訳せずに直接言葉を返した
「ふん!側近風情が我に直接意見を言うとは!」
ズークは声を荒げてウシャスに言う
「――!……どういうつもりなのですか?……」
ウシャスは事を荒立てないように落ち着いた様子でズークに問う
「グフッ!子種がいるのだろう?我が夫になってやろうと言っておるのだ!第三婦人として受け入れよう」
「――なっ!何ですって!」
ウシャスがズークの胸ぐらを掴みかかろうとするが一人の若者がウシャスの腕を掴んで目配せをする
その若者はシルフィアのほうを見ろと目配せをするのだ
ウシャスが振り向くとシルフィアは不安な面持ちで立っている
シルフィアにとってはどのような会話でどんなやり取りだったのか分からずに置き去りになっていた
若者は何やらズークと話しをしているとズークはその場から離れて行く
その後、若者はウシャスのほうに来ると少し話があると言いいシルフィアとともに彼の話を聞くことになった
「オーランドと申します、ズーク外交官の事でお話しがあるのですが」
エルフの女王が二十年振りに王都に足を運ぶということでグリディア王国は歓迎ムードで盛大に迎え入れた
もともと長い親交のあるエルフの里とグリディア王国だが今代の女王シルフィアはあまり人族と関わろうとしなかった
シルフィアがあまりにも美しい美貌だったため人族と関わった時には、ほとんどの男達から好奇の目や好色そうな目で見てくること、上から下まで舐め回すように見られることに嫌悪感を抱いていたのだ
エルフにはラビス語を使える者もいるのだがシルフィアはそういう事もあってなかなか覚えようとする気にもなれない
だがエルフの里とグリディア王国の関係を築いていかなければならない立場のシルフィアは気の進まないまま王都に行くことになった
「いや~よくぞ来られましたシルフィア様!グフッ」
「この度はお招きありがとうございます」
ウシャスが通訳として同行し、挨拶を交わすのは女好きで有名なズーク外交官
ズークはやはりシルフィアを舐め回すように見る
「最高のおもてなしをさせて頂きますよ!なんせ今年は「例の年」……ですからね!グフッグフッ」
「……そうですね、神託に基づき視察と行動をさせて頂きます」
シルフィアは態度に出さないように慎重に対応する
これもエルフの繁栄のため、滅びの未来を変えるためと自分に言い聞かせる
ウシャスも内心ではツラいがシルフィアが我慢しているのに自分が態度に出すわけにはいかないと冷静に対応していく
「大丈夫ですかシルフィア様……視察は女王の役目ですが「契り」はシルフィア様でなくてもいいのですよ……」
「……いいえ……今年まで里の子達から人族の方とそのような関係になりそうな子がいなかったので……女王であるわたしが「神託」を実行しなくてどうするのです!」
「……しかし……あの者のように好色な目でシルフィア様が見られるのは私もさすがに……」
「良いのです!「契り」を結び、子供を作れば後は人族の短い人生なんてあっという間です、ひとときの我慢です」
「……分かりました……」
契りを結ぶことは必ずしも女王である必要はない、しかしシルフィアは責任感から今年の「神託」は自分で成そうと考えている
王都で行われたのは歓迎ムードではあるがパレードのようなものではなく、何日かかけて街を歩き公務のように施設を訪れて人族と接し、貴族のパーティに参加したりと日々は続いた
ある貴族のパーティではグリディア中の貴族達が集まっていた
シルフィアにとってはここが正念場だったが、婚活を焦るシルフィアはラビス語を喋る事も聞き取る事も出来ない置き物状態だ
シルフィアの美しさに見惚れる男性はいるのだが積極的に話しかけてくる者はいない
ウシャスも声をかけに行くが何故かいい反応は得られない、そこへ声をかけてきたのはズーク外交官
「グフッ、グリディアは楽しんで頂けてますでしょうか?それと……お相手はいかがいたしましょうか?」
「……いえ……なかなかうまくいかないものですね……」
シルフィアは婚活に自信をなくして俯いて答えた
「グフッそうですか~……我は喋れぬ事など気にしないですぞ!グフッ」
ズークが好色な目でシルフィアを上から下まで舐め回すように見る
「――!ズーク外交官はご結婚されてますよね!」
ウシャスはズークの言葉をシルフィアに通訳せずに直接言葉を返した
「ふん!側近風情が我に直接意見を言うとは!」
ズークは声を荒げてウシャスに言う
「――!……どういうつもりなのですか?……」
ウシャスは事を荒立てないように落ち着いた様子でズークに問う
「グフッ!子種がいるのだろう?我が夫になってやろうと言っておるのだ!第三婦人として受け入れよう」
「――なっ!何ですって!」
ウシャスがズークの胸ぐらを掴みかかろうとするが一人の若者がウシャスの腕を掴んで目配せをする
その若者はシルフィアのほうを見ろと目配せをするのだ
ウシャスが振り向くとシルフィアは不安な面持ちで立っている
シルフィアにとってはどのような会話でどんなやり取りだったのか分からずに置き去りになっていた
若者は何やらズークと話しをしているとズークはその場から離れて行く
その後、若者はウシャスのほうに来ると少し話があると言いいシルフィアとともに彼の話を聞くことになった
「オーランドと申します、ズーク外交官の事でお話しがあるのですが」
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