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第二章

ビリジアン・マグウェル

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数刻すると詰所や城内は慌ただしくなっている
あくまでビビが告げたのは憶測だったがシルフィア女王が狙われたことが信憑性しんぴょうせいを高め、グリディア王国は全面的にエルフ族を守るために準備をしている

 その一つとしてエルフの里に「グリディア王国第七騎士団」が派遣されることが決定した

 第七騎士団の騎士長「ビリジアン・マグウェル」は自らこの遠征に志願した十九歳になる若者だ

 透き通るほどの美しい肌に薄い黄緑色のロングヘアが特徴の美男子だ

 ビリジアンはその美貌により女性騎士や王都の女性達からは未婚の貴族として人気がある
 しかし彼にはすでに心に決めた女性がいる

 その女性は「オリーブ・ラ・フィール王女」、王女といってもグリディア王国の王女ではなく「エルフの王女」である

 彼女もまた十九歳で、シルフィア王女のように透明感のある白い肌に腰まである美しい銀髪の女性だ
 
 グリディア王国とエルフ族には千年以上の長い交流がある、エルフ族との交流のなかでビリジアンとオリーブは出会った

 人族とエルフ族の恋、通常ならば種族間の恋は結ばれる事は難しいがこの両種族に関しては例外がある

 それはエルフの女王にのみ降りる「神託」である

 エルフは非常に長命だが低い出生率によりその数は少ない、いずれ滅びゆく種族ではないかと千年前から懸念されていた事だった

 しかしラビスの三神「クォーク」の神託によると二十年に一度、「エルフ族と人族がちぎりを結ぶこと」が
滅びからの唯一の救いであると告げられたのだった

 よってここ千年間に二十年に一度、種族間の結婚が行われている

 今年はその年にあたる、ビリジアンとオリーブにとっては運命の年である

 ビリジアンはいとしのオリーブを守るために、二人の将来を守るために戦うのだ

「ビリジアンく~ん、オリーブ様を死ぬ気で守らないとね~まあビリジアンくんが死んじゃったら元も子もないけどね~」

「もちろんそのつもりですよ!ビオルクさん、この命と「フラガラッハ」に誓ってお守りしますよ!」

「いや~相変わらず堅いなぁ、まあ僕の次くらいにモテる君が結婚しちゃうと大変だな~僕が!……いや、でもトーマくんはああ見えてモテるから君が結婚しても大丈夫か~!」

「トーマくんというと王国初の自由騎士で「アゥフ」だという?」
「そうそう!しかもシュンカさんのお気に入りでいつも女の子をいっぱい連れている……あっ!……でもすごくいい子だよ」

「……女性をいつも……私とは気が合わないでしょうね……」
「いやいや!言い方悪かったけど、すっごいいい奴」
  
「っていうかシルフィア様を助けたのトーマくんだよ!ビリジアンくんは彼に感謝しないと!」

「――!そうだったのですか!では今から彼に会って来ます!」
「あ~トーマくん今、重症で寝てるんだ!今はまだ目が覚めてないけど、じきに起きると思うから」

「そうですか……ではエルフの里は私が全力で守りますので、その後お礼に伺いましょう」

「そうだね!君の「フラガラッハ」は強いからきっと大丈夫だよ!」

「任せてください!それでは準備があるので!」
 
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