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pizzeman

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本編

新世界の戦い

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 私たちは戦いの中でしか価値が無い。

 ずっと支配されてきた……

 

 巨大な人型の何かが私たちを見ていた。








「各員、戦闘待機」

 夜中だ。暗黒の中には人の姿が十数人見えた。

「目標発見。いかがなさいますか?」

「目標は一体だけで移動中。しとめるならば今です」

「分かった。ならば訓練通りに目標をしとめる」

 男は手を挙げた。
 そして十数人はそれぞれ素早く分かれるように動き目標の周りに囲い込むように移動した。

「配置につきました。」

「攻撃班は射撃を開始しろ!」

 わずかな光で見えたのは悪魔であった。





「起きろ人間」

 木でできた部屋で青年は寝ていた。日差しがよく当たる位置に布団が敷いてあった。

「……またお前か」

青年の前には人型の機械がいた。

「出かける準備をしろ。皆待ってるぞ」

「マジ?すぐに行くわ」




外はひどく殺風景であった。
建物や道路は白く染められていて人の姿をしているのはすべて黒い服を着ていた。

家の前には3人ほど人がいた。

「あなたがエイア様ですね?」

「はい」

「IDを確認します」

この三人は人間ではない。エイアが持っているIDはQRコードのみ書かれているカードであった。
目でQRコードを読み取っているのだ。

「では案内をいたしますので」

「はい」

彼らは半機械人間。

大昔に実験台として機械と融合したとの歴史を残す人間。
さらに一族全員が機械と融合したので皆『エグナシル』の一族と呼んでいる。

そしてエイアは本日見知るぬ場所に連れてかれていた。






ふとサイレンが鳴り始めた。

「……今日って何かありましったっけ?」

「今日は定期点検、物資補給の日です」

見ると周りには人の姿がいなかった。

「エイア様こちらへ」

周りの様子を見たがっていたような表情をしていたが案内されたとおりに移動する。





「すいません、ちょっと休憩できませんか?」

エイアが聞く。

「どういたしました?」

「いえもう3時間も歩きっぱなしで疲れてて……」

「では少々お待ちください」

ずいぶんと歩いたはずだが景色は一向に変わっていなかった。

ずっと白い建物が同じ間隔で同じ大きさ、同じデザインをしていて嫌気もさしてきたようだ。

「……ここから10分歩いたところに補給場があります。そちらに向かいます」

「……お願いします」

エイアはどこか体調がおかしいようだ。






何時間歩いたのだろう。すっかり日は落ちていて夜になろうとしていた。

「つきました」


目の前には大きな建物があり、この三人と同じような服装をしている人が何人もいた。

「案内ありがとうございます」

ここから先はエイア一人で行動するようだ。

IDカードをかざし中に入る。

中も真っ白な色だらけであり、もう頭がくらくらしてきているようだった。

「すいません、階段はどこにありますか?」

近くにいた半機械人間に聞いた。

指をさされてすぐ近くにあることを知って地下へと向かっていく。

地下はとても暗くわずかな光だけが頼りになっていた。

そして受付が見えた。

IDを出し、確認される。そして画面に番号が記される。部屋の番号のようだ。

歩いていき檻の中で人いるのが分かる。ここは刑務所である。

そして指定された檻の中に入り、扉が勝手に締まる。

「今日からずっとここにいるのか」

エイアはため息交じりに言う。

檻の中には布団やトイレ、シャワーがあり生きるだけでは問題なさそうだ。

青年は暗闇の中で座り込んだ。


「……」
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