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格闘 09-4

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「なんだあれは……」

「動かないのか?」

 上には確かにエグナシルが使用していたあの兵器があった。鬼羅は通信機を取り出した。

「シュティーナさん、あの上にある機体について何か知っていることはありませんか?なんか見た目は『リフナ』と似てますけど雰囲気というか細かい部分が結構違うんですが」

 通信機からシュティーナの声が聞こえた。

「それはアラム・エグナシルの機体だ。私が所有している機体とは別種のようだな」

「俺の機体をいつまで眺めているんだ?」

 後ろから声が聞こえた。台の上にいたはずのアラムがいなかった。そして鬼羅の後ろにいた。

「いつの間に!?」

 鬼羅がその場から瞬時に移動する。だがアラムはそこから攻撃をしてくることはなかった。

「まあ落ち着けよ。俺は今お前ら人間に囚われて体を生み出すことしかできん。得意の格闘術も今は役に立たん」

 しばし沈黙が流れた。

「そんなこと言われても信じられるか。お前は俺たちに気づかれずに移動していたではないか」

 そういったのはエイアだった。突然のことでも冷静に対処できるのはとても心強い。

「そうかい、でもお前らの大将あたりなら知っているんじゃないか?」

「ヴァレッジ、今のきいていたか?どうなんだ」

 エイアの持つ通信機からヴァレッジの声が聞こえた。

「本当だ。アラムは生きてはいるが戦えない」

「な、本当だろう」

 アラムの顔は少々やつれているようだ。この地下に閉じ込めれているせいであろうか。それとも体が穴だらけ、毛図だらけの大やけどであるからだろうか。

「実際俺には抹殺命令が下された。さっきの爆発があっただろう。それともエグナシルに近い機械か。本当は殺される予定だったのに、まさかお前らがくるとはな」

「俺は疲れたよ。話すことでさえもな。だから帰ってくれないか?」

「そうはいかない」

 鬼羅がアラムに言った。

「俺たちはお前たちに勝たなければならない。お前には悪いがお前らの情報を吐いてもらうぞ」

「……そうかい」

 アラムはやつれた表情で悲しく言った。

「ならお前らがかえるよう頑張らないとな」
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