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一閃(フィスト)07-6

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 禍々しい剣がフィストの体を切り裂く。ねじ、モーター、ギア……機械がばらばらになり地面に崩れ落ちる。

 四肢を失ったフィストはそのまま地面に倒れこむ。

「な、なんだとぉ……」

「これが私とお前の差だ。お前は確かに素早い動きを持っている。火力も十分だ。しかしわたしの仲間はお前よりも素早い速度で移動できるんでな。お前の動きにはすぐに対応できた。それに直線でしか移動できなかったのもお前の弱点だ」

「そうか、まさかあの短時間で見抜かれたのか……」

「お前はその攻撃は誇っていいぞ、少し前の私はおそらく攻撃すらできなかっただろう」

階段から鬼羅がきた。

「シュティーナさん、大丈夫ですか?」

「ああ、鬼羅か。安心しろ。もう倒したぞ。きちんと殺さずにな」

鬼羅が四肢を失い戦意も失ったフィストを見た。

「……人だったら死んでいますよ」

「あんな熱をもって海の中を異常な速さで動けるならこれでも死なないだろ」

「そ、そうですか」

「よし、もどっていいぞ」

「了解」

 魔物が禍々しい剣から元の煙の姿になった。

「あの機械……食えるか?」

「可能です」

「食うってどういうことですか?」

「……その説明はあとでやっておこう。そのまえにこいつだ。フィスト・エグナシル!お前はこれからどうするか選択肢を与える」

「選択肢だと?」

「私の質問に答えるか、それとも海の底に沈むか。選べ」

「質問の内容による……」

「テイトはどこにいる」

「北の大地……森に囲まれた大機械都市。そこにいる」

「大機械都市?名前は?」

「ない」

「ふむ、あとはテイトのあの能力はなんだ?いきなり壁が出てきたりするのはおかしいぞ」

「……」

「答えれらないか、なら仕方ないな」

「それだけでいいのですね」

「まあいいだろう、拷問なんてしたくないし、殺すことなんてもってのほか。こいつはさっさと帰ってもらって私たちは準備をしてテイトを倒しに行く」

「……これ以上は質問に答えられないが一つだけ忠告しておきたいことがある。テイトの二つ名は世界だ。お前は世界を相手に戦えるのか?無理だと思うのなら戦うな」

「私はやつを倒すためにいろんなことをしてきた。だからもう後戻りはできない。この選択を選んだのだからあとは成功させるだけだ」
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