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Stina of Destruction 06-転
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シュティーナの部屋でノックの音が鳴り、扉が開いた。
「大丈夫ですか?」
部屋に来たのは鬼羅であった。シュティーナがベッドですうすうと息を立てながら寝ているのを見て、部屋を出ようとした。
「殺したのか?」
話しかけてきたのは魔物だ。あのシュティーナ以外に話しかけてきたなんて珍しい。
「いや、気絶させて町の近くに戻してきた。殺そうもんならエイアに半殺しにさせられそうだからな」
「そうか……」
「用はそれだけか?では」
「まあ、待て。お前とは話したいことがあるんだ。そこに座れ」
そういわれて座れと煙の形を変えまるで矢印のように場所を指定してきた。いわれたとおりに指定された場所に座る。
「シュティーナの父親のことを聞きたいのだ。お前と出会ったとき、コークフック島では聞けなかったからな」
「そのことか、そのことならシュティーナが起きた時にでも話したらどうだ?」
「今の状態ではとても聞けた状態ではない。初めてのエグナシルとの戦闘、そして連続の戦闘、本部の崩壊。こんなに多くのことが二日の間に起ったのだ。シュティーナ様はとても疲れている。心のほうもな」
「心だと?」
「ああ、シュティーナ様はエグナシルの者に父親を殺された。ここまではお前は知っているな?」
「ああ、知っている。だがあの悪魔の状態になったときはすごく悍ましいような感じだったし、頼りがいがあったというか……」
「シュティーナ様のもとの性格はほとんどしゃべらない性格。無口だったのだ」
「まあ、悪魔の力を使っていないときは全然しゃべらないもんな」
「不安定なのだ、何度もあのように変わってしまうと心がもたないのだ。だから傷も治せず、今日のように倒れてしまった」
「そうなのか……だが同じ悪魔の力を持つ俺はそんなことはないぞ、性格が変わるようなことがあっても全然いつも通りだ」
「シュティーナ様の母親は人間なのだ。それによって心が不安定になったのだろう。若くして両親を失った、そして父親にいたってはエグナシルに殺されていた。戦いに慣れていても元の性格的にやはり厳しかったのだろう」
「そうか」
「さて、次はお前の番だ。父親について話してもらおうか」
「……シュティーナさんの父親は俺たちの長である、『赤月 鬼羅』。俺の名前と一緒だった。彼は不完全であった不老不死であったが俺たちよりもはるかに強い破壊力を持っていた。別世界と交信ができるとかも言われてたな」
「別世界?」
「まあ、言われてただけだからな。あの人の死んだ年は約一万三千年、文献もすべてなくされていました。血筋的に俺たちの一族が一番彼に近いでしょう」
「お父さん?」
声がしたほうを向く、かなり寝ぼけた目をしてシュティーナは鬼羅に言った。
「ときどき思うんです。このまま本当に戦闘してもいいんでしょうか?エグナシルの彼らも本当は戦いたくないのではないのでしょうか?シュティーナさんも本当は戦いたくないのではないでしょうか?」
「私にはわからない。一つ言えることはもし壊れかけた時にお前が助けてやってくれ」
「分かった」
そういって鬼羅が立ち上がろうとしたとき、立ち上がれなかった。後ろを見るとシュティーナが服をつかんでいた。
「子供みたいだな」
鬼羅はシュティーナが起きるまでずっと座っていた。
「大丈夫ですか?」
部屋に来たのは鬼羅であった。シュティーナがベッドですうすうと息を立てながら寝ているのを見て、部屋を出ようとした。
「殺したのか?」
話しかけてきたのは魔物だ。あのシュティーナ以外に話しかけてきたなんて珍しい。
「いや、気絶させて町の近くに戻してきた。殺そうもんならエイアに半殺しにさせられそうだからな」
「そうか……」
「用はそれだけか?では」
「まあ、待て。お前とは話したいことがあるんだ。そこに座れ」
そういわれて座れと煙の形を変えまるで矢印のように場所を指定してきた。いわれたとおりに指定された場所に座る。
「シュティーナの父親のことを聞きたいのだ。お前と出会ったとき、コークフック島では聞けなかったからな」
「そのことか、そのことならシュティーナが起きた時にでも話したらどうだ?」
「今の状態ではとても聞けた状態ではない。初めてのエグナシルとの戦闘、そして連続の戦闘、本部の崩壊。こんなに多くのことが二日の間に起ったのだ。シュティーナ様はとても疲れている。心のほうもな」
「心だと?」
「ああ、シュティーナ様はエグナシルの者に父親を殺された。ここまではお前は知っているな?」
「ああ、知っている。だがあの悪魔の状態になったときはすごく悍ましいような感じだったし、頼りがいがあったというか……」
「シュティーナ様のもとの性格はほとんどしゃべらない性格。無口だったのだ」
「まあ、悪魔の力を使っていないときは全然しゃべらないもんな」
「不安定なのだ、何度もあのように変わってしまうと心がもたないのだ。だから傷も治せず、今日のように倒れてしまった」
「そうなのか……だが同じ悪魔の力を持つ俺はそんなことはないぞ、性格が変わるようなことがあっても全然いつも通りだ」
「シュティーナ様の母親は人間なのだ。それによって心が不安定になったのだろう。若くして両親を失った、そして父親にいたってはエグナシルに殺されていた。戦いに慣れていても元の性格的にやはり厳しかったのだろう」
「そうか」
「さて、次はお前の番だ。父親について話してもらおうか」
「……シュティーナさんの父親は俺たちの長である、『赤月 鬼羅』。俺の名前と一緒だった。彼は不完全であった不老不死であったが俺たちよりもはるかに強い破壊力を持っていた。別世界と交信ができるとかも言われてたな」
「別世界?」
「まあ、言われてただけだからな。あの人の死んだ年は約一万三千年、文献もすべてなくされていました。血筋的に俺たちの一族が一番彼に近いでしょう」
「お父さん?」
声がしたほうを向く、かなり寝ぼけた目をしてシュティーナは鬼羅に言った。
「ときどき思うんです。このまま本当に戦闘してもいいんでしょうか?エグナシルの彼らも本当は戦いたくないのではないのでしょうか?シュティーナさんも本当は戦いたくないのではないでしょうか?」
「私にはわからない。一つ言えることはもし壊れかけた時にお前が助けてやってくれ」
「分かった」
そういって鬼羅が立ち上がろうとしたとき、立ち上がれなかった。後ろを見るとシュティーナが服をつかんでいた。
「子供みたいだな」
鬼羅はシュティーナが起きるまでずっと座っていた。
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