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Stina of Destruction 06-承

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「だいぶましになったな」

シュティーナは個室で自らの体にできた傷を包帯で覆っていた。血もにじんで出てきていたがここから悪化する前に止められていたようだ。

「はやく戻ろう」

 こんなところにずっといれば体がもたない。シュティーナの体は限界を迎えていた。トイレから出る。

「大丈夫かですか?」

話しかけてきたのは鬼羅だった。心配そうな顔をして話しかけてきた。

「……なんとかな」

「顔色、ずいぶんと悪いですよ。はやく本部へ戻りましょう。買い出しは終わったんですよね?でしたら急ぎましょう」

「……ああ」

  シュティーナと鬼羅は町を抜け、森の中にある本部へと向かった。

「うしろの人に気づいていますか?」

「ああ、やはりお前も気づいていたんだな。悪いが任せてもいいか?さすがにきつい」

「分かりました。では」

 鬼羅はシュティーナに荷物を預けその場から消えた。近くの木の陰に鬼羅はいた。うしろから二人シュティーナの後をついていくのが分かる。こんなところで悪魔になるのはまずい、だが本部へ近づけさせるのは何者であろうと駄目なのだ。敵は半機械人間エグナシルだけではないからだ。人間も立派な敵だ。鬼羅は木の陰からこっそりと後を追う人を見つめる。銃を持っているのが分かる。

(うしろゆっくりと殺すか……)

 鬼羅はあることを考えた。ここでこの人間を殺すことは正直楽だ。だからといって銃を持ち、少し先にはシュティーナがいる。なぜ撃たないのか。こちらに気づいていないとは言ってもここはもう森の中、町からはだいぶ離れている。撃ってもばれないだろうし、動物を持っていけば誰にも怪しまれることはないのだろう。というかこの組織にいったい誰が、そして人類の見方ともいえるシュティーナ「を攻撃しようとしているのか。鬼羅の疑問は尽きない。

(まあいい、殺すか)

 決断する。これ以上はシュティーナと本部に近づけさせるわけにはいかないと鬼羅は思った。





「大丈夫か?」

 先に本部に帰ってきたシュティーナはエイアが迎えに来た。

「なんとかな……これ、頼む」

「ああ。なんか顔色悪いな……自室で休んでいたらどうだ?」

「そうさせてもらう」

 シュティーナは自室へ向かった。そしてベッドに飛び込んだ。全身が痛い。寒さもあって傷口が開いてきたのか?体は悲鳴を上げている。魔物は床で寝ているようだ。


「お父さん?」
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