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【第三章】

勇者パーティを追放されたオレは、始まりの村のお花畑で微笑むモブ村娘を絶対に振り返らせたい.02

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「ようこそ はじまりのむら リンクスへ! みてみて このおはな キレイでしょう」

 その子は笑顔でそう答えると、また花壇の方に向き直った。

 ──なんだ、NPCモブか。

 オレは心の中で独りごちた。

 ……

 この世界には二種類の存在がいる。
 オレらのような冒険者、盗賊、果ては北の魔王まで。
 みな意思を持って自由に生き、どこへでも行けるモンだ。

 対して、宿屋の主人とか武器屋の主人──そしてこの子のような、同じことしか言わねえし、ひとつの事しかできねえやつらがいる。
 オレらはそいつらをNPCモブって呼んでる。
 なんのために、誰が創ったのか、それはわからない。
 でも、気の遠くなるくらい昔からモブ達は居たし、もう居るのが当たり前過ぎてだれも何も感じない。

 宿屋や武器屋の主は、まだいい。
 役割があり、その使命を全うしているから。

 でも、この子は──

 たぶん、この村ができた時からここに居て、そして村が終わってもいるのだろう。

 ようこそ。
 みてみて。

 そんなことを言いながら。
 なぜかその事に思いを馳せると。
 なぜか。

 胸に穴が空いているかのような感覚に襲われるのだった。

 ……

 で、目の前にいるこの子。
 いつまでここに、この花壇に立っているのだろう。

「おい」
「ようこそ はじまりのむら リンクスへ! みてみて このおはな キレイでしょう」
「そろそろ暗くなるぞ」
「ようこそ はじまりのむら リンクスへ! みてみて このおはな キレイでしょう」
「……はあ、だめか」

 モブに話しかけるヤツなんて、に越してきたばかりのヤツか、頭が沸いちゃってるヤツだけだ。

「じゃあな、風邪ひくなよ」
「ようこそ はじまりの……」

 律儀なヤツめ。
 クラウスのヤツにも見習わせてやりてえぜ。

 ……

「ちょっと、そこのお兄さん」
「うわあ!」

 びっくりした!
 あの子が話しかけてきたと思った。

「な、なんだよ?」
「復讐」
「は?」
「復讐、したいでしょ」

 あの子かと思ったその子は、にんまりと笑って、そう聞いてきた。
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