17 / 40
【第二章】
婚約破棄公爵令嬢リルオードは最後に第二王子の寵愛を受ける.02
しおりを挟む
リルお姉ちゃん。
リルお姉ちゃん。
待ってよお、リルお姉ちゃん。
やだ、クララもリルお姉ちゃんのがいい。
リルお姉ちゃんの、それ、クララにちょうだい。
やだやだ、リルお姉ちゃんのがいい、やーだー!
あら、リルオードお姉様。
お姉様のそのドレス、可愛いから同じのを仕立てさせましたの。
どう?
似合う?
あら、リルオード。
今夜のパーティなどとっくに終わりましたよ?
え? 明日だと? あたくしが?
言いがかりはおよしになって。
今日だと言ったはずですわ。
確かに。
……
「この度、アルフレッド・エングルフィールド王太子陛下と新たに婚約を結んだのは、あたくし、ウェントワース家のクラリッサでございますわ」
もはや頭の中は真っ白。
妹代わりのこの子が言うことばが、頭に入ってきません。
「昨晩、陛下がそう決めてくださったのです。……あたくしが、そこのリルオード・イングラム公爵嬢から受け続けた、いじめの日々。その告発を聞いてくださってから」
いじめ?
なんてこと。
ひどい。
やっぱりイングラム家はもう終わりだな。
パーティ会場の空気が敵意に満ちていきます。
「まって、クララ。いじめって、なんのこと?」
ばっ。
わたくしが差し出した手を、妹だったその子が払い除けます。
「触らないでくださいまし!」
「クララ……」
「皆様、聞いてくださいまし! このひとは陛下があたくしを好いてらっしゃるのを知ると、あたくしから何もかもをとりあげ、そして言語を絶するような、それはそれはひどい誹謗中傷を──」
がたんっ。
「奥様! 奥様っ!」
クララの声を遮るように、絶叫が響いたと思うと、血相を変えてパーティ会場に駆け込んでくる女性がいます。
わたくしはこの声を知っています。
小さい頃から母様と一緒にわたくしを見ていてくれたお付のレディースメイドの……
「お嬢様っ!」
「どうしたの、セシリー」
「奥様が……ハンナお母様がバルコニーから下へ……っ!」
リルお姉ちゃん。
待ってよお、リルお姉ちゃん。
やだ、クララもリルお姉ちゃんのがいい。
リルお姉ちゃんの、それ、クララにちょうだい。
やだやだ、リルお姉ちゃんのがいい、やーだー!
あら、リルオードお姉様。
お姉様のそのドレス、可愛いから同じのを仕立てさせましたの。
どう?
似合う?
あら、リルオード。
今夜のパーティなどとっくに終わりましたよ?
え? 明日だと? あたくしが?
言いがかりはおよしになって。
今日だと言ったはずですわ。
確かに。
……
「この度、アルフレッド・エングルフィールド王太子陛下と新たに婚約を結んだのは、あたくし、ウェントワース家のクラリッサでございますわ」
もはや頭の中は真っ白。
妹代わりのこの子が言うことばが、頭に入ってきません。
「昨晩、陛下がそう決めてくださったのです。……あたくしが、そこのリルオード・イングラム公爵嬢から受け続けた、いじめの日々。その告発を聞いてくださってから」
いじめ?
なんてこと。
ひどい。
やっぱりイングラム家はもう終わりだな。
パーティ会場の空気が敵意に満ちていきます。
「まって、クララ。いじめって、なんのこと?」
ばっ。
わたくしが差し出した手を、妹だったその子が払い除けます。
「触らないでくださいまし!」
「クララ……」
「皆様、聞いてくださいまし! このひとは陛下があたくしを好いてらっしゃるのを知ると、あたくしから何もかもをとりあげ、そして言語を絶するような、それはそれはひどい誹謗中傷を──」
がたんっ。
「奥様! 奥様っ!」
クララの声を遮るように、絶叫が響いたと思うと、血相を変えてパーティ会場に駆け込んでくる女性がいます。
わたくしはこの声を知っています。
小さい頃から母様と一緒にわたくしを見ていてくれたお付のレディースメイドの……
「お嬢様っ!」
「どうしたの、セシリー」
「奥様が……ハンナお母様がバルコニーから下へ……っ!」
10
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
第一王子と見捨てられた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
アナトール公爵令嬢のマリアは婚約者である第一王子のザイツからあしらわれていた。昼間お話することも、夜に身体を重ねることも、なにもなかったのだ。形だけの夫婦生活。ザイツ様の新しい婚約者になってやろうと躍起になるメイドたち。そんな中、ザイツは戦地に赴くと知らせが入った。夫婦関係なんてとっくに終わっていると思っていた矢先、マリアの前にザイツが現れたのだった。
お読みいただきありがとうございます。こちらの話は24話で完結とさせていただきます。この後は「第一王子と愛された公爵令嬢」に続いていきます。こちらもよろしくお願い致します。
俺の娘、チョロインじゃん!
ちゃんこ
ファンタジー
俺、そこそこイケてる男爵(32) 可愛い俺の娘はヒロイン……あれ?
乙女ゲーム? 悪役令嬢? ざまぁ? 何、この情報……?
男爵令嬢が王太子と婚約なんて、あり得なくね?
アホな俺の娘が高位貴族令息たちと仲良しこよしなんて、あり得なくね?
ざまぁされること必至じゃね?
でも、学園入学は来年だ。まだ間に合う。そうだ、隣国に移住しよう……問題ないな、うん!
「おのれぇぇ! 公爵令嬢たる我が娘を断罪するとは! 許さぬぞーっ!」
余裕ぶっこいてたら、おヒゲが素敵な公爵(41)が突進してきた!
え? え? 公爵もゲーム情報キャッチしたの? ぎゃぁぁぁ!
【ヒロインの父親】vs.【悪役令嬢の父親】の戦いが始まる?
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
異世界風聞録
焼魚圭
ファンタジー
目の前に広がる見覚えのない景色は見たこともない村。
幹人(みきひと)は村に住む男に見つかってしまいいきなり襲いかかられる。
逃げた先に立っていた魔女のリリに助けを求めることでどうにか助かったものの、そこは森の中に近所の街は寂れた場所で――
これから幕を開けるは街に蔓延る噂話や幹人とリリの恋愛と冒険にて綴られし物語!
※本作品は「ノベルアップ+」「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しております。
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
【完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる