4 / 40
【第一章】
大好きなお兄様を守れなかったバリキャリウーマンの私が幼女に転生したので、次は絶対に大好きなお兄様を守り切ります!!.04
しおりを挟む
そんな恋をこじらせている四歳の私、アリッサ・ファーンズワースだけど、困ったことが起きている。
大好きなお兄ちゃん──なぜこのセカイに居るのかはわからないけれど──レイモンド・ファーンズワース(と私)は、どうやら二週間前にお父さんが亡くなったみたいだ。
お墓参りに行って、分かった。
私の中の「四歳のアリッサ」が涙を流すのだ。
不思議な感覚だった。
見たことの無い人のために涙が溢れるというのは。
だがしかし。
困ったことは、お父さんが亡くなったことではない。
その後のことなのだ。
「あらー、レイモンドくん、おはよう。……ねえ、あのこと、考えてみてくれたぁ?」
厚化粧に香水がむんむん。
五十くらいだろうか。
年齢を省みもしない若作りが、あの御局様の宮地さんにそっくりだ。
「いいえ、バーバラ叔母さん。この家は、長男の息子である僕が継ぎます。この妹の、アリッサと一緒に」
きゃ。
お兄ちゃんが私の肩を抱き寄せる。
とっても力強くて、七歳にはとても見えなくて、私(広告代理店勤務三十九歳)は年甲斐もなく頬を赤らめてしまった。
……でも。
んふー。
キッつい化粧の匂いの奥から、これまた気持ちの悪い吐息を吐いて、その御局様は言った。
「そうは言ってもねえ。もともとお母さんもいないし、お父さんもいなくなっちゃったじゃなーい? おうちの色々、オトナに任せちゃうのがいいと思うなあ。たとえばうちのオーウェンとオリヴァーとか」
「やあ、レイモンド君──アリッサちゃん。こんにちは」
「こんにちは、お二人さん」
醜くて仕方ないバーバラ叔母さんの後ろから現れた七つくらい年上の双子の少年を見た時、私はなぜか知らない記憶がフラッシュバックして、そして気を失った。
大好きなお兄ちゃん──なぜこのセカイに居るのかはわからないけれど──レイモンド・ファーンズワース(と私)は、どうやら二週間前にお父さんが亡くなったみたいだ。
お墓参りに行って、分かった。
私の中の「四歳のアリッサ」が涙を流すのだ。
不思議な感覚だった。
見たことの無い人のために涙が溢れるというのは。
だがしかし。
困ったことは、お父さんが亡くなったことではない。
その後のことなのだ。
「あらー、レイモンドくん、おはよう。……ねえ、あのこと、考えてみてくれたぁ?」
厚化粧に香水がむんむん。
五十くらいだろうか。
年齢を省みもしない若作りが、あの御局様の宮地さんにそっくりだ。
「いいえ、バーバラ叔母さん。この家は、長男の息子である僕が継ぎます。この妹の、アリッサと一緒に」
きゃ。
お兄ちゃんが私の肩を抱き寄せる。
とっても力強くて、七歳にはとても見えなくて、私(広告代理店勤務三十九歳)は年甲斐もなく頬を赤らめてしまった。
……でも。
んふー。
キッつい化粧の匂いの奥から、これまた気持ちの悪い吐息を吐いて、その御局様は言った。
「そうは言ってもねえ。もともとお母さんもいないし、お父さんもいなくなっちゃったじゃなーい? おうちの色々、オトナに任せちゃうのがいいと思うなあ。たとえばうちのオーウェンとオリヴァーとか」
「やあ、レイモンド君──アリッサちゃん。こんにちは」
「こんにちは、お二人さん」
醜くて仕方ないバーバラ叔母さんの後ろから現れた七つくらい年上の双子の少年を見た時、私はなぜか知らない記憶がフラッシュバックして、そして気を失った。
10
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!
伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。
いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。
衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!!
パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。
*表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*
ー(*)のマークはRシーンがあります。ー
少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。
ホットランキング 1位(2021.10.17)
ファンタジーランキング1位(2021.10.17)
小説ランキング 1位(2021.10.17)
ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。
勇者のハーレムパーティを追放された男が『実は別にヒロインが居るから気にしないで生活する』ような物語(仮)
石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが
別に気にも留めていなかった。
元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、彼には時期的にやりたい事があったからだ。
リヒトのやりたかった事、それは、元勇者のレイラが奴隷オークションに出されると聞き、それに参加する事だった。
この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。
勿論ヒロインもチートはありません。
そんな二人がどうやって生きていくか…それがテーマです。
他のライトノベルや漫画じゃ主人公になれない筈の二人が主人公、そんな物語です。
最近、感想欄から『人間臭さ』について書いて下さった方がいました。
確かに自分の原点はそこの様な気がしますので書き始めました。
タイトルが実はしっくりこないので、途中で代えるかも知れません。
呪われた子と、家族に捨てられたけど、実は神様に祝福されてます。
光子
ファンタジー
前世、神様の手違いにより、事故で間違って死んでしまった私は、転生した次の世界で、イージーモードで過ごせるように、特別な力を神様に授けられ、生まれ変わった。
ーーー筈が、この世界で、呪われていると差別されている紅い瞳を宿して産まれてきてしまい、まさかの、呪われた子と、家族に虐められるまさかのハードモード人生に…!
8歳で遂に森に捨てられた私ーーキリアは、そこで、同じく、呪われた紅い瞳の魔法使いと出会う。
同じ境遇の紅い瞳の魔法使い達に出会い、優しく暖かな生活を送れるようになったキリアは、紅い瞳の偏見を少しでも良くしたいと思うようになる。
実は神様の祝福である紅の瞳を持って産まれ、更には、神様から特別な力をさずけられたキリアの物語。
恋愛カテゴリーからファンタジーに変更しました。混乱させてしまい、すみません。
自由にゆるーく書いていますので、暖かい目で読んで下さると嬉しいです。
全てを奪われ追放されたけど、実は地獄のようだった家から逃げられてほっとしている。もう絶対に戻らないからよろしく!
蒼衣翼
ファンタジー
俺は誰もが羨む地位を持ち、美男美女揃いの家族に囲まれて生活をしている。
家や家族目当てに近づく奴や、妬んで陰口を叩く奴は数しれず、友人という名のハイエナ共に付きまとわれる生活だ。
何よりも、外からは最高に見える家庭環境も、俺からすれば地獄のようなもの。
やるべきこと、やってはならないことを細かく決められ、家族のなかで一人平凡顔の俺は、みんなから疎ましがられていた。
そんなある日、家にやって来た一人の少年が、鮮やかな手並みで俺の地位を奪い、とうとう俺を家から放逐させてしまう。
やった! 準備をしつつも諦めていた自由な人生が始まる!
俺はもう戻らないから、後は頼んだぞ!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる