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パーティから追放された魔法使いのうちじゃけえ、ぶちでっかい秘密があるけえ、誰にも内緒じゃけえね
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えい!
えい!
えい!
えい!
「おーおー、朝から気合いが入ってるな、スミカ」
「ありゃ、ギルドマスター。見られてしもうた。お恥ずかしいけぇ、見ちゃあいかんよー」
うちは慌ててお飾りのロッドを隠したのであります。
「そんな努力家さんの魔法使いさんを、転生者様がよんでるぜ?」
ありゃ、うちを?
なんじゃろか。
まあでも最近は自宅でサブスキルの取得ばっかりじゃったけえ、久しぶりにタケしゃんに会えるのは嬉しいねえ。
……
「黒魔法使いスミカ! 転生者タケルの名において、お前をこのパーティから追放する!」
「……はい?」
ありゃ、タケしゃん。急にどしたん? そんなん怖い顔して。
「……はあ」
ありゃ、タケしゃん。急にどしたん? そんなんため息ついて。
……
王都の真ん中にある冒険者ギルドに呼び出されたうち──スミカは、ぽかんとなったのであります。
はて。
トレードマークの黒魔法使いの帽子をくいっと、いじいじいじってみても、なんと言われたかようわからん。
うちが……今なんて言いよった?
「タケル、気持ちは分かるぞ。……お前だ、スミカ。このパーティの魔法使いと言ったらお前しかいないだろ」
「ありがとうアレックス。そうだ。お前だ、魔法使いスミカ。いや……魔法使いですらないな。魔法がひとつも使えないのだから」
「そうよ、スミカ。タケル様は転生者で救世主さま。転生者様としてこの世にお生まれになった時のギフト・伝説の弓術には誰も勝てない。そしてあたし達はそんなタケル様を支えるエリートパーティ……何が言いたいかわかる?」
はて? 何じゃろうか。
「あんたみたいなお荷物さんはタケル様に相応しくないってことっ!」
ありゃ、アレックスさんにキャサリンさん。
それにタケしゃん。
みんな、どしたん?
そがいな、恐ろしか顔して。
「……うちんこと言いよっとる? もしかして」
「はああ……」
ありゃりゃ、そがいなふかーいため息ついちゃって。
(ありゃまあ……)
……
みんなのひやーい視線をあびてびっくり。
はじめてうち、スミカは自分がクビになったと知ったのでありました。
がくり。
ひとり宿屋に帰る不甲斐なさと足の重さときたら。
なんという悔しさでありましょうか。
なんという歯がゆさでありましょうか。
……でもまあ。
かっぽーん。
(内緒の約束をば、してたけぇねえ)
この宿のお湯、いつ浸かっても五臓六腑にしみるわあ。
(それが果たせんゆうのも、おもはゆいねぇ)
……ほんじゃがタケしゃんの弓はぶち強いけえ。
うちがおらんでも問題はないじゃろ。
このままおひとり様で羽を伸ばしてもええけれど。
せっかくじゃけえ、うちは出来ることしたい思うとる。
じゃとしたらうちが出来んのは……
なーんてことを宿屋の女湯に浸かって呟いておったら。
「ぱんぱかぱーん」
緑のふわふわロングヘアが目にもあざやか!
ありゃま、いつもの神様……ヒスイちゃんの登場であります。
「はーい、スミカさん! 冒険者ライフは満喫してますかー?」
わざと臭い大袈裟なリアクション。
年中水泳着みたいな珍奇な格好。
初めて会った時からあんたも変わらんねえ。
「……え、勇者パーティをクビになっちゃったんですかぁ?……マジですかっ!」
本当じゃ。うちは魔法が使えんけぇ。
……ゆうとる側から、こりゃまた自分がみじめになってくるのであります。
「おかしいですねえ。そんなはずないですけどねえ。だってスミカさんは……もがっ」
いけん。そりゃあいけん。
このお話読んどるそこのひとにも聞かれとうないんよ。
「でも、でも、みんな誤解してるだけなんですよぉー? なんとか誤解を解く為にも、早くギフトを……もががっ」
いけんちゅうたらいけん。あんなん絶対いらん。うちは欲しゅうない。次言うたら絶対許さんよ。
それにうちは決めたけえ。美味しいもん作ったり、影からこっそり見守って、ピンチを助けたりするだけなら。うちでも出来るけえね。
「けど、不思議ですねえ。どうして言わないんですか」
はて。何を?
「ほら、スミカさんはタケ……もがががー」
ええのええの!
それはいちばんの内緒じゃけん!
「ああっ! ちょっとー」
さ、使えんのなんてうちひとりでじゅうぶん。
帰った帰った。
「スミカさぁーん……」
さてと……
げに手のかかるタケしゃん。
うちがこれからえっと助けちゃらんとね!
「やっちゃるけえのう!」
ざぶーん。
「うわあ、びっくりしたわ」
「なんなん、あんた」
「おねえちゃん、おっぱい、おっきい!」
しもうた、ヒスイちゃんの姿や声がわかるんはうちだけじゃった。
あはは、皆の衆、堪忍じゃ。すまん、すまんのぅ。
……まあ、なにはともあれ。
こうして、魔法の使えん魔法使い、うちスミカのこっそりお助け大作戦が、始まったという訳なのであります。
……
「で、何しに来たんだ?」
ありゃ、タケしゃん。どしたん? そんなん冷たい目して。
……ああ、ちがったちがった。
「あんた好きじゃったじゃろ。クエストで疲れた思うて焼いてきたんじゃー。ほれ」
「あ? なんだこりゃ」
「なに言いよるのタケしゃん。あんた大好きやったやろ」
「……食ったことないけど?」
「またまたー。うちの手づくりしょっちゅう食べに来ちょったじゃろが」
「ああ? 知らねえったら……」
見てみい。ソースの甘い匂いに、かつお節も踊っちょる。
「……」
「タケル様、どしたの?」
「……ああ、いや、なんか急に懐かしい感じがして……」
ほれ見んさい。タケしゃんの目も釘付けじゃ。
「ほれほれー。タケしゃんの大好きな『お好み焼き』じゃ」
「おい、やめとけタケル。こんなわけのわからんもん……」
「……」
「タケル様、得体の知れないものを食べるとお腹を壊しますわ」
「……そだな。やめとくわ」
ええっ。
タケしゃんがうちのお好み焼きを食べんなんて。
驚愕なのであります。
「行くぞ」
ああっ、待ってえ。
後に残るはお好み焼きを持って立ち尽くすうちだけ。
痛恨の極みであります。
でも、うちは負けん。
男ん子は胃袋で掴む!
先人も言ってたであります。
負けん。負けんよー、タケしゃん!
……
「んー、んー」
じゅうじゅう焼けるお好み焼き。
小麦粉はギルドの食糧部から買えるし、ソースはとなりのレストランから譲ってもろうたデミグラスソースにリンゴをすりおろしてアレンジじゃ。
かつお節は、港町からもらった干し魚を細かく刻んで代用じゃ。
どうじゃ? うちんアイデアは。
ぶちすごかね。
「んー、んー」
あ、これか?
こりゃあね、昔タケしゃんが好きで、歌うとすぐに泣き止んだもんじゃ。
じゃけえうちの、十八番みたいなもんじゃのう。
懐かしいねえ。
こうして焼いとると、後ろからよく抱きついてきてくれたもんじゃ。
「うん、でけたでけた!」
お好み焼き作戦第十六弾、完成じゃ!
うわあ、いい匂いじゃあ!
今回は上手ういきそうな予感じゃ。
いざ、出撃なのであります。
……
「タケしゃーん! おーい!」
いたいた、原っぱのあがいな所でなにしとるんじゃろか。
「おーい、おーい!」
弓を構えるタケしゃんもカッコええねえ。
「おーい、お好み焼き、持って来たけえ、食べんかねえ」
「……おい! なにしてる」
「あら、アレックスさん。どしたん、そんな恐ろしか顔して」
「ばかっ、あぶねえ!」
「あ、タケしゃ──……」
どーん。
空高くから襲ってきたグリフィンに、うちは糸の切れた凧みたいに飛ばされよった。
「あーれー……」
うちは空を飛ぶ。
お好み焼きも空を飛ぶ。
ああっ。なんということでありましょうか。
よりによってソースを下にして落ちよりました。
「チッ! 喰らえ、二十ミリ機関砲 !」
だだだだーんっ。
あわれ、グリフィンは頭を射抜かれて、そのまま死んでしまったのであります。
……ああ、やっぱりかっこええねえ。うちのタケしゃんは。
飛行機、乗るの憧れだったけぇねぇ。
「タケしゃ──ぎゃんっ」
うちは頭から落ちてしもうて、そのまま意識を失ってしまったのでありました。
……
「スミねえ、メシ食べに来た!」
「はいはい、いらっしゃいタケしゃん。もうちょい待っとってね」
「うわあ、美味そう! 俺の好きなやつじゃ」
「ふふ、あんたの好きなのはいっつもこれじゃけんね……はーい、お待たせしたけぇねぇ」
……
「うめー、やっぱスミねえのは格別じゃのう」
「当たり前じゃろが、何年作ってると思うとるんじゃ」
「肉、よく手に入ったな」
「朝から配給に並んだけぇね」
「うめー。……あーあ。しばらくはこの味ともお別れか」
「なんじゃ、どしたん」
「来たんだよ、今朝。俺んとこにも」
「何がね」
……
「はっ」
助けるはずがひとり野原に突っ伏して醜態を晒すうちは、草のちくちく当たる感覚で目覚めたのであります。
「……タケしゃん。タケしゃん!」
愛しい愛しい、となり近所の男ん子だった名前を呼ぶも、時すでに遅し。
勇者一行は、その場を後にしておったのでありました。
「ん?」
いや。
よく見るとそこには、落っこったはずのお皿に、お箸がきちんと揃えて置いてあります。
更にお箸を重し代わりに、紙が挟んであります。
「なんじゃろか」
そして。
その時のうちの気持ちときたら。
まるで天に昇るかのようでありました。
『美味かった。懐かしい味だった。ありがとう』
タケしゃんはいなかったけれど、るんるんのうちはスキップして宿屋に帰ったんじゃ。
……
その夜は魔法の練習をばしよったのであります。
……
えい!
えい!
おかしいねぇ。
うちはげに魔法使い、スミカなんじゃろうか。
えい!
えい!
いくらロッドを振っても、火の粉ひとつも出ないけぇ。
えい!
えい!
『スミさん、なんです、そのへっぴり腰は』
えい!
えい!
……懐かしいねえ。
あれは、婦人会の会長さんやったじゃろか。
……
えい!
えい!
えい!
えい!
「もっと腰を入れて! にくいにくい敵兵を貫く意志をしめすのですよ!」
えい!
えい!
えい!
えい!
「スミさん、なんです、そのへっぴり腰は」
「すいません、がんばりますけん」
えい!
えい!
「そんなんでは、お国の為遠い戦地で戦う兵隊さんの銃後を守れませんよっ」
えい!
えい!
「はあ、はあ、はい、わかっとりますけえ……はあ、約束、はあ、はあ、しよりましたけぇ」
えい!
えい!
「ほらほら、もっと腰をさげて!」
『広島中央放送局が午前八時をお知らせします』
「はいはい、みんな、休憩しましょ……スミさん、スミさん、もうええから、休みんしゃい」
「ええです。もう少し、練習したいんです。約束したんです。あん人が帰ってきよる場所、守るって」
えい!
えい!
えい!
「じゃああと十五分ね。ほらみなさん、お水飲んで休んで」
えい!
えい!
えい!
(うち、うちは信じんよ)
えい!
えい!
(あんな紙切れ一枚で)
えい!
えい!
ぶぉーん。
あ! あんのにっくい飛行機め。
あんなのに乗ってる奴らをやっつけようとして。
……あん人が死んだなんて。
えい!
えい!
ええい、にくかにくか!
うちに魔法が使えて。
この竹槍、届けばええのに。
あの太陽まで、届けばええのに。
──かっ──
届けばえかったのに──
……
「うわあっ!」
わあ、びっくりしよったわ。
心の臓がお寺の鐘みたいに鳴っとる。
いつの間に寝ちょったようであります。
ずんっ。
ありゃ。地震かねぇ。
こっち来てから、地震なんて……
ずずんっ。
いや、これ地震ちがう。
何か……何か恐ろしかバケモンが王都で暴れてる……?
(タケしゃん!)
気がついたらうちは使えもしないロッドを持って宿屋を飛び出したのでありました。
……
届けばええのに。
届けばええのに。
それは、いつじゃろか。
それは、今じゃないじゃろか。
届けばええのに。
うちの想い。
あん人に。
タケしゃんに。
……
「ぐっ、なんでこんな街中に暗黒竜がっ」
「アレックス、さがれ! 二十ミリ機関砲! ……! 効かないっ? ぐあっ」
「タケル様!」
おお、居った!
大ピンチじゃ!
タケしゃん、いまうちが行くけえね!
「おーい! おーい!」
「スミカっ? お前なんでっ」
「うちが来よったけぇ、もう安心じゃ!」
なんと勇ましい。
この想い人のため立ち上がるうちの凛々しさ、そこのあんたにも見せたげたいわ。
じゃけえ、今うちは本気じゃけえね。
「ばかお前、魔法も使えないのにどうやって……」
「この飛行機をやっつければええんじゃろ!」
「ひ、ひこーきだって? 何言ってる……」
「届けばええのに」
「はあ、なんだって?」
「それはいつ?」
……それは、今じゃ!
「ヒスイっ! 出てきんしゃい」
うちは、あのやかましい神様を読んだ。
「はいはーい! 呼ばれて飛び出てぱんぱかぱーん!」
「あの魔法、使わしてつかぁさいっ!」
「あいわかったー! 合点承知之助!」
珍奇な神様に珍奇な魔法使い。
それを見ているタケしゃんも、珍奇な顔しちょる。
「ヒスイ……なんでお前……スミカに見えてるんだ?」
「タケルさん、貴方だけじゃないんです。この世界に遣わされたのは」
「へ……?」
「先に逝った貴方を追って、追いかけてきた女の子が居るんです! ここに!」
「俺を……追って?」
「そう、それがまさしくスミ……もがーっ」
あぶないっ!
あぶなかったねぇ!
それはぶち大切な秘密じゃけぇねぇ!
「それ以上は言ったらあかん! それより、あの魔法、使わしてつかぁさいっ!」
「ふぁーい、ではカウントスリーで行きますよー!」
「タケしゃん! 今からとびきりの魔法、出すけえ。なるべく、なるべく遠くに逃げてつかぁさい!」
「あ、ああ。……なあ、お前……もしかして……」
「ええから! ええから早く逃げて!」
「タケルさん、危険です、半径五十メートルより外側に今すぐ退避してください!」
ぶぉーん!
大きな大きな飛行機が、プロペラをぶんぶんまわす。
こんのにっくい飛行機──たしかBなんとか──が、うちを、広島のみんなを、あん人が帰る場所を焼いたんじゃ!
「カウントいくよっ、スミちゃん!」
ちらり。
「さん!」
後ろを振り返る。
タケしゃんがアレックスさんに担がれて逃げてる。
「にぃ!」
ちょうど、五十メートル離れた……ように見えたのであります。
「いーち!」
ぶおおおおっ!
飛行機がひときわ大きくプロペラを鳴らしよる。
「呪文を! スミちゃん!」
「──我は乞う。太陽の輝き。禁忌の炎。地獄の輝き。爆ぜよ、重原子核爆発! 」
──かっ──
ぐあああっ。
数万度の光が、暗黒の竜の身体を焼き尽くしていく。
もちろん、放った術者である、うちの身体も。
(タケしゃん)
「スミカ……いや、スミねえ!」
(ふふ、ようやっと思い出してくれたんじゃねぇ)
「待ってくれ、行かないでくれ!」
(……ほんと言うと、うちもタケしゃんと離れとうない)
「俺が悪かった、なんもかんも忘れて……スミねえのこと……」
(でも、約束、守れたんよ。あんたと交わした、あの日の約束)
「スミねえ……」
(あんたが帰るところ、守れてうれしい)
「……」
(うちは、もう生きた……たくさん生きた。だから次は……)
(あんたが……生きる……ばんじゃけぇ……ね)
ごおおおおっ。
熱球は小さな小さな光の玉になって、暗黒竜ごと、消えた。
そこにはもう、スミカゆう魔法使いは、もうおらん。
めでたしめでたし。
はっぴーえんど、じゃけえねえ。
……
「スミねえーっ!」
……
ふふ。泣き虫やねえ。
タケしゃんは。
「スミねえ、本当は俺、いきたくねえ。いきだぐねえよおっ」
「大丈夫じゃ。あんたが帰る場所は、うちが守るけぇ。飛行機乗りになるのが、夢じゃったんじゃろ?」
「……うん……」
「ほら、おいで」
ぎゅーっ。
「帰るとこは、必ず守る。絶対守る。じゃけえ、行ってらっしゃい」
……
行ってらっしゃい。飛行機乗りで転生者で救世主の。
タケしゃん。
……
えい!
えい!
えい!
えい!
ふうー。
今日も広島は、良い風じゃあっ。
【完】
えい!
えい!
えい!
「おーおー、朝から気合いが入ってるな、スミカ」
「ありゃ、ギルドマスター。見られてしもうた。お恥ずかしいけぇ、見ちゃあいかんよー」
うちは慌ててお飾りのロッドを隠したのであります。
「そんな努力家さんの魔法使いさんを、転生者様がよんでるぜ?」
ありゃ、うちを?
なんじゃろか。
まあでも最近は自宅でサブスキルの取得ばっかりじゃったけえ、久しぶりにタケしゃんに会えるのは嬉しいねえ。
……
「黒魔法使いスミカ! 転生者タケルの名において、お前をこのパーティから追放する!」
「……はい?」
ありゃ、タケしゃん。急にどしたん? そんなん怖い顔して。
「……はあ」
ありゃ、タケしゃん。急にどしたん? そんなんため息ついて。
……
王都の真ん中にある冒険者ギルドに呼び出されたうち──スミカは、ぽかんとなったのであります。
はて。
トレードマークの黒魔法使いの帽子をくいっと、いじいじいじってみても、なんと言われたかようわからん。
うちが……今なんて言いよった?
「タケル、気持ちは分かるぞ。……お前だ、スミカ。このパーティの魔法使いと言ったらお前しかいないだろ」
「ありがとうアレックス。そうだ。お前だ、魔法使いスミカ。いや……魔法使いですらないな。魔法がひとつも使えないのだから」
「そうよ、スミカ。タケル様は転生者で救世主さま。転生者様としてこの世にお生まれになった時のギフト・伝説の弓術には誰も勝てない。そしてあたし達はそんなタケル様を支えるエリートパーティ……何が言いたいかわかる?」
はて? 何じゃろうか。
「あんたみたいなお荷物さんはタケル様に相応しくないってことっ!」
ありゃ、アレックスさんにキャサリンさん。
それにタケしゃん。
みんな、どしたん?
そがいな、恐ろしか顔して。
「……うちんこと言いよっとる? もしかして」
「はああ……」
ありゃりゃ、そがいなふかーいため息ついちゃって。
(ありゃまあ……)
……
みんなのひやーい視線をあびてびっくり。
はじめてうち、スミカは自分がクビになったと知ったのでありました。
がくり。
ひとり宿屋に帰る不甲斐なさと足の重さときたら。
なんという悔しさでありましょうか。
なんという歯がゆさでありましょうか。
……でもまあ。
かっぽーん。
(内緒の約束をば、してたけぇねえ)
この宿のお湯、いつ浸かっても五臓六腑にしみるわあ。
(それが果たせんゆうのも、おもはゆいねぇ)
……ほんじゃがタケしゃんの弓はぶち強いけえ。
うちがおらんでも問題はないじゃろ。
このままおひとり様で羽を伸ばしてもええけれど。
せっかくじゃけえ、うちは出来ることしたい思うとる。
じゃとしたらうちが出来んのは……
なーんてことを宿屋の女湯に浸かって呟いておったら。
「ぱんぱかぱーん」
緑のふわふわロングヘアが目にもあざやか!
ありゃま、いつもの神様……ヒスイちゃんの登場であります。
「はーい、スミカさん! 冒険者ライフは満喫してますかー?」
わざと臭い大袈裟なリアクション。
年中水泳着みたいな珍奇な格好。
初めて会った時からあんたも変わらんねえ。
「……え、勇者パーティをクビになっちゃったんですかぁ?……マジですかっ!」
本当じゃ。うちは魔法が使えんけぇ。
……ゆうとる側から、こりゃまた自分がみじめになってくるのであります。
「おかしいですねえ。そんなはずないですけどねえ。だってスミカさんは……もがっ」
いけん。そりゃあいけん。
このお話読んどるそこのひとにも聞かれとうないんよ。
「でも、でも、みんな誤解してるだけなんですよぉー? なんとか誤解を解く為にも、早くギフトを……もががっ」
いけんちゅうたらいけん。あんなん絶対いらん。うちは欲しゅうない。次言うたら絶対許さんよ。
それにうちは決めたけえ。美味しいもん作ったり、影からこっそり見守って、ピンチを助けたりするだけなら。うちでも出来るけえね。
「けど、不思議ですねえ。どうして言わないんですか」
はて。何を?
「ほら、スミカさんはタケ……もがががー」
ええのええの!
それはいちばんの内緒じゃけん!
「ああっ! ちょっとー」
さ、使えんのなんてうちひとりでじゅうぶん。
帰った帰った。
「スミカさぁーん……」
さてと……
げに手のかかるタケしゃん。
うちがこれからえっと助けちゃらんとね!
「やっちゃるけえのう!」
ざぶーん。
「うわあ、びっくりしたわ」
「なんなん、あんた」
「おねえちゃん、おっぱい、おっきい!」
しもうた、ヒスイちゃんの姿や声がわかるんはうちだけじゃった。
あはは、皆の衆、堪忍じゃ。すまん、すまんのぅ。
……まあ、なにはともあれ。
こうして、魔法の使えん魔法使い、うちスミカのこっそりお助け大作戦が、始まったという訳なのであります。
……
「で、何しに来たんだ?」
ありゃ、タケしゃん。どしたん? そんなん冷たい目して。
……ああ、ちがったちがった。
「あんた好きじゃったじゃろ。クエストで疲れた思うて焼いてきたんじゃー。ほれ」
「あ? なんだこりゃ」
「なに言いよるのタケしゃん。あんた大好きやったやろ」
「……食ったことないけど?」
「またまたー。うちの手づくりしょっちゅう食べに来ちょったじゃろが」
「ああ? 知らねえったら……」
見てみい。ソースの甘い匂いに、かつお節も踊っちょる。
「……」
「タケル様、どしたの?」
「……ああ、いや、なんか急に懐かしい感じがして……」
ほれ見んさい。タケしゃんの目も釘付けじゃ。
「ほれほれー。タケしゃんの大好きな『お好み焼き』じゃ」
「おい、やめとけタケル。こんなわけのわからんもん……」
「……」
「タケル様、得体の知れないものを食べるとお腹を壊しますわ」
「……そだな。やめとくわ」
ええっ。
タケしゃんがうちのお好み焼きを食べんなんて。
驚愕なのであります。
「行くぞ」
ああっ、待ってえ。
後に残るはお好み焼きを持って立ち尽くすうちだけ。
痛恨の極みであります。
でも、うちは負けん。
男ん子は胃袋で掴む!
先人も言ってたであります。
負けん。負けんよー、タケしゃん!
……
「んー、んー」
じゅうじゅう焼けるお好み焼き。
小麦粉はギルドの食糧部から買えるし、ソースはとなりのレストランから譲ってもろうたデミグラスソースにリンゴをすりおろしてアレンジじゃ。
かつお節は、港町からもらった干し魚を細かく刻んで代用じゃ。
どうじゃ? うちんアイデアは。
ぶちすごかね。
「んー、んー」
あ、これか?
こりゃあね、昔タケしゃんが好きで、歌うとすぐに泣き止んだもんじゃ。
じゃけえうちの、十八番みたいなもんじゃのう。
懐かしいねえ。
こうして焼いとると、後ろからよく抱きついてきてくれたもんじゃ。
「うん、でけたでけた!」
お好み焼き作戦第十六弾、完成じゃ!
うわあ、いい匂いじゃあ!
今回は上手ういきそうな予感じゃ。
いざ、出撃なのであります。
……
「タケしゃーん! おーい!」
いたいた、原っぱのあがいな所でなにしとるんじゃろか。
「おーい、おーい!」
弓を構えるタケしゃんもカッコええねえ。
「おーい、お好み焼き、持って来たけえ、食べんかねえ」
「……おい! なにしてる」
「あら、アレックスさん。どしたん、そんな恐ろしか顔して」
「ばかっ、あぶねえ!」
「あ、タケしゃ──……」
どーん。
空高くから襲ってきたグリフィンに、うちは糸の切れた凧みたいに飛ばされよった。
「あーれー……」
うちは空を飛ぶ。
お好み焼きも空を飛ぶ。
ああっ。なんということでありましょうか。
よりによってソースを下にして落ちよりました。
「チッ! 喰らえ、二十ミリ機関砲 !」
だだだだーんっ。
あわれ、グリフィンは頭を射抜かれて、そのまま死んでしまったのであります。
……ああ、やっぱりかっこええねえ。うちのタケしゃんは。
飛行機、乗るの憧れだったけぇねぇ。
「タケしゃ──ぎゃんっ」
うちは頭から落ちてしもうて、そのまま意識を失ってしまったのでありました。
……
「スミねえ、メシ食べに来た!」
「はいはい、いらっしゃいタケしゃん。もうちょい待っとってね」
「うわあ、美味そう! 俺の好きなやつじゃ」
「ふふ、あんたの好きなのはいっつもこれじゃけんね……はーい、お待たせしたけぇねぇ」
……
「うめー、やっぱスミねえのは格別じゃのう」
「当たり前じゃろが、何年作ってると思うとるんじゃ」
「肉、よく手に入ったな」
「朝から配給に並んだけぇね」
「うめー。……あーあ。しばらくはこの味ともお別れか」
「なんじゃ、どしたん」
「来たんだよ、今朝。俺んとこにも」
「何がね」
……
「はっ」
助けるはずがひとり野原に突っ伏して醜態を晒すうちは、草のちくちく当たる感覚で目覚めたのであります。
「……タケしゃん。タケしゃん!」
愛しい愛しい、となり近所の男ん子だった名前を呼ぶも、時すでに遅し。
勇者一行は、その場を後にしておったのでありました。
「ん?」
いや。
よく見るとそこには、落っこったはずのお皿に、お箸がきちんと揃えて置いてあります。
更にお箸を重し代わりに、紙が挟んであります。
「なんじゃろか」
そして。
その時のうちの気持ちときたら。
まるで天に昇るかのようでありました。
『美味かった。懐かしい味だった。ありがとう』
タケしゃんはいなかったけれど、るんるんのうちはスキップして宿屋に帰ったんじゃ。
……
その夜は魔法の練習をばしよったのであります。
……
えい!
えい!
おかしいねぇ。
うちはげに魔法使い、スミカなんじゃろうか。
えい!
えい!
いくらロッドを振っても、火の粉ひとつも出ないけぇ。
えい!
えい!
『スミさん、なんです、そのへっぴり腰は』
えい!
えい!
……懐かしいねえ。
あれは、婦人会の会長さんやったじゃろか。
……
えい!
えい!
えい!
えい!
「もっと腰を入れて! にくいにくい敵兵を貫く意志をしめすのですよ!」
えい!
えい!
えい!
えい!
「スミさん、なんです、そのへっぴり腰は」
「すいません、がんばりますけん」
えい!
えい!
「そんなんでは、お国の為遠い戦地で戦う兵隊さんの銃後を守れませんよっ」
えい!
えい!
「はあ、はあ、はい、わかっとりますけえ……はあ、約束、はあ、はあ、しよりましたけぇ」
えい!
えい!
「ほらほら、もっと腰をさげて!」
『広島中央放送局が午前八時をお知らせします』
「はいはい、みんな、休憩しましょ……スミさん、スミさん、もうええから、休みんしゃい」
「ええです。もう少し、練習したいんです。約束したんです。あん人が帰ってきよる場所、守るって」
えい!
えい!
えい!
「じゃああと十五分ね。ほらみなさん、お水飲んで休んで」
えい!
えい!
えい!
(うち、うちは信じんよ)
えい!
えい!
(あんな紙切れ一枚で)
えい!
えい!
ぶぉーん。
あ! あんのにっくい飛行機め。
あんなのに乗ってる奴らをやっつけようとして。
……あん人が死んだなんて。
えい!
えい!
ええい、にくかにくか!
うちに魔法が使えて。
この竹槍、届けばええのに。
あの太陽まで、届けばええのに。
──かっ──
届けばえかったのに──
……
「うわあっ!」
わあ、びっくりしよったわ。
心の臓がお寺の鐘みたいに鳴っとる。
いつの間に寝ちょったようであります。
ずんっ。
ありゃ。地震かねぇ。
こっち来てから、地震なんて……
ずずんっ。
いや、これ地震ちがう。
何か……何か恐ろしかバケモンが王都で暴れてる……?
(タケしゃん!)
気がついたらうちは使えもしないロッドを持って宿屋を飛び出したのでありました。
……
届けばええのに。
届けばええのに。
それは、いつじゃろか。
それは、今じゃないじゃろか。
届けばええのに。
うちの想い。
あん人に。
タケしゃんに。
……
「ぐっ、なんでこんな街中に暗黒竜がっ」
「アレックス、さがれ! 二十ミリ機関砲! ……! 効かないっ? ぐあっ」
「タケル様!」
おお、居った!
大ピンチじゃ!
タケしゃん、いまうちが行くけえね!
「おーい! おーい!」
「スミカっ? お前なんでっ」
「うちが来よったけぇ、もう安心じゃ!」
なんと勇ましい。
この想い人のため立ち上がるうちの凛々しさ、そこのあんたにも見せたげたいわ。
じゃけえ、今うちは本気じゃけえね。
「ばかお前、魔法も使えないのにどうやって……」
「この飛行機をやっつければええんじゃろ!」
「ひ、ひこーきだって? 何言ってる……」
「届けばええのに」
「はあ、なんだって?」
「それはいつ?」
……それは、今じゃ!
「ヒスイっ! 出てきんしゃい」
うちは、あのやかましい神様を読んだ。
「はいはーい! 呼ばれて飛び出てぱんぱかぱーん!」
「あの魔法、使わしてつかぁさいっ!」
「あいわかったー! 合点承知之助!」
珍奇な神様に珍奇な魔法使い。
それを見ているタケしゃんも、珍奇な顔しちょる。
「ヒスイ……なんでお前……スミカに見えてるんだ?」
「タケルさん、貴方だけじゃないんです。この世界に遣わされたのは」
「へ……?」
「先に逝った貴方を追って、追いかけてきた女の子が居るんです! ここに!」
「俺を……追って?」
「そう、それがまさしくスミ……もがーっ」
あぶないっ!
あぶなかったねぇ!
それはぶち大切な秘密じゃけぇねぇ!
「それ以上は言ったらあかん! それより、あの魔法、使わしてつかぁさいっ!」
「ふぁーい、ではカウントスリーで行きますよー!」
「タケしゃん! 今からとびきりの魔法、出すけえ。なるべく、なるべく遠くに逃げてつかぁさい!」
「あ、ああ。……なあ、お前……もしかして……」
「ええから! ええから早く逃げて!」
「タケルさん、危険です、半径五十メートルより外側に今すぐ退避してください!」
ぶぉーん!
大きな大きな飛行機が、プロペラをぶんぶんまわす。
こんのにっくい飛行機──たしかBなんとか──が、うちを、広島のみんなを、あん人が帰る場所を焼いたんじゃ!
「カウントいくよっ、スミちゃん!」
ちらり。
「さん!」
後ろを振り返る。
タケしゃんがアレックスさんに担がれて逃げてる。
「にぃ!」
ちょうど、五十メートル離れた……ように見えたのであります。
「いーち!」
ぶおおおおっ!
飛行機がひときわ大きくプロペラを鳴らしよる。
「呪文を! スミちゃん!」
「──我は乞う。太陽の輝き。禁忌の炎。地獄の輝き。爆ぜよ、重原子核爆発! 」
──かっ──
ぐあああっ。
数万度の光が、暗黒の竜の身体を焼き尽くしていく。
もちろん、放った術者である、うちの身体も。
(タケしゃん)
「スミカ……いや、スミねえ!」
(ふふ、ようやっと思い出してくれたんじゃねぇ)
「待ってくれ、行かないでくれ!」
(……ほんと言うと、うちもタケしゃんと離れとうない)
「俺が悪かった、なんもかんも忘れて……スミねえのこと……」
(でも、約束、守れたんよ。あんたと交わした、あの日の約束)
「スミねえ……」
(あんたが帰るところ、守れてうれしい)
「……」
(うちは、もう生きた……たくさん生きた。だから次は……)
(あんたが……生きる……ばんじゃけぇ……ね)
ごおおおおっ。
熱球は小さな小さな光の玉になって、暗黒竜ごと、消えた。
そこにはもう、スミカゆう魔法使いは、もうおらん。
めでたしめでたし。
はっぴーえんど、じゃけえねえ。
……
「スミねえーっ!」
……
ふふ。泣き虫やねえ。
タケしゃんは。
「スミねえ、本当は俺、いきたくねえ。いきだぐねえよおっ」
「大丈夫じゃ。あんたが帰る場所は、うちが守るけぇ。飛行機乗りになるのが、夢じゃったんじゃろ?」
「……うん……」
「ほら、おいで」
ぎゅーっ。
「帰るとこは、必ず守る。絶対守る。じゃけえ、行ってらっしゃい」
……
行ってらっしゃい。飛行機乗りで転生者で救世主の。
タケしゃん。
……
えい!
えい!
えい!
えい!
ふうー。
今日も広島は、良い風じゃあっ。
【完】
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