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【灰島月子の学級-一】
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灰島月子は目を開ける。
目の前には扉がある。
引き戸だ。
水色で、木で出来ていて、重そうな扉。
ガラスがはめ込んであるけど、磨りガラスで中は見えない。
笑い声が聞こえる。
女の子達の笑い声だ。
そうか、立川の教育実習の時の教室か。
と、思ったけど、あの学校の扉はこれよりも軽い、金属で出来ていたはず。
この重そうな、ペンキの剥げかけた、水色のこの扉は──
小平の、月子が通っていた学校の、あの立て付けが悪くて無駄に重い、あの扉だ。
上を見る。
クラスの札が刺してある。
──五年二組。
こっち来て。一緒に遊ぼう。
ひすいの声がした。
「ひすい?」
がらがら。
思わず扉を開けた。
「あ、月子先生だ!」
広い教室に、机が四つ。
そこに無駄にカラフルな女の子が四人、座っている。
「先生、早くー」
「授業、始めましょ」
「まっテたヨ」
「……ほら、早く」
促されるまま、教卓まで歩く。
気がつくと、名簿を手に持っていた。
名簿を教卓に置いて、まずは教室を見回す。
壁に貼られた習字。
仲良し、と書いてある。
実際はいじめだらけで、ぜんぜん仲良しなんかじゃなかった、あの習字。
後ろの小さな黒板には、宿題が書いてある。
算数ドリル三十二ページ。
漢字プリント。
夏休みの感想文。
日付は──
九月一日。
黒板の下にはロッカーがある。
本当ならたくさんの上履き袋やら体育着袋やら掛かっているはすだが、今は真ん中の四つしか使われていない。
更に下に視線を下げる。
床のタイルは木で出来ていて、あちこち浮いてぼこぼこだ。
よく机が引っかかって、掃除の時動かすのに苦労した。
窓の外を見る。
昼下がり、残暑の暑い日差しが差し込んで、教室を暑くしている。
エアコンの無い頃だったから、教室は暑い。
ここで初めて、自分が今あのダークグレーのリクルートスーツを着ていることがわかった。
景色をよく見る。
四階から見える、桜の木のてっぺんに、校庭を囲むフェンス。
その向こうには、片側一車線の道路が走っていて、さらに向こうには茶色い壁のアパートと、灰色の雑居ビル。
何から何まで、「あの日の」小平の五年二組だった。
「せーんせ!」
呼ばれて視線を女の子達に戻す。
やたらとカラフルな女の子達だ。
そして皆の顔は、とても──ひすいに似ている。
「はいはーい! みなさん、おはようございます」
明るい声でドアが開く。
声の方を見る。
万年背の順一番目くらいに小柄な身長。
ふわふわのパーマがかかっている腰まである長い髪。
髪の色は翡翠の色だ。
くりくりした可愛い目もまた、緑色だ。
髪と目の色以外、ひすいと全く同じの、月子が大好きだった二十一歳のひすいが教室に入ってきた。
「ひすい……」
思わずその名を呼んだ。
「ふふふ」
ひすいは首を傾けてにっこりわらった。
「ひすい先生!」
「おはようございます!」
子供達が嬉しそうに声をあげる。
「はい、おはようございます。今日は、みなさんにお知らせがあります」
白のブラウス、緑色のカーディガン、黒いスカート。
優しい雰囲気の、理想の先生だ。
「今日からしばらく、教育実習の先生が来てくれています」
わあっ。
女の子達がどよめきたつ。
かっかっ。
ひすいが黒板に名前を書く。
灰島月子。
「灰島月子先生です」
ひすいが、紹介する。
「知ってる!」
「つきこ……せんセイでショ」
「そうね、みんなで待ってたもんね」
ひすいがみんなと一緒に笑う。
「毎日一緒だったもん!」
「お話たくさん……した……」
子供達は自慢気に声を上げる。
ひすいを見る。
とても幸せそうで、とても嬉しそうだ。
「ひすい」
しっ。
ひすいが人差し指を口に持っていく。
「子供達の前では、緑川先生、でお願いしますね、いちお」
「あ……すいません」
なぜか敬語になった。
「一応、ですよ、一応」
そう言って、にっこり笑う。
「じゃあみんな、自己紹介、しましょうか」
緑川先生が明るくにっこりする。
はいっ。
赤毛の子が手を上げる。
「じゃあ、赤城さんから、順番ね」
緑川先生が指名した赤城と名乗る子が立ち上がった。
赤いTシャツにベージュのキュロット。活発そうだ。
「赤城ぼたんです! 好きな授業は、体育と給食です」
「給食は授業じゃナイでショ」
「ありゃ、そうだっけ!」
赤毛で、腰まであるポニーテール、緋色の瞳、背は一番低いけれど元気いっぱいのぼたんは、頭を掻いて笑った。
「蒼井アキよ。好きな授業は音楽、好きなジャニーズは……」
「あー、アキのアイドル話が始まるー!」
「いいじゃない! もう!」
青い髪のツーサイドアップ、青い瞳、皆の中で一番身長の高いアキは、ムキになって怒った。
白い半袖のブラウスの上に水色のワンピースを合わせている。
お嬢様っぽくてお洒落だ。
「桃原サクラでス。スきな授業ハ、図工。嫌いなのは」
「ほうれん草よね!」
「そう、だいきライなノ。抹殺したイ」
ピンクの髪の、癖のあるボブ、桃色の瞳は斜視になっている。
額に大きな傷のあるサクラは、うんうんと、カタコトの言葉で頷いた。
白いTシャツの上にピンクのパーカーを目深に被っている。デニムのショートパンツ。
暑くないのかな。
「……金野つばき。好きな授業は……国語。好きな本は、吾輩は猫である。どこが好きかというと……」
「はいはーい、そこまでそこまで」
「……うう。いつも言わせてくれない……」
金色の髪を二つに分けてお団子にしている。
金色の瞳、肌の色は皆より濃い小麦色の女の子、つばきは、目を逸らして俯いた。
黄色いTシャツの上にデニムのジャンバースカートを着ている。
年齢より幼く見える。
「さ、じゃあ、灰島さん、お願いします」
緑川先生がにっこり笑う。
「あ……」
女の子達を見る。
みんな、月子を見ている。
緊張、した。
「あの……えと……」
しばらく下を向いてしどろもどろした。
大丈夫、だよ。
ひすいの声が聞こえた。
ハッとする。
──そうだ、あたしは先生になりたかったんだ。
いじめのない、クラスを。
いじめのない、学校を。
作りたかったんだ。
月子は背筋を伸ばした。
「灰島月子です。八王子の大学から来ました。みんなとは、とっても仲良くしたいです。決していじめのない、そんな学校を作りたいと思っています。……どうぞよろしくお願いします」
ぱちぱちぱちぱち。
女の子達が手を叩く。
みんな、カラフルだ。
みんな違う。
ぼたんさんも、アキさんも、サクラさんも、つばきさんも。
身長も肌の色も、障がいの有無も、言葉遣いも。
でも、みんな仲良しだ。
これだ。
こんな学級を目指してた。
こんなクラスを夢見てた。
守らなきゃ。
あたしだけのクラス。
あたしだけの女の子達を。
あたしは今日から、この子達の先生になるんだ。
「月子って、呼んでね」
精一杯の笑顔で笑った。
「月子先生!」
「よろしくね!」
「せんせイ、おともだチになっテ」
「……一緒に、本、読もう……」
子供達は月子を受け入れた。
「じゃあ、これからみなさんで学校案内、してあげてください」
緑川先生が微笑む。
「はーい!」
子供達が一斉に手を挙げる。
ぼたんを先頭に、学校案内が始まった。
本当はもう、隅々まで知っているけど。
みんなの案内をひとつひとつ周って丁寧に聞いた。
給食室の前でぼたんがはしゃいだ。
音楽室でアキがピアノを弾いてくれた。
図工室の電動ノコギリの前でサクラが目を輝かせた。
図書室でおすすめの本をつばきが持ってきた。
嬉しかった。
懐かしかった。
あんなに嫌だった学校が、輝いて見えた。
「最後は飼育小屋! サクラがお世話してるんだよ!」
ぼたんが自慢気に言う。
どうやらサクラがいきものがかりらしい。
三畳程の小屋に、トタン屋根。
緑の菱形の、目の細かいフェンス。
校庭の隅に、その小屋はあった。
あれ。こんな小屋、あったっけ。
「みてミテ。あたシのペット!」
パーカーを被った斜視のサクラが、八重歯を見せて笑う。
中を見て、凍りついた。
裸で、首輪を付けられた白鳥萌が、そこにいた。
目の前には扉がある。
引き戸だ。
水色で、木で出来ていて、重そうな扉。
ガラスがはめ込んであるけど、磨りガラスで中は見えない。
笑い声が聞こえる。
女の子達の笑い声だ。
そうか、立川の教育実習の時の教室か。
と、思ったけど、あの学校の扉はこれよりも軽い、金属で出来ていたはず。
この重そうな、ペンキの剥げかけた、水色のこの扉は──
小平の、月子が通っていた学校の、あの立て付けが悪くて無駄に重い、あの扉だ。
上を見る。
クラスの札が刺してある。
──五年二組。
こっち来て。一緒に遊ぼう。
ひすいの声がした。
「ひすい?」
がらがら。
思わず扉を開けた。
「あ、月子先生だ!」
広い教室に、机が四つ。
そこに無駄にカラフルな女の子が四人、座っている。
「先生、早くー」
「授業、始めましょ」
「まっテたヨ」
「……ほら、早く」
促されるまま、教卓まで歩く。
気がつくと、名簿を手に持っていた。
名簿を教卓に置いて、まずは教室を見回す。
壁に貼られた習字。
仲良し、と書いてある。
実際はいじめだらけで、ぜんぜん仲良しなんかじゃなかった、あの習字。
後ろの小さな黒板には、宿題が書いてある。
算数ドリル三十二ページ。
漢字プリント。
夏休みの感想文。
日付は──
九月一日。
黒板の下にはロッカーがある。
本当ならたくさんの上履き袋やら体育着袋やら掛かっているはすだが、今は真ん中の四つしか使われていない。
更に下に視線を下げる。
床のタイルは木で出来ていて、あちこち浮いてぼこぼこだ。
よく机が引っかかって、掃除の時動かすのに苦労した。
窓の外を見る。
昼下がり、残暑の暑い日差しが差し込んで、教室を暑くしている。
エアコンの無い頃だったから、教室は暑い。
ここで初めて、自分が今あのダークグレーのリクルートスーツを着ていることがわかった。
景色をよく見る。
四階から見える、桜の木のてっぺんに、校庭を囲むフェンス。
その向こうには、片側一車線の道路が走っていて、さらに向こうには茶色い壁のアパートと、灰色の雑居ビル。
何から何まで、「あの日の」小平の五年二組だった。
「せーんせ!」
呼ばれて視線を女の子達に戻す。
やたらとカラフルな女の子達だ。
そして皆の顔は、とても──ひすいに似ている。
「はいはーい! みなさん、おはようございます」
明るい声でドアが開く。
声の方を見る。
万年背の順一番目くらいに小柄な身長。
ふわふわのパーマがかかっている腰まである長い髪。
髪の色は翡翠の色だ。
くりくりした可愛い目もまた、緑色だ。
髪と目の色以外、ひすいと全く同じの、月子が大好きだった二十一歳のひすいが教室に入ってきた。
「ひすい……」
思わずその名を呼んだ。
「ふふふ」
ひすいは首を傾けてにっこりわらった。
「ひすい先生!」
「おはようございます!」
子供達が嬉しそうに声をあげる。
「はい、おはようございます。今日は、みなさんにお知らせがあります」
白のブラウス、緑色のカーディガン、黒いスカート。
優しい雰囲気の、理想の先生だ。
「今日からしばらく、教育実習の先生が来てくれています」
わあっ。
女の子達がどよめきたつ。
かっかっ。
ひすいが黒板に名前を書く。
灰島月子。
「灰島月子先生です」
ひすいが、紹介する。
「知ってる!」
「つきこ……せんセイでショ」
「そうね、みんなで待ってたもんね」
ひすいがみんなと一緒に笑う。
「毎日一緒だったもん!」
「お話たくさん……した……」
子供達は自慢気に声を上げる。
ひすいを見る。
とても幸せそうで、とても嬉しそうだ。
「ひすい」
しっ。
ひすいが人差し指を口に持っていく。
「子供達の前では、緑川先生、でお願いしますね、いちお」
「あ……すいません」
なぜか敬語になった。
「一応、ですよ、一応」
そう言って、にっこり笑う。
「じゃあみんな、自己紹介、しましょうか」
緑川先生が明るくにっこりする。
はいっ。
赤毛の子が手を上げる。
「じゃあ、赤城さんから、順番ね」
緑川先生が指名した赤城と名乗る子が立ち上がった。
赤いTシャツにベージュのキュロット。活発そうだ。
「赤城ぼたんです! 好きな授業は、体育と給食です」
「給食は授業じゃナイでショ」
「ありゃ、そうだっけ!」
赤毛で、腰まであるポニーテール、緋色の瞳、背は一番低いけれど元気いっぱいのぼたんは、頭を掻いて笑った。
「蒼井アキよ。好きな授業は音楽、好きなジャニーズは……」
「あー、アキのアイドル話が始まるー!」
「いいじゃない! もう!」
青い髪のツーサイドアップ、青い瞳、皆の中で一番身長の高いアキは、ムキになって怒った。
白い半袖のブラウスの上に水色のワンピースを合わせている。
お嬢様っぽくてお洒落だ。
「桃原サクラでス。スきな授業ハ、図工。嫌いなのは」
「ほうれん草よね!」
「そう、だいきライなノ。抹殺したイ」
ピンクの髪の、癖のあるボブ、桃色の瞳は斜視になっている。
額に大きな傷のあるサクラは、うんうんと、カタコトの言葉で頷いた。
白いTシャツの上にピンクのパーカーを目深に被っている。デニムのショートパンツ。
暑くないのかな。
「……金野つばき。好きな授業は……国語。好きな本は、吾輩は猫である。どこが好きかというと……」
「はいはーい、そこまでそこまで」
「……うう。いつも言わせてくれない……」
金色の髪を二つに分けてお団子にしている。
金色の瞳、肌の色は皆より濃い小麦色の女の子、つばきは、目を逸らして俯いた。
黄色いTシャツの上にデニムのジャンバースカートを着ている。
年齢より幼く見える。
「さ、じゃあ、灰島さん、お願いします」
緑川先生がにっこり笑う。
「あ……」
女の子達を見る。
みんな、月子を見ている。
緊張、した。
「あの……えと……」
しばらく下を向いてしどろもどろした。
大丈夫、だよ。
ひすいの声が聞こえた。
ハッとする。
──そうだ、あたしは先生になりたかったんだ。
いじめのない、クラスを。
いじめのない、学校を。
作りたかったんだ。
月子は背筋を伸ばした。
「灰島月子です。八王子の大学から来ました。みんなとは、とっても仲良くしたいです。決していじめのない、そんな学校を作りたいと思っています。……どうぞよろしくお願いします」
ぱちぱちぱちぱち。
女の子達が手を叩く。
みんな、カラフルだ。
みんな違う。
ぼたんさんも、アキさんも、サクラさんも、つばきさんも。
身長も肌の色も、障がいの有無も、言葉遣いも。
でも、みんな仲良しだ。
これだ。
こんな学級を目指してた。
こんなクラスを夢見てた。
守らなきゃ。
あたしだけのクラス。
あたしだけの女の子達を。
あたしは今日から、この子達の先生になるんだ。
「月子って、呼んでね」
精一杯の笑顔で笑った。
「月子先生!」
「よろしくね!」
「せんせイ、おともだチになっテ」
「……一緒に、本、読もう……」
子供達は月子を受け入れた。
「じゃあ、これからみなさんで学校案内、してあげてください」
緑川先生が微笑む。
「はーい!」
子供達が一斉に手を挙げる。
ぼたんを先頭に、学校案内が始まった。
本当はもう、隅々まで知っているけど。
みんなの案内をひとつひとつ周って丁寧に聞いた。
給食室の前でぼたんがはしゃいだ。
音楽室でアキがピアノを弾いてくれた。
図工室の電動ノコギリの前でサクラが目を輝かせた。
図書室でおすすめの本をつばきが持ってきた。
嬉しかった。
懐かしかった。
あんなに嫌だった学校が、輝いて見えた。
「最後は飼育小屋! サクラがお世話してるんだよ!」
ぼたんが自慢気に言う。
どうやらサクラがいきものがかりらしい。
三畳程の小屋に、トタン屋根。
緑の菱形の、目の細かいフェンス。
校庭の隅に、その小屋はあった。
あれ。こんな小屋、あったっけ。
「みてミテ。あたシのペット!」
パーカーを被った斜視のサクラが、八重歯を見せて笑う。
中を見て、凍りついた。
裸で、首輪を付けられた白鳥萌が、そこにいた。
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