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第一話 ショタジジイ、同性同士の初体験
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あの子達に出会ってからから100年近い時間が過ぎた。やっと、やっとあの子達を迎え入れることができる。
「おはよう、二人共。やっと会えたね」
声をかけられて二人が目を覚ますと、目の前に綺麗な顔をした男がいた。金の瞳と長い白髪。頭のてっぺんにはふたつ、狐の耳のようなものがくっついている。随分長身で、異国の人のようだった。
さっきまで家族に囲まれて最期の時を迎えていたはずだ。その場にこんな人物はいなかった。
「イチ、ジロ。君たちはこれからここで、俺と暮らすんだよ」
起き上がったイチとジロはそれぞれお互いを見合った。遠い昔に、そう呼ばれていた気がする。お互い見覚えのある子供だった。少しほつれのある、これまた見覚えのある着物に身を包んでいる。それから二人は自分の体を見て大変驚いた。
「なんじゃ、この体!」
「子供になっとる?!」
二人は自分の体を触って確かめた。触った感触が、触られた感覚として脳に伝わる。子供になっている体は確かに自分のものだった。
「どういうことじゃ…儂は、家族に看取られて…」
「儂もじゃ!ということは、ここはあの世?」
二人は同時に、再び男を仰ぎ見た。
「俺が二人の魂をここに呼び寄せた。あの世…というのかな?俺が作った場所だよ。この姿に見覚えはないだろうけど、俺は君達を知っている。二人は、お互いが誰だがわかるかな」
男は微笑んだ。その美しさはこの世のものとは思えない、後光すら射してきそうな微笑みだった。彼の眩しさに目を細めてから、二人はお互いを見つめ合う。それから同時に首を傾げた。
「…見たことあるような、ないような」
「このような子供、知り合いにいたかのぉ…」
「小さな頃、お稲荷様の広場で遊んでいたことを覚えていないかな?そう広くもない村で、君たち二人はよく遊んでいたこと」
男に言われて、二人の脳裏に村の景色が鮮やかに浮かび上がった。同い年の友達と、毎日二人で遊んでいた。遊んでいた場所には小さなお稲荷様の祠が祀られていた。遊ぶ前には必ずお参りをして、帰るときも手を合わせてからその友達とさよならをしていた。遊んでいた友達を、お互いイチ、ジロ、と呼び合っていた。
「お前…そうか、あの村の、総二郎じゃ。総二郎の、ジロじゃ!」
「あぁ、お前、イチじゃ。思い出した。裕一郎で、イチじゃ。どうして忘れていたのか…」
イチとジロは懐かしさにお互い手を取り合って再会を喜んだ。
「仕方ないよ。二人は晩年、認知症を患っていたから」
「そ、そうじゃ!儂は105歳で死んだんじゃ。なんで子供の姿で、ここにおるんじゃ」
「儂もじゃ…儂とイチは、同じ時に亡くなった、ということじゃろうか。あの、あなたは、一体…?」
ジロは恐る恐る男に尋ねた。イチとジロがこの姿でこの場所にいる理由を、彼は彼は知っているようだ。俗に言う、神様という存在なのだろうか。
「俺はあの場所にいたお稲荷様だよ。君たちは、オキツネサマ、と呼んでくれていたね。ずっと、君たちに会いたかった。君達が村を去って、開発のために祠が潰された後もずっと、君達のことを想って遠くから見ていた」
イチとジロは息を呑む。イチとジロが遊んでいた広場の、あの祠のお稲荷様らしい。生まれ育った村にあった、公園とも呼べない小さな山の中の広場。いや、広場とも呼ばないだろう。子供が遊ぶ程度の広さしかない、田畑にも出来ない空間。そこにあった小さな祠で二人はお参りをしていた。そしてお稲荷様を、オキツネサマと呼んでいた。不思議なことだが、彼の話と2人の記憶はたしかに合致する。
男、オキツネサマはそっと二人を抱きしめた。
「あの時は、毎日お参りをしてくれてありがとう。ずっとお礼がしたかったんだ」
イチとジロは頬を染めた。どちらともなく始めたお参りは、遊ぶ日は毎日欠かさず行っていた。目の前で騒がしくしてしまうことを謝罪し、遊ばせてくれていることに感謝の意を評して。まさかこんなに喜んでくれているなんて思ってもみなかった。少し気恥ずかしい二人は、お尻に違和感を感じて顔を見合わせた。
オキツネサマは二人を抱きしめながら、イチとジロのお尻を揉んでいた。
「ちょ、なにしてるんじゃ」
「柔らかいなぁ。ずっとずっと、触りたかっ…お礼がしたかったんだ」
「変態じゃ。変態がおる」
イチとジロがあわあわと離れようとするが、オキツネサマの力は思いの外強い。
「「ひゃーっ!」」
尻の間の穴をほじられて、二人は同時に悲鳴をあげた。
「おはよう、二人共。やっと会えたね」
声をかけられて二人が目を覚ますと、目の前に綺麗な顔をした男がいた。金の瞳と長い白髪。頭のてっぺんにはふたつ、狐の耳のようなものがくっついている。随分長身で、異国の人のようだった。
さっきまで家族に囲まれて最期の時を迎えていたはずだ。その場にこんな人物はいなかった。
「イチ、ジロ。君たちはこれからここで、俺と暮らすんだよ」
起き上がったイチとジロはそれぞれお互いを見合った。遠い昔に、そう呼ばれていた気がする。お互い見覚えのある子供だった。少しほつれのある、これまた見覚えのある着物に身を包んでいる。それから二人は自分の体を見て大変驚いた。
「なんじゃ、この体!」
「子供になっとる?!」
二人は自分の体を触って確かめた。触った感触が、触られた感覚として脳に伝わる。子供になっている体は確かに自分のものだった。
「どういうことじゃ…儂は、家族に看取られて…」
「儂もじゃ!ということは、ここはあの世?」
二人は同時に、再び男を仰ぎ見た。
「俺が二人の魂をここに呼び寄せた。あの世…というのかな?俺が作った場所だよ。この姿に見覚えはないだろうけど、俺は君達を知っている。二人は、お互いが誰だがわかるかな」
男は微笑んだ。その美しさはこの世のものとは思えない、後光すら射してきそうな微笑みだった。彼の眩しさに目を細めてから、二人はお互いを見つめ合う。それから同時に首を傾げた。
「…見たことあるような、ないような」
「このような子供、知り合いにいたかのぉ…」
「小さな頃、お稲荷様の広場で遊んでいたことを覚えていないかな?そう広くもない村で、君たち二人はよく遊んでいたこと」
男に言われて、二人の脳裏に村の景色が鮮やかに浮かび上がった。同い年の友達と、毎日二人で遊んでいた。遊んでいた場所には小さなお稲荷様の祠が祀られていた。遊ぶ前には必ずお参りをして、帰るときも手を合わせてからその友達とさよならをしていた。遊んでいた友達を、お互いイチ、ジロ、と呼び合っていた。
「お前…そうか、あの村の、総二郎じゃ。総二郎の、ジロじゃ!」
「あぁ、お前、イチじゃ。思い出した。裕一郎で、イチじゃ。どうして忘れていたのか…」
イチとジロは懐かしさにお互い手を取り合って再会を喜んだ。
「仕方ないよ。二人は晩年、認知症を患っていたから」
「そ、そうじゃ!儂は105歳で死んだんじゃ。なんで子供の姿で、ここにおるんじゃ」
「儂もじゃ…儂とイチは、同じ時に亡くなった、ということじゃろうか。あの、あなたは、一体…?」
ジロは恐る恐る男に尋ねた。イチとジロがこの姿でこの場所にいる理由を、彼は彼は知っているようだ。俗に言う、神様という存在なのだろうか。
「俺はあの場所にいたお稲荷様だよ。君たちは、オキツネサマ、と呼んでくれていたね。ずっと、君たちに会いたかった。君達が村を去って、開発のために祠が潰された後もずっと、君達のことを想って遠くから見ていた」
イチとジロは息を呑む。イチとジロが遊んでいた広場の、あの祠のお稲荷様らしい。生まれ育った村にあった、公園とも呼べない小さな山の中の広場。いや、広場とも呼ばないだろう。子供が遊ぶ程度の広さしかない、田畑にも出来ない空間。そこにあった小さな祠で二人はお参りをしていた。そしてお稲荷様を、オキツネサマと呼んでいた。不思議なことだが、彼の話と2人の記憶はたしかに合致する。
男、オキツネサマはそっと二人を抱きしめた。
「あの時は、毎日お参りをしてくれてありがとう。ずっとお礼がしたかったんだ」
イチとジロは頬を染めた。どちらともなく始めたお参りは、遊ぶ日は毎日欠かさず行っていた。目の前で騒がしくしてしまうことを謝罪し、遊ばせてくれていることに感謝の意を評して。まさかこんなに喜んでくれているなんて思ってもみなかった。少し気恥ずかしい二人は、お尻に違和感を感じて顔を見合わせた。
オキツネサマは二人を抱きしめながら、イチとジロのお尻を揉んでいた。
「ちょ、なにしてるんじゃ」
「柔らかいなぁ。ずっとずっと、触りたかっ…お礼がしたかったんだ」
「変態じゃ。変態がおる」
イチとジロがあわあわと離れようとするが、オキツネサマの力は思いの外強い。
「「ひゃーっ!」」
尻の間の穴をほじられて、二人は同時に悲鳴をあげた。
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