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叫びながら立ち上がった男が机を何度も叩きつけた。佳奈多は頭を抱えて丸くなった。見に覚えが全くない。しかし激昂している男性に、佳奈多は恐怖で謝罪を口にしていた。どうしたら良いのかわからず、佳奈多は縮こまって何度も『ごめんなさい』と口に出していた。
「はは…認めるんだな、盗んだこと…学校と、両親と。コンドーム盗んだなんて知られたらお前、どうなっちゃうんだろうな」
笑う男性に佳奈多は勢いよく顔を上げた。学校はともかく、両親が知ったらどうなってしまうのだろう。父の耳に入ったら、今度こそ母は殴り殺されてしまうのではないだろうか。
佳奈多は泣きながら首を横に振った。
「い、言わないで、お父さんと、お母さん、に、」
「そうか。パパとママには、知られたくないか」
佳奈多は何度も首を縦に振った。そもそも盗みを働いていないが、とにかく両親の耳に入るのは避けたい。
「そうか。じゃあ、おじさんのお願いを聞いてほしいんだけど、できるかな?」
さっきまでの激昂が嘘のように男性はニコニコ笑っている。佳奈多は彼を怒らせないよう、頷いた。男も満足気に頷く。
「じゃあ、そこの壁の前でズボンとパンツおろしなさい」
男性が壁を指さした。佳奈多は男性を見上げて固まる。一体これから何をされてしまうのだろうか。佳奈多は首を横に振りたいのを必死に耐えた。男の顔が徐々に怒りの表情に変わっていく。佳奈多は怖くなって指定された壁際に移動した。また男が怒り狂うかもしれない。いっそ殴られたほうが良いのだろうか。佳奈多はズボンに手をかけて止まる。震えてうまく動けない。このままズボンをおろしていいのか迷っていると、机を叩きつける音が室内に響いた。佳奈多のかわりと言わんばかりに机を叩きつける男に佳奈多の頭は真っ白になった。佳奈多は慌ててズボンと共にパンツも降ろした。
「おほー。そんな顔で、ちゃんとついてるんだなぁ…よく見えないから、シャツ持ち上げろ。顔もな。こっち、向け」
佳奈多はシャツを持ち上げた。男の方を向くと、男はスマホのカメラを佳奈多に向けていた。佳奈多はきつくシャツを握りしめた。泣きすぎて鼻水も溢れているが、構う余裕もなく、佳奈多は絶望しきって男を見た。
「君、お名前は?言えるかな?」
「ふっ、ふじ、…ふじの、かなた、」
「そうかーかなた君。カワイイお顔ですが、かなた君はおちんちんのついた男の子です。ぐふっ…女の子だったら今、楽しめたんだけどなぁ~。さて、かなた君のスマホで、おじさんのスマホにお電話しようかな。さ、ロックを解除して」
手提げの中の佳奈多のスマホを差し出され、佳奈多は震える手でそれを受け取った。もう抵抗する気力もなく、佳奈多はスマホのロックを解除する。近寄ってほしくなくて極力手を伸ばして男にスマホを渡す。男が佳奈多のスマホを操作すると、男のスマホが鳴った。
「俺の番号、登録しといてね。鳴ったらすぐこのコンビニに来るんだよ?その時にちゃんと撮影会するから。おじさんのね、男の子が大好きなお友達を呼ぶから、その時に、えっちなことたくさんしようね、ぐふっ…誰にも言わないでねぇ?言ったら、動画、ばらまいちゃうからねぇ~?今日はもう、帰っていいよ」
男がスマホを入れた手提げを佳奈多に差し出す。佳奈多は慌ててパンツとズボンを引き上げて手提げに手を伸ばす。男が佳奈多の手を取った。
「呼んだらすぐ、来るんだよぉ?」
至近距離で男が笑った。佳奈多は手提げをひったくり、もつれる足を叱咤して駆け出した。何度も転びながら店から飛び出した。男は追いかけて来なかった。離れた電灯の下、佳奈多はしゃがみこんで泣いた。恥ずかしい動画を取られた。電話番号も名前も知られてしまった。
「はは…認めるんだな、盗んだこと…学校と、両親と。コンドーム盗んだなんて知られたらお前、どうなっちゃうんだろうな」
笑う男性に佳奈多は勢いよく顔を上げた。学校はともかく、両親が知ったらどうなってしまうのだろう。父の耳に入ったら、今度こそ母は殴り殺されてしまうのではないだろうか。
佳奈多は泣きながら首を横に振った。
「い、言わないで、お父さんと、お母さん、に、」
「そうか。パパとママには、知られたくないか」
佳奈多は何度も首を縦に振った。そもそも盗みを働いていないが、とにかく両親の耳に入るのは避けたい。
「そうか。じゃあ、おじさんのお願いを聞いてほしいんだけど、できるかな?」
さっきまでの激昂が嘘のように男性はニコニコ笑っている。佳奈多は彼を怒らせないよう、頷いた。男も満足気に頷く。
「じゃあ、そこの壁の前でズボンとパンツおろしなさい」
男性が壁を指さした。佳奈多は男性を見上げて固まる。一体これから何をされてしまうのだろうか。佳奈多は首を横に振りたいのを必死に耐えた。男の顔が徐々に怒りの表情に変わっていく。佳奈多は怖くなって指定された壁際に移動した。また男が怒り狂うかもしれない。いっそ殴られたほうが良いのだろうか。佳奈多はズボンに手をかけて止まる。震えてうまく動けない。このままズボンをおろしていいのか迷っていると、机を叩きつける音が室内に響いた。佳奈多のかわりと言わんばかりに机を叩きつける男に佳奈多の頭は真っ白になった。佳奈多は慌ててズボンと共にパンツも降ろした。
「おほー。そんな顔で、ちゃんとついてるんだなぁ…よく見えないから、シャツ持ち上げろ。顔もな。こっち、向け」
佳奈多はシャツを持ち上げた。男の方を向くと、男はスマホのカメラを佳奈多に向けていた。佳奈多はきつくシャツを握りしめた。泣きすぎて鼻水も溢れているが、構う余裕もなく、佳奈多は絶望しきって男を見た。
「君、お名前は?言えるかな?」
「ふっ、ふじ、…ふじの、かなた、」
「そうかーかなた君。カワイイお顔ですが、かなた君はおちんちんのついた男の子です。ぐふっ…女の子だったら今、楽しめたんだけどなぁ~。さて、かなた君のスマホで、おじさんのスマホにお電話しようかな。さ、ロックを解除して」
手提げの中の佳奈多のスマホを差し出され、佳奈多は震える手でそれを受け取った。もう抵抗する気力もなく、佳奈多はスマホのロックを解除する。近寄ってほしくなくて極力手を伸ばして男にスマホを渡す。男が佳奈多のスマホを操作すると、男のスマホが鳴った。
「俺の番号、登録しといてね。鳴ったらすぐこのコンビニに来るんだよ?その時にちゃんと撮影会するから。おじさんのね、男の子が大好きなお友達を呼ぶから、その時に、えっちなことたくさんしようね、ぐふっ…誰にも言わないでねぇ?言ったら、動画、ばらまいちゃうからねぇ~?今日はもう、帰っていいよ」
男がスマホを入れた手提げを佳奈多に差し出す。佳奈多は慌ててパンツとズボンを引き上げて手提げに手を伸ばす。男が佳奈多の手を取った。
「呼んだらすぐ、来るんだよぉ?」
至近距離で男が笑った。佳奈多は手提げをひったくり、もつれる足を叱咤して駆け出した。何度も転びながら店から飛び出した。男は追いかけて来なかった。離れた電灯の下、佳奈多はしゃがみこんで泣いた。恥ずかしい動画を取られた。電話番号も名前も知られてしまった。
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