森の中の華 (オメガバース、α✕Ω、完結)

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森之宮家の三兄弟

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「…それにな、お前ら二人共アルファらしいこと、してるだろ。研究員とモデルって」
「何いってんの!?複数企業の代表が。さく兄のほうがよっぽどアルファアルファしてんじゃん、立派じゃん!」
「こいつ、これだよ。謙遜もここまでいくと鼻につくわ。そういうとこあるわ、咲也は」
「それね。さく兄、格好良くて大好きだけど、時々格好良過ぎてダメだよね」
「裕司より有能なのにな。出来すぎんだ、この男は。腹立つ」
「待って伊吹。それはパパ、聞き捨てならねぇわ」
咲也は二人に責められて少し首をひねる。どうやら褒められているようだ。
咲也は複数の企業を経営している。起業したり会社を買い取ったりして数を増やす。業績が伸びれば売却し、また起業するか既存の企業を買い取って手をいれる。なるべく堅実に企業を選んでいるが、時には手に負えない会社も出てくるし、起業して大失敗したこともある。先程裕司の話を聞いて知ったが、咲也はたぶん祖父の、裕司の父と同じような道を選んでいる。ただ、祖父のほうがやり方はかなり派手だったようだ。
ひとつに絞らずにあれこれ手を出している自分が少し優柔不断に思えていたが、兄弟は認めてくれていたようだ。咲也は少し安心した。
「そうそうさく兄、俺さ、モデルに飽きてきてんだよねぇ。辞めたらさ、なんか仕事紹介して♡役職は社長ね」
「こいつはすぐこれだよ。咲也と裕司が甘やかしすぎたんだぞ、責任取れ」
「主に裕司が、な。開斗、お前は代表には向いてないから諦めような。飽きっぽいし適当すぎるから。兄ちゃんはその性格、好きだけどな」
「さ、さく兄ぃ~下げて上げてくんの、大好きぃ~♡もっと褒めて!褒められて伸びる子だからぁ、俺♡」
「「褒めてねぇのよ」」
甘えて嬉しそうな開斗に、咲也と伊吹は同時につっこんだ。何事もプラスに捉える性格は開斗の良いところだが、少し適当すぎるところがある。臨機応変に対応できる柔軟さは魅力的だが、咲也の自社の代表にとなると考えるものがあった。
大人しく見守っていたアイとミイは開斗の腕を引く。
「開斗、すごいね。お兄さん達と仲良し。お父様も仲良しで、みんなそっくり。嬉しいな」
「ね。僕たち、家族と兄弟が、一気に増えちゃうんだ」
アイとミイは開斗に寄り添う。華は微笑んだ。
「うん。みんな、朝陽君も幸四郎さんもアイさんもミイさんも、みんな、家族だね」
「「はいっ!」」
アイとミイは元気に返事を返す。が、咲也と伊吹、裕司は首を傾げている。
「開斗が、似てる?俺達と裕司に?」
「開斗は華にしか似てないだろ」
「俺とは似てないよな。咲也と伊吹は散々言われたけどな。俺似だって」
口々に似ていないと否定する3人に、今度はアイとミイが首を傾げた。
「え?えっと…開斗は、お父様に似てると思います」
「そう、だよね。お母様より、お父様の方が、似てます…」
戸惑うアイとミイに、開斗は笑った。開斗はアイとミイの手を取る。
「だよねぇ。俺もそう思う。さく兄といぶ兄と比べたら華寄りだけど、どっかっつーと、裕司だよね。そんで、さく兄ともいぶ兄とも、めちゃくちゃ似てんの、俺」
アイとミイは何度も開斗に頷いた。伊吹の隣で幸四郎も頷いている。
相対的に、この兄二人と比べたら華の要素が入っている。ただ、やはり家族全員で並ぶと『開斗はお父さん似』と言われることが多かった。それは父も兄も聞いているし、特に伯父の健司は『どこをどう見たら華なのか、割と裕司だ』と何度も言っていたのに父と兄は、特に父が聞く耳を持たなかった。兄二人が自分に似すぎていて華に気を使ったのか本当に盲目なのかはわからない。ただ、家族内で開斗は華似と持て囃されて大変甘やかされて美味しい思いをして来たのも事実なので黙っていた。
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