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森之宮家の三兄弟
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その中でも大きな業績をあげていたのが風俗関係の会社だったが、これは先のことを考えて健司と相談して売却した。今後相続の話になったときにどう伝えるか悩んだ末に手放した。特に裕司は、華にどう説明したらいいか悩んで手放すことに決めた。きっと華は風俗業を知らない。
この会社の相続権は裕司にあった。風俗業の経営は健司よりも裕司が適任だと思ったらしい。最適解ではあるが、余計なことをしてくれた。大きな業績を上げているこの会社を手放すのは惜しかったが、華と天秤にかけたら答えは変わらなかった。知り合いに譲ったが、今も大きな収益をあげているそうだ。
「当主も社長もやるならやればいいし、やらねぇならそれでいい。咲也からはやらねぇって聞いてる。あとはお前らで話し合え。そもそもな、この年までお前らの間で家の話が出なかった時点でお察しだろ。俺からも話してない。その程度のこと、なんだよ。朝陽ちゃんも、わかってくれた?」
朝陽は何度も首を縦に振った。朝陽はほろほろと涙をこぼす。
「朝陽君、強く言っちゃってごめんね。跡取りはともかく…悩むよね。オメガって、産んで当然って思われがちだから。たぶんね、ずっと、ついてまわるんだと思う」
華は表情に影を落とす。アイとミイもこっくりと頷く。朝陽も泣きながら頷いた。
「…ごめんなさい、僕…せっかく、おめでたい席なのに…さっくんのパパさんも、ママさんも、ごめんなさい。あと、ありがとうございます。あの、僕、アイちゃんとミイちゃん、応援してるんだ。お仕事も、赤ちゃんのことも。変な空気にしちゃって、ごめんね、僕、二人のこと、大好きなんだ。なのに…」
「いいえ!僕達こそ、ごめんなさい」
「謝らないで下さい。何も、悪くないです」
泣いて謝る朝陽にアイとミイは恐縮して首を横に振った。オメガだ、オメガだからと言われる気持ちは二人もわかる。朝陽が怖がる気持ちもアイとミイが子供を欲する気持ちも、お互いによくわかっていた。
「あり、がとう…僕ね、応援してるの、本当に、二人のこと…」
「開斗と仕事するようになって、推してんだよな」
咲也は朝陽の頭を撫でながら言う。朝陽はブーンっと鼻をかみながら頷いた。
「うん、だって、ふたりとも、マイと、レイみたいなんだ。すごく、かわいくて、頑張ってて、かっこよくて…」
「おぉ!『はればれ☆ツインズ』ですね。確かに!なるほど、わかります」
「うぇえ!?わかるの!?幸ちゃんさん!」
「えぇ、えぇ。納得です。先日のカイトさんとのブランドバッグの宣伝の衣装が似ているなぁと思いました。第3期の新コスチューム…」
「ホワイトウェディング・モード!『魔法のパンチでおしおきよ☆』」
「『宇宙までぶっ飛ばしちゃうぞ☆』ですね。いやぁ、お詳しい。私が子供の頃のアニメですよ。第3期は本当に、作画が神がかっていて…ブランドバッグは何一つわからないんですけどね、ツインズを思い出して懐かしい気持ちになりました。素敵なプロモーションでした…ブランドバッグは何一つわからないんですけどね」
「どゅふぅっ!幸ちゃん氏、わかっておられる!そう、3期。まさに3期が神!これは朝まで語り合いですぞぉ~!」
「おぉ…私よりも大分上の世代の、古いタイプのオタク…よくご存知です!お若いのに、敬服しました」
朝陽の言葉に幸四郎が反応を見せた。その他全員は首を傾げているが、朝陽と幸四郎の二人だけが熱く盛り上がっている。世代を超えた友情が今ここに爆誕した。
「朝陽、落ち着…なんて?朝まで語るの?」
「幸四郎お前、朝陽側の人間だったんだな」
この会社の相続権は裕司にあった。風俗業の経営は健司よりも裕司が適任だと思ったらしい。最適解ではあるが、余計なことをしてくれた。大きな業績を上げているこの会社を手放すのは惜しかったが、華と天秤にかけたら答えは変わらなかった。知り合いに譲ったが、今も大きな収益をあげているそうだ。
「当主も社長もやるならやればいいし、やらねぇならそれでいい。咲也からはやらねぇって聞いてる。あとはお前らで話し合え。そもそもな、この年までお前らの間で家の話が出なかった時点でお察しだろ。俺からも話してない。その程度のこと、なんだよ。朝陽ちゃんも、わかってくれた?」
朝陽は何度も首を縦に振った。朝陽はほろほろと涙をこぼす。
「朝陽君、強く言っちゃってごめんね。跡取りはともかく…悩むよね。オメガって、産んで当然って思われがちだから。たぶんね、ずっと、ついてまわるんだと思う」
華は表情に影を落とす。アイとミイもこっくりと頷く。朝陽も泣きながら頷いた。
「…ごめんなさい、僕…せっかく、おめでたい席なのに…さっくんのパパさんも、ママさんも、ごめんなさい。あと、ありがとうございます。あの、僕、アイちゃんとミイちゃん、応援してるんだ。お仕事も、赤ちゃんのことも。変な空気にしちゃって、ごめんね、僕、二人のこと、大好きなんだ。なのに…」
「いいえ!僕達こそ、ごめんなさい」
「謝らないで下さい。何も、悪くないです」
泣いて謝る朝陽にアイとミイは恐縮して首を横に振った。オメガだ、オメガだからと言われる気持ちは二人もわかる。朝陽が怖がる気持ちもアイとミイが子供を欲する気持ちも、お互いによくわかっていた。
「あり、がとう…僕ね、応援してるの、本当に、二人のこと…」
「開斗と仕事するようになって、推してんだよな」
咲也は朝陽の頭を撫でながら言う。朝陽はブーンっと鼻をかみながら頷いた。
「うん、だって、ふたりとも、マイと、レイみたいなんだ。すごく、かわいくて、頑張ってて、かっこよくて…」
「おぉ!『はればれ☆ツインズ』ですね。確かに!なるほど、わかります」
「うぇえ!?わかるの!?幸ちゃんさん!」
「えぇ、えぇ。納得です。先日のカイトさんとのブランドバッグの宣伝の衣装が似ているなぁと思いました。第3期の新コスチューム…」
「ホワイトウェディング・モード!『魔法のパンチでおしおきよ☆』」
「『宇宙までぶっ飛ばしちゃうぞ☆』ですね。いやぁ、お詳しい。私が子供の頃のアニメですよ。第3期は本当に、作画が神がかっていて…ブランドバッグは何一つわからないんですけどね、ツインズを思い出して懐かしい気持ちになりました。素敵なプロモーションでした…ブランドバッグは何一つわからないんですけどね」
「どゅふぅっ!幸ちゃん氏、わかっておられる!そう、3期。まさに3期が神!これは朝まで語り合いですぞぉ~!」
「おぉ…私よりも大分上の世代の、古いタイプのオタク…よくご存知です!お若いのに、敬服しました」
朝陽の言葉に幸四郎が反応を見せた。その他全員は首を傾げているが、朝陽と幸四郎の二人だけが熱く盛り上がっている。世代を超えた友情が今ここに爆誕した。
「朝陽、落ち着…なんて?朝まで語るの?」
「幸四郎お前、朝陽側の人間だったんだな」
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