森の中の華 (オメガバース、α✕Ω、完結)

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森之宮家の三兄弟

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「そりゃ気持ち悪いわ。そっか…俺の、母方の祖父母がオメガ同士なんだよね。そんな目で、見られてたのかなぁ…」
華の両親はどちらもオメガだった。オメガ同士は当時もとても珍しかったと聞いた。まだ存命の華の母はいつも明るい。
『さくちゃんと、いぶちゃんと、かいちゃんと…3人に会えておばあちゃん、幸せ。華を産んで、本当に良かった。華が…みんなのママが幸せで、おばあちゃんすごく幸せ』
目を潤ませた祖母の少し暗い顔を見たのは初めてだった。あれ以降、そんな表情は見ていない。もしかしたら華の出産に対して、葛藤があったのかもしれない。
華は、オメガ同士の子供はオメガだろうと、森之宮に預けられた。華の母も、夫が亡くなって華を育てていけないと華を手放した。当時はオメガ一人が子供を抱えて生活していくのはかなり困難だったようだ。
時代の変わった今、支援もあり楽になったとはいえ、やはりオメガの生活は厳しい。それはアイとミイからも聞いていた。通院費用、抑制剤代、発情期に働けない無収入期間。モデルは事務所にもよるが基本出来高制なので、働けなければ収入はない。
そんなアイとミイは目を丸くして開斗を見ていた。
「お母さん、オメガカップルのお子さんなんですか?」
「オメガ同士で、子供、赤ちゃん、できたんですか?」
「へ?うん、そうだよ?」
アイとミイは頬を染めて高揚していた。開斗が頷くと、アイとミイお互い見つめ合ってから大きく頷く。周りを確認して、アイとミイは小さな声で囁いた。
「実は僕たち、妊活、してて」
「二人で、赤ちゃん欲しいねって、話し合って」
「うん…うん!?」
「でも、中々できなくて…」
「ね。お互い、どっちが妊娠してもいいんですけど…」
二人はしょんぼりと肩を落とす。どちらかがどちらかの子供を産めたらと思っているようだ。タイミングを見計らってお互い立場を変えて行為を行っているものの、今のところ妊娠の兆候はないらしい。
オメガは妊娠に特化している。妊娠する力は強いがさせる力は弱い。オメガ同士の子供が珍しいのはそのせいもあるだろう。
「でも、オメガ同士でも、赤ちゃんできるんだね」
「ねっ!すごい、いいこと聞けた、嬉しいね」
「そっか…うーん、立ち入ったこと聞くけど、金銭的なとこは大丈夫なの?」
「はい!カイトが指名してくれるようになって仕事が増えて、たくさん貯金できました」
「子供一人なら、育てていけそうだねって。ありがとうございます」
「いや、それは全然いいんだけど。つかさ、えーっと…うーん…これ、俺が聞いていい話だった?」
二人は付き合っている。そういうことをすることもあるだろうが、想像ができない。特にこの二人は成人しているというが、年よりも幼く見える。そんな二人の生々しい性の話を、開斗が聞いてよかったのだろうか。アルファに襲われ、アルファに嫌な誘いを受けたのに。
「「カイトなら、大丈夫って思いました」」
二人は声を揃える。仕事相手ということ以上に開斗を信頼をしてくれているようだ。開斗は素直に嬉しかった。


その日は自宅に、珍しく咲也がいた。
「さく兄~っ♡」
咲也はうぐぉっとくぐもった声を上げる。開斗は咲也の膝に収まった。   
「かいくん、相変わらずだねぇ」
「朝陽、久しぶり~さく兄のお膝は俺の物♡今日はどうしたん?」
「あのね、旅行に行ったからお土産持ってきたの。はい、エッフェル塔~」
朝陽はエッフェル塔の置物を取り出した。このお土産のセンスはどうなのだろうと思いつつ、開斗はすりすりと咲也に体を擦り付ける。
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