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森之宮家の三兄弟
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「もちろん。今回うちの事務所にも降って湧いた良縁でね。開斗に別途、御駄賃でるわよ」
「先に言ってよ。金になるならやりますよぉ~」
開斗は新たな仕事を承諾し、控室を出て別スタジオに向かった。
「メイクはベースこのまま、少し手直しします」
「衣装、少し小さいかも…」
「メイク了解~衣装はマネージャーに確認よろしく。その前に、ちょっと外しま~す」
開斗は話しかけてくるスタッフに答えつつ歩みを止めなかった。これから撮影するというオメガモデルに挨拶兼顔見せのためだ。
打ち合わせを詰めるその前に、まず本当に撮影できそうか、相手は自分で大丈夫かの確認にきた。ヒートを起こしたアルファを前にして、同じくアルファの男と撮影ができるだろうか。
開斗は扉の代わりにカーテンで仕切られた控室に声を掛けようとして止まった。
「ミイ、大丈夫?やっぱり、今日、やめる?」
「ううん…アイ、ごめんね、いつまでも泣いてて、ごめんね。大丈夫、やる。できる。お仕事、モデルの、したいから…」
中から声が聞こえた。オメガモデルの二人だろう。そういえば第2性がオメガと聞いたが男性か女性か聞いていなかった。少し声が低い気がするので男性だろう。
やる気はまだあるようだ。果たして開斗を見てもまだ、撮影する気力は続いてくれるだろうか。
「すみません~モデルのカイトなんですけど、お邪魔してもいいですか?」
「っ…は、はいっ!」
返事を待って、カーテンを開ける。置かれた二人がけのソファに寄り添うように二人は座っていた。可愛らしい華やかな衣装に女性かと思ったが、メイクをして可愛らしい衣装を着てしまうとオメガは男性か女性か判断するのは難しくなる。
それよりも、部屋に漂う甘い匂いに開斗は首を傾げた。華と似ているような、でも、少し違う甘い匂い。どこから香るのだろうか。決して嫌な匂いではない。むしろずっと嗅いでいたいと思う。
「近寄ってもいい?」
「はい、大丈夫です」
「僕たちが、行きます」
涙を流していた方が頷く。二人は立ち上がって、手を繋いで開斗の傍に来る。甘い匂いが強くなった。二人共から、甘い匂いが沸き立っている。
「前の人がヒートを起こしたって聞いたんだけど、二人は…どっちかかな?発情期だったりする?」
「しません!ちゃんと薬を飲んで、コントロールしてます。さっきの人、勝手にヒートを起こしたんです!」
「発情期なら自分達でわかってますから、スケジュールを配慮してもらいます。発情期かどうか、アルファならわかるはずです」
「あ~ごめん、ごめん。俺ね、オメガのフェロモン?わかんないんだよねぇ。薬をきちんと飲んでるのは、えらいね」
発情期ではないという二人の言葉を信じるなら、ヒートを起こしたアルファは誤作動を起こしてしまったのだろう。発情期ではないにしても、オメガが二人もいる。その上ヒートを起こしたアルファは抑制剤を飲んでいなかったらしい。所詮人間なので誤作動を起こして発情したりヒートを起こしたりする。そこを防ぐためにも抑制剤は必須だと思うのだが。
オメガの二人は支え合って、気丈に開斗を睨みつけている。可愛らしい顔に似合わず芯が強いらしい。開斗は笑みを深める。
「で、どう?俺とやれそう?」
「「やれます」」
二人は声を揃えて答えた。即答だった。開斗は頷く。
「俺も準備があるから、二人が落ち着いてからでいいよ。ゆっくり出ておいで」
開斗は更衣室を後にした。二人の強い眼差しに、益々興味が湧いた。
「先に言ってよ。金になるならやりますよぉ~」
開斗は新たな仕事を承諾し、控室を出て別スタジオに向かった。
「メイクはベースこのまま、少し手直しします」
「衣装、少し小さいかも…」
「メイク了解~衣装はマネージャーに確認よろしく。その前に、ちょっと外しま~す」
開斗は話しかけてくるスタッフに答えつつ歩みを止めなかった。これから撮影するというオメガモデルに挨拶兼顔見せのためだ。
打ち合わせを詰めるその前に、まず本当に撮影できそうか、相手は自分で大丈夫かの確認にきた。ヒートを起こしたアルファを前にして、同じくアルファの男と撮影ができるだろうか。
開斗は扉の代わりにカーテンで仕切られた控室に声を掛けようとして止まった。
「ミイ、大丈夫?やっぱり、今日、やめる?」
「ううん…アイ、ごめんね、いつまでも泣いてて、ごめんね。大丈夫、やる。できる。お仕事、モデルの、したいから…」
中から声が聞こえた。オメガモデルの二人だろう。そういえば第2性がオメガと聞いたが男性か女性か聞いていなかった。少し声が低い気がするので男性だろう。
やる気はまだあるようだ。果たして開斗を見てもまだ、撮影する気力は続いてくれるだろうか。
「すみません~モデルのカイトなんですけど、お邪魔してもいいですか?」
「っ…は、はいっ!」
返事を待って、カーテンを開ける。置かれた二人がけのソファに寄り添うように二人は座っていた。可愛らしい華やかな衣装に女性かと思ったが、メイクをして可愛らしい衣装を着てしまうとオメガは男性か女性か判断するのは難しくなる。
それよりも、部屋に漂う甘い匂いに開斗は首を傾げた。華と似ているような、でも、少し違う甘い匂い。どこから香るのだろうか。決して嫌な匂いではない。むしろずっと嗅いでいたいと思う。
「近寄ってもいい?」
「はい、大丈夫です」
「僕たちが、行きます」
涙を流していた方が頷く。二人は立ち上がって、手を繋いで開斗の傍に来る。甘い匂いが強くなった。二人共から、甘い匂いが沸き立っている。
「前の人がヒートを起こしたって聞いたんだけど、二人は…どっちかかな?発情期だったりする?」
「しません!ちゃんと薬を飲んで、コントロールしてます。さっきの人、勝手にヒートを起こしたんです!」
「発情期なら自分達でわかってますから、スケジュールを配慮してもらいます。発情期かどうか、アルファならわかるはずです」
「あ~ごめん、ごめん。俺ね、オメガのフェロモン?わかんないんだよねぇ。薬をきちんと飲んでるのは、えらいね」
発情期ではないという二人の言葉を信じるなら、ヒートを起こしたアルファは誤作動を起こしてしまったのだろう。発情期ではないにしても、オメガが二人もいる。その上ヒートを起こしたアルファは抑制剤を飲んでいなかったらしい。所詮人間なので誤作動を起こして発情したりヒートを起こしたりする。そこを防ぐためにも抑制剤は必須だと思うのだが。
オメガの二人は支え合って、気丈に開斗を睨みつけている。可愛らしい顔に似合わず芯が強いらしい。開斗は笑みを深める。
「で、どう?俺とやれそう?」
「「やれます」」
二人は声を揃えて答えた。即答だった。開斗は頷く。
「俺も準備があるから、二人が落ち着いてからでいいよ。ゆっくり出ておいで」
開斗は更衣室を後にした。二人の強い眼差しに、益々興味が湧いた。
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