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森之宮家の三兄弟
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開斗も何度かオメガやアルファのモデルと組んで撮影をしたりショーに出たことがある。どうしてもアルファとオメガの組み合わせは、事故が起きる確率が上がる。薬の服用は自己の責任に委ねられるからだ。製薬会社社長の息子ということもあり、開斗は薬を欠かしたことはない。飲んだか飲まないかは見た目ではわからない。
薬の種類が増えたことで差別はなくなったと言われているが、実際はそうではない。表向きはみな平等。しかしオメガは今だに差別の対象だ。中性的な容姿で、妊娠に特化している。そういう行為を強要されることも多いし、そういう目で見られてしまう。
それに加えて国から支援金が出るとはいえ、定期的な通院と薬の購入。時間も金銭も負担になる。アルファは全てにおいての能力が他の種よりも高く、高収入者が多い。同じように通院、投薬が必要なアルファとオメガだが、オメガの方が負担が大きい。
表向きはみな平等だが、実際は遥かに不平等。それがアルファとオメガだ。
開斗はオメガとの撮影でヒートを起こしたことはない。相手が発情してもなんともなかった。さすが森之宮製薬の御子息。きちんと抑制剤を服用しているのだともてはやされた。抑制剤の服用は当然だが、たぶん、薬がなくても開斗はヒートを起こさない気がしている。撮影でも街中にいてもオメガの気配を感じたことがない。外で父や兄弟が「匂いがする」と反応している時もなんともなかった。自分はアルファではないのかと思ったが、第2性の検査をやり直してもやはりアルファだった。確かに顔が良くてやればなんでもできる自分がアルファ以外であるはずないと思っているが、なぜオメガを感じられないのかがわからなかった。医師に相談しても首を傾げらる。抑制剤の効きが良すぎるのかとも思ったが、効いているなら効いているに越したことはない。
父からは抑制剤をきちんと飲むように指導されている。森之宮家の兄弟には通過儀礼として、一定年齢になると父から両親の初体験について聞かされる。
『親の初体験なんか聞きたくねぇだろうけど、大事なことだから伝えとく。俺は華と初めてした時、ヒートを起こした。何をしたのかろくに覚えてないし、妊娠の危険もあった。アルファと決まったわけじゃないが、事前に抑制剤を飲んでおけ。好きな相手にあんなことして、俺は、生きてるのがしんどかった。あんな思い、お前達は絶対すんな』
兄弟全員がアルファだと、父も含めてうっすらとした確信があった。父はギリギリまで「華似の開斗はオメガかもしれないから心配だ、きっとオメガだ」と言い張っていたが。もしかしたら男性オメガの母、華に似ていることも、開斗がオメガを感じない理由かもしれない。他の兄弟に比べると、開斗はアルファとしての能力が薄いと感じている。ただ、開斗が華に似ているのは相対的なものなのだが、そこは割愛する。
今は生活苦を抱える同業のオメガに興味がある。
「今日の一件、お偉いさんに御駄賃もらわないんだ。慰謝料?話聞く限り、悪いのはアルファでしょ」
「それがね、そういうのはいらないって突っぱねてるんだって。ちゃんとお仕事をしてお金をもらいます、って。それ聞いて、あたしも開斗にお願いしたくなったのよ」
マネージャーはベータの女性だが、世の中のオメガに対する風当たりに一物抱えている。それは前から感じていた。今回は、中々強気なオメガの味方をしたくなったらしい。その話を聞いて、開斗も俄然会いたくなった。
「なるほどねぇ。そりゃ、興味湧くわ。事務所とスポンサーと、諸々クリアしてんだよね?」
薬の種類が増えたことで差別はなくなったと言われているが、実際はそうではない。表向きはみな平等。しかしオメガは今だに差別の対象だ。中性的な容姿で、妊娠に特化している。そういう行為を強要されることも多いし、そういう目で見られてしまう。
それに加えて国から支援金が出るとはいえ、定期的な通院と薬の購入。時間も金銭も負担になる。アルファは全てにおいての能力が他の種よりも高く、高収入者が多い。同じように通院、投薬が必要なアルファとオメガだが、オメガの方が負担が大きい。
表向きはみな平等だが、実際は遥かに不平等。それがアルファとオメガだ。
開斗はオメガとの撮影でヒートを起こしたことはない。相手が発情してもなんともなかった。さすが森之宮製薬の御子息。きちんと抑制剤を服用しているのだともてはやされた。抑制剤の服用は当然だが、たぶん、薬がなくても開斗はヒートを起こさない気がしている。撮影でも街中にいてもオメガの気配を感じたことがない。外で父や兄弟が「匂いがする」と反応している時もなんともなかった。自分はアルファではないのかと思ったが、第2性の検査をやり直してもやはりアルファだった。確かに顔が良くてやればなんでもできる自分がアルファ以外であるはずないと思っているが、なぜオメガを感じられないのかがわからなかった。医師に相談しても首を傾げらる。抑制剤の効きが良すぎるのかとも思ったが、効いているなら効いているに越したことはない。
父からは抑制剤をきちんと飲むように指導されている。森之宮家の兄弟には通過儀礼として、一定年齢になると父から両親の初体験について聞かされる。
『親の初体験なんか聞きたくねぇだろうけど、大事なことだから伝えとく。俺は華と初めてした時、ヒートを起こした。何をしたのかろくに覚えてないし、妊娠の危険もあった。アルファと決まったわけじゃないが、事前に抑制剤を飲んでおけ。好きな相手にあんなことして、俺は、生きてるのがしんどかった。あんな思い、お前達は絶対すんな』
兄弟全員がアルファだと、父も含めてうっすらとした確信があった。父はギリギリまで「華似の開斗はオメガかもしれないから心配だ、きっとオメガだ」と言い張っていたが。もしかしたら男性オメガの母、華に似ていることも、開斗がオメガを感じない理由かもしれない。他の兄弟に比べると、開斗はアルファとしての能力が薄いと感じている。ただ、開斗が華に似ているのは相対的なものなのだが、そこは割愛する。
今は生活苦を抱える同業のオメガに興味がある。
「今日の一件、お偉いさんに御駄賃もらわないんだ。慰謝料?話聞く限り、悪いのはアルファでしょ」
「それがね、そういうのはいらないって突っぱねてるんだって。ちゃんとお仕事をしてお金をもらいます、って。それ聞いて、あたしも開斗にお願いしたくなったのよ」
マネージャーはベータの女性だが、世の中のオメガに対する風当たりに一物抱えている。それは前から感じていた。今回は、中々強気なオメガの味方をしたくなったらしい。その話を聞いて、開斗も俄然会いたくなった。
「なるほどねぇ。そりゃ、興味湧くわ。事務所とスポンサーと、諸々クリアしてんだよね?」
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