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森之宮家の三兄弟
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「開斗ぉ~…パパ、泣いちゃう…」
「ほら、華とエリカさんの手伝い。行くぞ」
「「は~い」」
開斗は元気いっぱい、伊吹は不貞腐れなが返事をしてキッチンに向かう。泣いちゃうパパをガン無視して食事となった。
食後、咲也は華に声を掛けた。
「第2性の、授業?」
「やった?高校生の時。こないだ、朝陽がぶっ倒れて」
「やった、やった。僕も具合悪くなって、裕司に保健室に連れてってもらったよ。懐かしいな…そっか。咲也ももう、そんな年齢だね」
今度は華と共にソファに腰掛けた。裕司は伊吹と開斗と風呂に入っている。
「そんな、具合悪くなるもん?」
「うーん、授業内容っていうか、教室内の雰囲気が、ね。そっか、朝陽君の話してたんだ。咲也があんな顔してるなんてって思ったけど…朝陽君のことだよねぇ、やっぱり」
華はうんうんと頷いて納得している。さっきリビングで裕司と話をしていた時、華は察して開斗と伊吹と共に別室にいてくれたようだ。扉越しに見たのかもしれない。
「教室内の雰囲気って?」
「ん…あの学園は、両親のどちらかがアルファだったり、両親共にアルファだったりする子が多いでしょ?だから、まだ第2性がわからないうちからアルファとして振る舞う子が、多いんだよね。無意識か、意識的か、わからないけど。僕はあの授業の時、クラスメイトがオメガに対して、どう思っているのかを知って…映像が流れてるの指さして、『オメガはあれが好きなんだ』とか、出産のシーンを見て、『オメガは男じゃない』とか」
華は話しながら、両手を握りしめた。もう20年近く前のことだが、今も不快に思うくらい記憶に残っているようだ。
「もちろん知識にはあったんだよ?僕は両親がオメガだし、森之宮の家にいたのも、次期当主の妻になるためだったわけだし。でも、あの授業で、今まで別け隔てなく授業を受けていたクラスメイトが、突然違う世界の人になってしまったような…オメガに対する生々しい意識を肌で感じて、怖くて、気持ちが悪く、なっちゃったんだよね」
咲也は映像を見てもなんとも思わなかった。それはきっと無意識に、自分はアルファだと思って見ていたからかもしれない。確かに、笑って指さして興奮している生徒もいた。中学生じゃあるまいしと思ったが、オメガかもしれない朝陽は違う。あの嘲笑が、興奮や興味が自分に向くかもしれない。一緒に学び遊んできた同級生が、一斉に偏見を持った目で見てくる。
「あの授業が悪いんじゃないし、アルファやベータの全員がそう思ってるわけじゃない。同じようにオメガかもしれない子でも、なんとも思わない子のほうが多いのかもしれない。でも、僕は嫌だった。きっと朝陽君も…」
朝陽も同じだったのだろう。その不快さは、味わった本人にしかわからない。どれほど不愉快で、怖かっただろう。
その上、咲也とこの先どうなるのかという不安も抱えていた。余計に体調に強く現れてしまったのかもしれない。
「咲也を妊娠していなくても、僕はきっと学園に通えなかった。そのくらいショックを受けて、同級生が気持ち悪く思えたんだ。でもね、大人になってみると…周りの目はもっと酷かったりするんだよ。僕は、裕司がいたから乗り越えられた。咲也も、朝陽君の傍にいてあげてほしいって、思う。まだ第2性は確定していないと、思うけど」
華はぐっと拳を握って言葉を切った。朝陽はオメガだと、華も思っているのだろう。さっき、裕司も朝陽がオメガだと断言していた。オメガとわかる何かがあるのかもしれない。
しかし診断がされていない以上、オメガだと推測することも偏見と同じだ。華はきっと、そう思って口にはしない。
「ほら、華とエリカさんの手伝い。行くぞ」
「「は~い」」
開斗は元気いっぱい、伊吹は不貞腐れなが返事をしてキッチンに向かう。泣いちゃうパパをガン無視して食事となった。
食後、咲也は華に声を掛けた。
「第2性の、授業?」
「やった?高校生の時。こないだ、朝陽がぶっ倒れて」
「やった、やった。僕も具合悪くなって、裕司に保健室に連れてってもらったよ。懐かしいな…そっか。咲也ももう、そんな年齢だね」
今度は華と共にソファに腰掛けた。裕司は伊吹と開斗と風呂に入っている。
「そんな、具合悪くなるもん?」
「うーん、授業内容っていうか、教室内の雰囲気が、ね。そっか、朝陽君の話してたんだ。咲也があんな顔してるなんてって思ったけど…朝陽君のことだよねぇ、やっぱり」
華はうんうんと頷いて納得している。さっきリビングで裕司と話をしていた時、華は察して開斗と伊吹と共に別室にいてくれたようだ。扉越しに見たのかもしれない。
「教室内の雰囲気って?」
「ん…あの学園は、両親のどちらかがアルファだったり、両親共にアルファだったりする子が多いでしょ?だから、まだ第2性がわからないうちからアルファとして振る舞う子が、多いんだよね。無意識か、意識的か、わからないけど。僕はあの授業の時、クラスメイトがオメガに対して、どう思っているのかを知って…映像が流れてるの指さして、『オメガはあれが好きなんだ』とか、出産のシーンを見て、『オメガは男じゃない』とか」
華は話しながら、両手を握りしめた。もう20年近く前のことだが、今も不快に思うくらい記憶に残っているようだ。
「もちろん知識にはあったんだよ?僕は両親がオメガだし、森之宮の家にいたのも、次期当主の妻になるためだったわけだし。でも、あの授業で、今まで別け隔てなく授業を受けていたクラスメイトが、突然違う世界の人になってしまったような…オメガに対する生々しい意識を肌で感じて、怖くて、気持ちが悪く、なっちゃったんだよね」
咲也は映像を見てもなんとも思わなかった。それはきっと無意識に、自分はアルファだと思って見ていたからかもしれない。確かに、笑って指さして興奮している生徒もいた。中学生じゃあるまいしと思ったが、オメガかもしれない朝陽は違う。あの嘲笑が、興奮や興味が自分に向くかもしれない。一緒に学び遊んできた同級生が、一斉に偏見を持った目で見てくる。
「あの授業が悪いんじゃないし、アルファやベータの全員がそう思ってるわけじゃない。同じようにオメガかもしれない子でも、なんとも思わない子のほうが多いのかもしれない。でも、僕は嫌だった。きっと朝陽君も…」
朝陽も同じだったのだろう。その不快さは、味わった本人にしかわからない。どれほど不愉快で、怖かっただろう。
その上、咲也とこの先どうなるのかという不安も抱えていた。余計に体調に強く現れてしまったのかもしれない。
「咲也を妊娠していなくても、僕はきっと学園に通えなかった。そのくらいショックを受けて、同級生が気持ち悪く思えたんだ。でもね、大人になってみると…周りの目はもっと酷かったりするんだよ。僕は、裕司がいたから乗り越えられた。咲也も、朝陽君の傍にいてあげてほしいって、思う。まだ第2性は確定していないと、思うけど」
華はぐっと拳を握って言葉を切った。朝陽はオメガだと、華も思っているのだろう。さっき、裕司も朝陽がオメガだと断言していた。オメガとわかる何かがあるのかもしれない。
しかし診断がされていない以上、オメガだと推測することも偏見と同じだ。華はきっと、そう思って口にはしない。
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