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「真実は本人達にしかわからない。でも、俺もタクヤも、お互いの事務所に迷惑をかけるようなことはないと思う」
レイはまっすぐマイを見つめた。レイの瞳にマイは笑って頷く。レイはマイに嘘はつかない。これまでも、レイは恋愛以外でも問題を起こさずに仕事をしてくれていた。
何度か週刊誌に『タクヤとレイの熱々デート』という記事が出ることがあるが、問題にすらならなっていない。雑な変装でラーメン屋やらファミリーレストランやら庶民的な店に食事に行く二人の隠し撮りのような写真。その後に、ダブルピースでポーズを取って取材に答える二人の写真が掲載されるという、お決まりのパターンの記事だった。
タクヤいわく、気づくといつも同じ記者にネタにされているらしい。情報提供者は間違いなくタクヤだ。ファンは喜び、部数が伸びると出版社が潤う。この記事のおかげで二人の宣伝に大きくページを割いてくれたりする。世の中を騒がせる事柄が本業かやらせデート報道しかないのは事務所にとってはありがたい。この程度のガス抜きなら、と、双方の事務所も黙認していた。それはマイも同じだった。
「そうだよな…ごめん、変なこと聞いて。レイとタクヤは、大丈夫だ」
「あ、すまん。タクヤが昨日向こうで受けた取材で俺と事実婚してるとか言ったらしい。たぶんネットがざわつく」
「嘘だろタクヤ」
「あとでタクヤの事務所の人が謝りに来ると思うし色々問い合わせが来るんじゃないかと思う」
「言ってよ。こっちにもちゃんと話通してよタクヤ!」
「すまん。代わりに謝っておく。ごめん」
マイは頭を抱えた。なぜ他所の事務所の所属アイドルの発言に頭を悩まさなければならいのか。しかし、レイのタクヤとの関係のおかげでタクヤの事務所と太いパイプができているのも事実だった。タクヤの事務所の人間が菓子折りを持ってくるのだろう。恩を売っておこうと思いつつ、これから増えるだろう問い合わせに、マイは不敵に笑う。
「でもまぁ、せっかくのスキャンダルだし。利用しないとな。つか、事実婚だったんかい」
「俺も初めて知った。でもタクヤがそう言うなら、そうなんじゃないか?」
「他人事だよ…レイにも取材受けてもらうからな?」
「もちろん。今回の映画の宣伝をしておく」
マイは歯を見せて笑い、レイは小さく微笑んだ。マイとレイは活躍の場は別れたものの、マイはレイを、レイはマイを信じて進んでいく。
ツインズは二人でひとつ。
今日も二人は自分達の道を進んでいく。
END
レイはまっすぐマイを見つめた。レイの瞳にマイは笑って頷く。レイはマイに嘘はつかない。これまでも、レイは恋愛以外でも問題を起こさずに仕事をしてくれていた。
何度か週刊誌に『タクヤとレイの熱々デート』という記事が出ることがあるが、問題にすらならなっていない。雑な変装でラーメン屋やらファミリーレストランやら庶民的な店に食事に行く二人の隠し撮りのような写真。その後に、ダブルピースでポーズを取って取材に答える二人の写真が掲載されるという、お決まりのパターンの記事だった。
タクヤいわく、気づくといつも同じ記者にネタにされているらしい。情報提供者は間違いなくタクヤだ。ファンは喜び、部数が伸びると出版社が潤う。この記事のおかげで二人の宣伝に大きくページを割いてくれたりする。世の中を騒がせる事柄が本業かやらせデート報道しかないのは事務所にとってはありがたい。この程度のガス抜きなら、と、双方の事務所も黙認していた。それはマイも同じだった。
「そうだよな…ごめん、変なこと聞いて。レイとタクヤは、大丈夫だ」
「あ、すまん。タクヤが昨日向こうで受けた取材で俺と事実婚してるとか言ったらしい。たぶんネットがざわつく」
「嘘だろタクヤ」
「あとでタクヤの事務所の人が謝りに来ると思うし色々問い合わせが来るんじゃないかと思う」
「言ってよ。こっちにもちゃんと話通してよタクヤ!」
「すまん。代わりに謝っておく。ごめん」
マイは頭を抱えた。なぜ他所の事務所の所属アイドルの発言に頭を悩まさなければならいのか。しかし、レイのタクヤとの関係のおかげでタクヤの事務所と太いパイプができているのも事実だった。タクヤの事務所の人間が菓子折りを持ってくるのだろう。恩を売っておこうと思いつつ、これから増えるだろう問い合わせに、マイは不敵に笑う。
「でもまぁ、せっかくのスキャンダルだし。利用しないとな。つか、事実婚だったんかい」
「俺も初めて知った。でもタクヤがそう言うなら、そうなんじゃないか?」
「他人事だよ…レイにも取材受けてもらうからな?」
「もちろん。今回の映画の宣伝をしておく」
マイは歯を見せて笑い、レイは小さく微笑んだ。マイとレイは活躍の場は別れたものの、マイはレイを、レイはマイを信じて進んでいく。
ツインズは二人でひとつ。
今日も二人は自分達の道を進んでいく。
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