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第35話
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地面に向けていた視線を動かして久賀を見た。
顔色はまだ悪いままで、心配は消えやしない。
やっぱり横になるようにもう一回言ってみようかな。
ホントはベッドで寝てくれたら良いんだけど、保健室は行きたくないって言うし。
まぁ、手首のアレを見られたらイロイロヤバいから気持ちは分かるけど。
じゃぁいっそ家まで送ってやった方が良いんじゃないか?
どうせ今日はもう授業どころじゃねぇし。
でも、見張ってないと、またバイトに行きそうな気がするしなぁ。
あー……一日中、監視するとかムリだから、一刻も早くウリなんざ止めるように説得しよう。
出来るかな、俺に……うー、あー……もー。
「あのですね、尾上くん。何でそわそわしてるのか知らないけど、つられてコッチも落ち着かないんだけど?」
「にゅわっ」
にゅわって何だよ、俺。
ちっとも全然これっぽっちも冷静になんかなれてねぇじゃないか。
変な声をあげて飛び上がると、呆れたような視線を向けられて「うー」とか「あー」とかこれまた変な呻き声がもれた。
「…………そんな警戒しなくても、何もしねぇよ」
「へっ?」
久賀は、ふわぁっと欠伸を一つして、前髪を掻き上げながら「頭いてぇ」と呟いた。相手を凝視し、言葉の真意を計り兼ねていると、「だから見るなって」と言われた。
「あ、うん……。あ、の……何もしないってどーゆー意味?」
「ん。そのままですけど」
だから、ソレが分かんないんですよ。
気になって気になって、見るなと言われたが、ついつい視線が向いちゃってどうしようもない。
「ヒトのハナシ全く聞いてないね」と、呆れかえった視線を向けられ、実に疲れきった溜め息をつかれて、心の中でゴメンナサイを繰り返す。
スミマセン、見てないとか嘘です。
ガン見してます。
いや、見るつもりはナインデスヨ、ホントホント。
無意識の行動なんです。と心の中で言い訳だ。
「……せめて隣に座れば?何で斜め前なの」
「えっと、隣に行ってもいいのか?」
「(ほぼ)正面からガン見されるよりマシ」
そうか、そうおっしゃるなら遠慮なく。
そろそろと久賀の隣に移動して、壁に背を預けてみたり。
ついつい顔が横向いてみたり。
久賀さんに嫌そうな顔をされて、盛大に傷ついてみたり。
うん……学習能力アリマセン。
阿呆です。
でもさ、そんな嫌そうな顔しなくてもいいじゃん。
地面にのの字でも書き始めてしまいそうなくらい、気持ちが落ちるんですよね。自分でも自覚するウザさだな。
「……あのさ、尾上」
「にょわぃ!」
だから、にょわいって何だよ、俺っ。
ほら、呆れるとか通り越して、久賀が不機嫌になってるじゃないか。
もう少し落ち着けないのかと自分に言い聞かせるが、無駄だった。
好きな相手の側で冷静を装うのって、どーすりゃいいんですかね?
しかも双方が男とゆー特殊パターンだ。
彼女がいたことはありますが、こんなにもドキドキしなかった。
モチロン挙動不審にもならなかった。
うー……これって、もしかして俺の勘違いだったりするのかな。
ついムラムラっとして(ヤりたい盛りの高校生だからな……あと、久賀がエロいのがいけない)うっかりキスとかしちゃった所為で、単に意識してるだけでさ。
ほら、なんてゆーの?カッコイイ同性に対する憧れ?的な、そんなヤツ。
こんな男になりたいぜー!って感情を、ちゅーとか……あ、アレとか、なんだ、えーと……トイレのアレね……うん、まぁソレとかの所為で変に意識してるだけだったりするのかな。
付き合っていた女の子の事は、普通に可愛いなぁとか、ぎゅってしてあげたいなぁとか、守ってやらなきゃとか思ってた。
久賀のことは。
久賀のことは、格好いいなと思う。
これは憧れの意味でもおかしくない。
他には……。
触りたいとは思う。
出来れば触って欲しいとも思う。
キスがしたい、とも、思う。
キスが欲しいかと聞かれたら、はい、しか言えそうにない。
知りたいと思う、近づきたいと思う、優しくされたいとも思っている。
甘えさせて欲しい。甘えて欲しい。
笑って口づけて欲しい。撫でて、愛して、俺を抱い……。
「んで俺が女役!!!」
ドンッと地面を拳で殴り、土下座状態。
ちなみにいつの間にか正座してました。
うっかり叫んだけど、自覚は後からやってくる。
隣に久賀が居ますが、どうしますか、俺。
背中に、じっとりと嫌な汗をかいた。
「お前、なんか変なモノでも食ったのか?」
呆れも怒りも通り越したのか、ついに心配されてしまったよ。
バカにするような気配もちょっとだけあったけど、俺が応えずにいると「本当に大丈夫か?」と背中を指でつんつんされた。
実は、優しかったりするとこも、好きなんだよな。
(男に惚れてしまった………コレが恋じゃないならいったい)
何を恋と呼べばいいのか分からない。
うっかり隣の男に抱かれたいと思っている自分に気づいてしまって、暫く微動だに出来ず、そのまま土下座し続けた。
人生には山あり谷あり壁もある。
しかし、なにもこんな高すぎる壁を用意しなくてもいいんじゃね?と俺はカミサマを恨んだ。
顔色はまだ悪いままで、心配は消えやしない。
やっぱり横になるようにもう一回言ってみようかな。
ホントはベッドで寝てくれたら良いんだけど、保健室は行きたくないって言うし。
まぁ、手首のアレを見られたらイロイロヤバいから気持ちは分かるけど。
じゃぁいっそ家まで送ってやった方が良いんじゃないか?
どうせ今日はもう授業どころじゃねぇし。
でも、見張ってないと、またバイトに行きそうな気がするしなぁ。
あー……一日中、監視するとかムリだから、一刻も早くウリなんざ止めるように説得しよう。
出来るかな、俺に……うー、あー……もー。
「あのですね、尾上くん。何でそわそわしてるのか知らないけど、つられてコッチも落ち着かないんだけど?」
「にゅわっ」
にゅわって何だよ、俺。
ちっとも全然これっぽっちも冷静になんかなれてねぇじゃないか。
変な声をあげて飛び上がると、呆れたような視線を向けられて「うー」とか「あー」とかこれまた変な呻き声がもれた。
「…………そんな警戒しなくても、何もしねぇよ」
「へっ?」
久賀は、ふわぁっと欠伸を一つして、前髪を掻き上げながら「頭いてぇ」と呟いた。相手を凝視し、言葉の真意を計り兼ねていると、「だから見るなって」と言われた。
「あ、うん……。あ、の……何もしないってどーゆー意味?」
「ん。そのままですけど」
だから、ソレが分かんないんですよ。
気になって気になって、見るなと言われたが、ついつい視線が向いちゃってどうしようもない。
「ヒトのハナシ全く聞いてないね」と、呆れかえった視線を向けられ、実に疲れきった溜め息をつかれて、心の中でゴメンナサイを繰り返す。
スミマセン、見てないとか嘘です。
ガン見してます。
いや、見るつもりはナインデスヨ、ホントホント。
無意識の行動なんです。と心の中で言い訳だ。
「……せめて隣に座れば?何で斜め前なの」
「えっと、隣に行ってもいいのか?」
「(ほぼ)正面からガン見されるよりマシ」
そうか、そうおっしゃるなら遠慮なく。
そろそろと久賀の隣に移動して、壁に背を預けてみたり。
ついつい顔が横向いてみたり。
久賀さんに嫌そうな顔をされて、盛大に傷ついてみたり。
うん……学習能力アリマセン。
阿呆です。
でもさ、そんな嫌そうな顔しなくてもいいじゃん。
地面にのの字でも書き始めてしまいそうなくらい、気持ちが落ちるんですよね。自分でも自覚するウザさだな。
「……あのさ、尾上」
「にょわぃ!」
だから、にょわいって何だよ、俺っ。
ほら、呆れるとか通り越して、久賀が不機嫌になってるじゃないか。
もう少し落ち着けないのかと自分に言い聞かせるが、無駄だった。
好きな相手の側で冷静を装うのって、どーすりゃいいんですかね?
しかも双方が男とゆー特殊パターンだ。
彼女がいたことはありますが、こんなにもドキドキしなかった。
モチロン挙動不審にもならなかった。
うー……これって、もしかして俺の勘違いだったりするのかな。
ついムラムラっとして(ヤりたい盛りの高校生だからな……あと、久賀がエロいのがいけない)うっかりキスとかしちゃった所為で、単に意識してるだけでさ。
ほら、なんてゆーの?カッコイイ同性に対する憧れ?的な、そんなヤツ。
こんな男になりたいぜー!って感情を、ちゅーとか……あ、アレとか、なんだ、えーと……トイレのアレね……うん、まぁソレとかの所為で変に意識してるだけだったりするのかな。
付き合っていた女の子の事は、普通に可愛いなぁとか、ぎゅってしてあげたいなぁとか、守ってやらなきゃとか思ってた。
久賀のことは。
久賀のことは、格好いいなと思う。
これは憧れの意味でもおかしくない。
他には……。
触りたいとは思う。
出来れば触って欲しいとも思う。
キスがしたい、とも、思う。
キスが欲しいかと聞かれたら、はい、しか言えそうにない。
知りたいと思う、近づきたいと思う、優しくされたいとも思っている。
甘えさせて欲しい。甘えて欲しい。
笑って口づけて欲しい。撫でて、愛して、俺を抱い……。
「んで俺が女役!!!」
ドンッと地面を拳で殴り、土下座状態。
ちなみにいつの間にか正座してました。
うっかり叫んだけど、自覚は後からやってくる。
隣に久賀が居ますが、どうしますか、俺。
背中に、じっとりと嫌な汗をかいた。
「お前、なんか変なモノでも食ったのか?」
呆れも怒りも通り越したのか、ついに心配されてしまったよ。
バカにするような気配もちょっとだけあったけど、俺が応えずにいると「本当に大丈夫か?」と背中を指でつんつんされた。
実は、優しかったりするとこも、好きなんだよな。
(男に惚れてしまった………コレが恋じゃないならいったい)
何を恋と呼べばいいのか分からない。
うっかり隣の男に抱かれたいと思っている自分に気づいてしまって、暫く微動だに出来ず、そのまま土下座し続けた。
人生には山あり谷あり壁もある。
しかし、なにもこんな高すぎる壁を用意しなくてもいいんじゃね?と俺はカミサマを恨んだ。
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