どれっど王国

浅貴るお

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第5話

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 まず手始めにしたのが、警察署への電話だった。
 猫の捜索願いが出ていないか確認するためだ。
 これはハズレだった。
 その次にしたのが、僕の住んでいる市で、動物を飼っている友人・知人の家を訪れて、世話できないか訊いてみた。
 これも駄目だった。
 その夜、SNSにて猫の写真をつけて、飼い主の捜索と里親探しを呼び掛けた。
  1日目はこれで終わる。

 2日目。
 下半身麻痺の猫飼えないかと、携帯電話に電話番号を登録してある友人や知人に、片っ端から訊いてみた。
 全て全滅だった。
 警察署に探し猫の届け出が新たに出ていないか訊く。が、2日目も空振りに終わった。

 3日目。
 全く手掛かりや成果があげらず、不安がつのる。今日も含めて、あと5日で見つからなければ、保健所へ連絡するしかない。そうしたら、ほぼ、殺処分されてしまう。それだけは避けたい。せっかく助けた命なのに。
 その夜、SNSのフォロワーさんから、ダイレクトメールがあった。
 それは、動物保護団体を頼ってみてはどうかと言うものだった。
 そうか、その手段があったかと、そのフォロワーさんに感謝した。
 それから、ネットで動物保護団体を検索した。
 そうすると、都心の猫の保護団体がヒットした。
 早速、電話をかけて問い合わせてみる。
 こちらに連れてきてもらえば、引き取ってもらえるとのことだった。
 良かった。見つかったと思い、喜んだがしかしそれはぬか喜びに終わった。
 慈善事業ではないので、ただでは引き取れない。30万円かかりますと言われたからだ。
 30万円!とてもではないが、そんな大金出せる訳がなかった。
 もう少し、良心的価格の引き取りはないかと、色々な動物保護団体を探して問い合わせしてみるが、どこも似たり寄ったりで、成果はあげられなかった。
 この日も警察署に連絡してみたが、ハズレだった。
 3日目が終わる。

 4日目。
 この日、事態が動く。
 午前中だった。今日もネットで引き取りできる動物保護団体を探して、片っ端から電話していた。
 そんな折、携帯番号が連絡先の動物保護団体を見つける。
 どれっど王国と言う、個人で立ち上げている動物保護団体だった。
 あまり期待せずに電話した。そうしたら、意外な金額提示をされた。
「5万円で引き取りましょう。障害を持っている猫なら、8万円でお引き取り可能ですよ」
 晴天の霹靂だった。しかも、県内にある動物保護団体だと言う。さらに、こちらから保護団体さんに出向く必要はなく、預けている動物病院まで来てくれるとのことだった。
 8万円は、痛いが、出せない額ではなかった。僕はどれっど王国さんに引き取りをお願いすることにした。
「やった見つかったぞ!」と僕は両手を挙げてよろこんだ。
 2日後が引き取り日として決まる。
 その2日間、期待を膨らませ、僕はその日を待つこととなった。
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