金魚のいるお手洗い

くろねずみ

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由里香

終わりの始まり

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おしっこを堰き止める。
それだけに集中して長い長い時間が過ぎた。
何事もなかったかのように振る舞うのは難しくなってきた。

震えてる。声も身体も。
痛みを伴う尿意。これ以上我慢したら膀胱が破裂するかも知れない。
膨らみきった膀胱に収まり切らないおしっこが尿道までも占領している感覚があった。
本当に限界までおしっこを我慢するとこうなるんだ。知らなかった。

一瞬周りの景色が白黒写真のようになった。
ヤバい。
正気を保たないと。

おしっこが太腿を伝わり、膝、脹脛、足首を流れる感覚があった。
なりふり構っている場合じゃない。
両手でそこを押さえ、不自然なステップを続ける。
靴に溜まって足の裏を濡らす。

「トイレ」
不自然なステップのままトイレに向かう。誰の目にも明らかなくらいのおしっこ我慢。
決定的な崩壊は防いだけど、まだ我慢をしているけど、一度出口から溢れてしまったおしっこを膀胱に戻すことは出来なかった。

私の覚悟なんてこんなものだったんだ。そう思い知らされた。膀胱破裂するまで我慢を重ねる覚悟はなんだったんだろう。
絞れるくらいおちびりに濡れた下着の感触が私の覚悟を嘲笑う。

バケツの前で順番待ち。まだ待たないとバケツにさえおしっこをすることができない。
もう我慢できないけど、我慢するしかない。何筋かまた脹脛のあたりを伝う。

我慢しているのにおしっこが溢れてくる。一瞬たりとも我慢をやめてないのにハイヒールが濡れて水滴がキラキラしている。
トイレの床にまで言い訳できない程の。

ちょっと前に拒否したバケツがやっと回ってきた。
やっとおしっこができる。
できるなら尿道を塞いでしまいたかった。それがどんなに苦しいことでも記憶の中の姫君と同じになりたかった。
おしっこが溜まる苦しみよりもおしっこをトイレの床に垂れ流してしまう惨めさよりは良かった。

大量のおしっこ。
バケツの半分くらい。こんなにも我慢してたのだから仕方ない。そう思えることだけは良かった。
おしっこは出てしまったけど我慢は続けていたんだから仕方ない。

長い長いおしっこを終えて、バケツの汚水を捨て、まず床のおしっこを紙タオルとトイレットペーパーで拭く。お掃除にバケツを使えないから仕方ない。

それからハイヒールもトイレットペーパーで拭く。
濡れた下着は捨てた。
ストッキングも捨てた。

ノーパンに抵抗はあった。恥ずかしかった。けどおしっこを吸った下着を履き続ける気持ち悪さよりはマシだと思った。


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