蒼い春も、その先も、

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蒼い春も、その先も、

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 ずっと自分を苦しめてきた無力感が、ふと蘇る。
 それは、今まで感じてきた同じ感情よりも、遥かに重く冷たかった。

 椿は邪魔者扱いをしなかった。
 全てを受け入れてくれた。
 好意を寄せてくれた。
 必要としてくれた。
 抱き締めてくれた。

 そんな彼を、救うことが出来ない。救う術すら分からない。

 湿った部屋で、一人脱力する。登校どころか、立ち上がることすら億劫だ。溜め息が出る。

 突如、スマートフォンから軽快なメロディを鳴り響いた。数時間前にタイマーをセットした事を思い出し、暫くぼーっと座り込む。
 二週間前から、毎日同じ時間に設定しているタイマーだ。

 今日は会えるかもしれない。

 穂希は自身を励ますように、心の中で呟いた。
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