蒼い春も、その先も、

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花霞の中に見える君の顔

17-3

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 渡り廊下に出た瞬間、がやがやとした騒々しい声がいくつも飛び込んでくる。普段あちこちで飛び交っている生徒たちの談笑とは、明らかに違う。

 慌てて声の方に歩いていくと、環状の人だかりが出来ていた。
 どうしたのか訊ねても、何かに気を取られているのか誰一人見向きもしない。

 椿は適当に鞄を置いて、人混みを掻き分けた。
 そして、唖然とする。

 生徒たちに囲まれるようにして、穂希が倒れていたからだ。

 元から不健康な顔色は一目で分かるほどに悪化しており、呼吸も浅く、速い。

「ごめん、先生呼んできてくれる?」

 近くに居た女子生徒に指示すると、彼女は大急ぎで走っていった。
 久方振りに見る穂希の姿は、胸に確かな痛みを齎した。
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