蒼い春も、その先も、

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花霞の中に見える君の顔

17-2

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 あの日から穂希に会うことのないまま夏休みが明け、早くも一週間が経過した。

 保健室は意識的に避け、気を紛らわす為敢えて自分を追い込んでみても、朝比奈穂希という存在は脳内を侵し続ける。

 特に放課後は、穂希の元に行くのが習慣になっていた所為で彼のことばかり考えてしまう。
 よって心身ともに疲労困憊し、徒歩で帰宅するのも億劫になるほどだった。 

「穂希くんのところ行かないの?」

 授業が終わるなり、千冬が背後から問い掛ける。
 どうやら彼女は二人の間に起きた異変に薄々気付いているようだ。頷いて黙っていても全然離れていかないことから、それを察知する。

「何かあった?」
「何も」
「怪しいー」
「すぐ怪しむのやめな」

 椿は教科書を纏めて、スクールバッグに入れた。いつの間にか回り込んで、前方の空いた席に座っていた千冬が訝る目で睨んでくる。

「普通に怪しいでしょ。毎日会いに行ってたのに。喧嘩?」
「ちょっとしつこいよ。僕帰るから、じゃあね」

 幼馴染ということも相俟って、語調が荒くなる。すぐに後悔するも、不必要な意地が邪魔をして謝る事が出来ず、椿は逃げるように教室を後にした。
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