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春昼の愚かな二人
12-1
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あの日からの一週間は、とても充実していた。やはり自分には椿が居ないと駄目なんだと、改めてそう感じる毎日だった。
精神状態も信じられないほどに穏やかで、登校して椿を待つ時間にさえ多幸感を噛み締める日々だ。
いつもよりも早めに登校した穂希は、布団の上にノートを広げた。
程なくして、佐々木が席を立っている保健室に、ノックの音が響く。椿だと予想しつつも返事をしないでいると、意外な人物がカーテンの隙間から顔を覗かせた。
「……千冬さん」
「突然ごめんね。今、良い?」
何故か声を潜めて、千冬が問い掛ける。躊躇いがちに頷くと、彼女は漸くカーテンの内側に入ってきた。
「あのね、聞きたい事があるの」
「何?」
「あのさ……」
千冬はもう一度カーテンの外を回視した。誰もいないか、確認しているように見えた。
身構えていると、彼女がぐっと身を寄せ耳元で囁く。
「穂希くんと椿、この間キスしてたよね? あれ、どういうこと?」
思わず顔を上げる。
焦りはしなかったが、どうしたら良いものか分からず黙り込んでしまう。
「椿に聞き辛くて。絶対教えてくれないし。二人は付き合ってるの?」
千冬は丸椅子に腰を下ろし、引き続き小声のまま訊ねた。
精神状態も信じられないほどに穏やかで、登校して椿を待つ時間にさえ多幸感を噛み締める日々だ。
いつもよりも早めに登校した穂希は、布団の上にノートを広げた。
程なくして、佐々木が席を立っている保健室に、ノックの音が響く。椿だと予想しつつも返事をしないでいると、意外な人物がカーテンの隙間から顔を覗かせた。
「……千冬さん」
「突然ごめんね。今、良い?」
何故か声を潜めて、千冬が問い掛ける。躊躇いがちに頷くと、彼女は漸くカーテンの内側に入ってきた。
「あのね、聞きたい事があるの」
「何?」
「あのさ……」
千冬はもう一度カーテンの外を回視した。誰もいないか、確認しているように見えた。
身構えていると、彼女がぐっと身を寄せ耳元で囁く。
「穂希くんと椿、この間キスしてたよね? あれ、どういうこと?」
思わず顔を上げる。
焦りはしなかったが、どうしたら良いものか分からず黙り込んでしまう。
「椿に聞き辛くて。絶対教えてくれないし。二人は付き合ってるの?」
千冬は丸椅子に腰を下ろし、引き続き小声のまま訊ねた。
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