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憂う春、君の視線
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放課後、椿は約束通り穂希の元に来て、ノートを併用して授業内容を分かり易く伝えた。
その間に動く彼の視線が、やはり自身の傷跡に向かっている事に気付き、筆を走らせていた手を止める。
「……もしかして傷気になる?」
「あっ、ちょっとだけ……ごめん……」
「いいよ、隠してるわけじゃないし」
微笑むと、椿は些か安堵しているようだった。
目線は再度、手首に残ったリストカットの痕に据えられる。袖の隙間から見えている程度ではあったが、その部分だけでも線状の傷は深く、夥しかった。
「……痛そうだね」
「まぁ、でも気付いたらやってる。……やめようとは思ってるんだけどね」
「そう、なんだ……」
予想していた反応とは少し違うニュアンスに、違和感を抱く。
同時に、困らせる発言をしてしまったという罪悪感が募り始め、慌てて勉学の再開を促した。
その間に動く彼の視線が、やはり自身の傷跡に向かっている事に気付き、筆を走らせていた手を止める。
「……もしかして傷気になる?」
「あっ、ちょっとだけ……ごめん……」
「いいよ、隠してるわけじゃないし」
微笑むと、椿は些か安堵しているようだった。
目線は再度、手首に残ったリストカットの痕に据えられる。袖の隙間から見えている程度ではあったが、その部分だけでも線状の傷は深く、夥しかった。
「……痛そうだね」
「まぁ、でも気付いたらやってる。……やめようとは思ってるんだけどね」
「そう、なんだ……」
予想していた反応とは少し違うニュアンスに、違和感を抱く。
同時に、困らせる発言をしてしまったという罪悪感が募り始め、慌てて勉学の再開を促した。
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