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antinomy
22-3
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「アッ! ああ、くっ……あ……!」
敢えて苦しいセックスに導いたのは自身だが、想像を上回る辛さにボロボロと涙を流しながら悶えた。
朔斗を苦しめているのは圧迫感や内臓への衝撃だけではない。
どうにもならない甘い痺れが、突かれる度に大きくなるのだ。発散出来ないもどかしさと、この一線を越えた先に何が待っているのか分からない恐怖で身も心も急速に擦り減っていく。
奥を犯されている間は未知な感覚を苦しさが掻き消してくれるので、我武者羅に、ただ思い付くままの言葉で、昂良を望む方へ誘導した。
クラクラする。摩擦で熱くなった場所から、力が入らなくなっていく。
やがて朔斗は体勢を保っていられなくなり、頽れた。腰は昂良に固定されたままのなので、体が前後に大きく揺れた。嗚咽混じりの声が引っ切り無しに溢れた。
ふと、昇良が背を抱き、名前を呼んだ。
彼女ではなく、自分の名前だ。
理性が曖昧になる一方で、本当に、“さつき”の代わりですらなくなったことを思い知る。
復讐だの何だのと言いながら、こんなことに落ち込み、浅ましい行為に踊らされ、未だに心が揺らいでいるこの現実がどうしようもなく辛い。
――――いっそのこと、後ろ手に縛って、乱暴に貫いて、あの日を再現してくれたらよかったのに。
不明瞭になる意識の中、『憎まなきゃ』という自身の声が反響する。
その時、迫り上がる劣情に吐息を押し殺した昇良が、深々と身を沈めた。彼の脈動をしっかりと捉え、全身に伝う痺れに唇を噛む。直後、最奥に熱い蜜が放たれ、喘ぐ声は咆哮へと変わった。
どれだけの時間が経過したのだろうか。
内側を蹂躙していた欲が去り、漸く筋肉が弛緩する。
あれから何度も欲望を受け止め、昂良の愛撫により朔斗も何度も絶頂した。
一度射精してからは、感覚の鋭くなった身の内を犯されることが甚だ苦しく、何も考えられなくなっていた。
脱力したまま、肩で息をする。涙で視界が霞んでいる。髪が汗で額に貼り付いている。唇や顎は、唾液による不快感をべったりと纏っている。
ぼんやりと、酷い顔をしているんだろうなと考える。
「朔斗……」
不意に耳に届いた吐息混じりの声は、どこか上の空だった。
昂良は背後から迫り、朔斗の上半身を翻すと、息も絶え絶えに触れるだけのキスをした。
敢えて苦しいセックスに導いたのは自身だが、想像を上回る辛さにボロボロと涙を流しながら悶えた。
朔斗を苦しめているのは圧迫感や内臓への衝撃だけではない。
どうにもならない甘い痺れが、突かれる度に大きくなるのだ。発散出来ないもどかしさと、この一線を越えた先に何が待っているのか分からない恐怖で身も心も急速に擦り減っていく。
奥を犯されている間は未知な感覚を苦しさが掻き消してくれるので、我武者羅に、ただ思い付くままの言葉で、昂良を望む方へ誘導した。
クラクラする。摩擦で熱くなった場所から、力が入らなくなっていく。
やがて朔斗は体勢を保っていられなくなり、頽れた。腰は昂良に固定されたままのなので、体が前後に大きく揺れた。嗚咽混じりの声が引っ切り無しに溢れた。
ふと、昇良が背を抱き、名前を呼んだ。
彼女ではなく、自分の名前だ。
理性が曖昧になる一方で、本当に、“さつき”の代わりですらなくなったことを思い知る。
復讐だの何だのと言いながら、こんなことに落ち込み、浅ましい行為に踊らされ、未だに心が揺らいでいるこの現実がどうしようもなく辛い。
――――いっそのこと、後ろ手に縛って、乱暴に貫いて、あの日を再現してくれたらよかったのに。
不明瞭になる意識の中、『憎まなきゃ』という自身の声が反響する。
その時、迫り上がる劣情に吐息を押し殺した昇良が、深々と身を沈めた。彼の脈動をしっかりと捉え、全身に伝う痺れに唇を噛む。直後、最奥に熱い蜜が放たれ、喘ぐ声は咆哮へと変わった。
どれだけの時間が経過したのだろうか。
内側を蹂躙していた欲が去り、漸く筋肉が弛緩する。
あれから何度も欲望を受け止め、昂良の愛撫により朔斗も何度も絶頂した。
一度射精してからは、感覚の鋭くなった身の内を犯されることが甚だ苦しく、何も考えられなくなっていた。
脱力したまま、肩で息をする。涙で視界が霞んでいる。髪が汗で額に貼り付いている。唇や顎は、唾液による不快感をべったりと纏っている。
ぼんやりと、酷い顔をしているんだろうなと考える。
「朔斗……」
不意に耳に届いた吐息混じりの声は、どこか上の空だった。
昂良は背後から迫り、朔斗の上半身を翻すと、息も絶え絶えに触れるだけのキスをした。
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