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antinomy
22-2
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熱気が漲る寝室に、荒っぽい吐息が絶え間なく浮かんでは消えてゆく。たっぷりと中をまさぐっていた指を引き抜き、昇良は仰向けに寝ていた朔斗の体を翻した。
ア、と口を開きかけた瞬間に、腰が高く持ち上げられる。
「……昇良、それ……」
「やっぱバックでするの嫌?」
「あ、えと……」
この頃は正常位ばかりだったので、初日と同じ体位での挿入に些か気後れする。
「……分かった、いいよ……」
これも決行日に向けて意思を固めるにはちょうどいいかもしれない。
そんな思いから出した答えだった。
窄まりに熱が触れ、逃げ腰になってしまう背中を押さえ込み、昇良がぐっと体重をかけた。
「んっ、んん……! あっ……!」
どれだけ丁寧に内側を解されていようとも、入ってくる時はいつも苦しくて全身が強張ってしまう。
彼のしなやかな肉体にそぐわない、凶器のようなものに穿たれ、汗が滴る。
痙攣する内腿をさらに割り開かれ、奥深くまで遅々と広げられる。昂良は自身の全てを朔斗の腹の中に収めると、漸く動きを止めた。
「大丈夫? 痛くない?」
「だ、大丈夫……もう、動いて」
「まだ中キツイのに、そんなこと言っていいのかよ」
背後から嘲笑を含んだ声が聞こえる。
――――本音を言えば、行為そのものをやめたい。これ以上、慣れてしまいたくないのだ。
だが今は少しでも痛く苦しいセックスに自身を追い込まなければいけなかった。
全ては彼を憎むため、戸惑うことなく復讐する為だった。
朔斗は昂良の声に頷いた後、
「……早く」
と小さく訴えた。
一瞬躊躇した気配が去り、内部を満たしているものが鈍く動き出す。シーツに爪を立て、内部を殴打する衝撃に耐える。
抜け切らない位置までゆっくりと身を引いた昂良が、腰を鷲掴みにして一気に最奥を突き上げた。
「ああっ!」
潤滑剤のおかげで切れてはいないようだが、内側の苦痛は圧倒的で、1ミリも動けなくなってしまう。
「息吐いて中緩めろ」
「うっ、うぅ……ふぅ……」
枕にしがみついたまま、言われた通り息を吐く。
呼吸に合わせて、昂良のものが体の中を前後する。
速く、遅く、深く、浅く、色々な角度から繰り返され、下腹部がじわりと熱を帯び始める。
「んッ……あぅっ」
「ん? ここ気持ちいいの?」
「分かん、な……ッ」
硬い突端に浅い場所を叩かれ、朔斗は声を飲み込んだ。
ある時から、不快感だけだったセックスに未知の感覚を覚えるようになった。
覚えてはいけない感覚を教え込まれているようで、怖い。こんなこと、絶対に駄目なのに。
――――これ以上はおかしくなりそうだ。
腰を掴む昂良の手に何とか指先を伸ばす。
「お、奥、……して……」
「……何なんだよお前、煽んなよ」
微かに声を震わせた昂良の表情を、見る余裕はまるで無かった。
彼のものが先程よりもずっと激しく内壁を擦り上げたからだ。
そこから昂良は我を忘れたように腰を打ちつけ始めた。
ア、と口を開きかけた瞬間に、腰が高く持ち上げられる。
「……昇良、それ……」
「やっぱバックでするの嫌?」
「あ、えと……」
この頃は正常位ばかりだったので、初日と同じ体位での挿入に些か気後れする。
「……分かった、いいよ……」
これも決行日に向けて意思を固めるにはちょうどいいかもしれない。
そんな思いから出した答えだった。
窄まりに熱が触れ、逃げ腰になってしまう背中を押さえ込み、昇良がぐっと体重をかけた。
「んっ、んん……! あっ……!」
どれだけ丁寧に内側を解されていようとも、入ってくる時はいつも苦しくて全身が強張ってしまう。
彼のしなやかな肉体にそぐわない、凶器のようなものに穿たれ、汗が滴る。
痙攣する内腿をさらに割り開かれ、奥深くまで遅々と広げられる。昂良は自身の全てを朔斗の腹の中に収めると、漸く動きを止めた。
「大丈夫? 痛くない?」
「だ、大丈夫……もう、動いて」
「まだ中キツイのに、そんなこと言っていいのかよ」
背後から嘲笑を含んだ声が聞こえる。
――――本音を言えば、行為そのものをやめたい。これ以上、慣れてしまいたくないのだ。
だが今は少しでも痛く苦しいセックスに自身を追い込まなければいけなかった。
全ては彼を憎むため、戸惑うことなく復讐する為だった。
朔斗は昂良の声に頷いた後、
「……早く」
と小さく訴えた。
一瞬躊躇した気配が去り、内部を満たしているものが鈍く動き出す。シーツに爪を立て、内部を殴打する衝撃に耐える。
抜け切らない位置までゆっくりと身を引いた昂良が、腰を鷲掴みにして一気に最奥を突き上げた。
「ああっ!」
潤滑剤のおかげで切れてはいないようだが、内側の苦痛は圧倒的で、1ミリも動けなくなってしまう。
「息吐いて中緩めろ」
「うっ、うぅ……ふぅ……」
枕にしがみついたまま、言われた通り息を吐く。
呼吸に合わせて、昂良のものが体の中を前後する。
速く、遅く、深く、浅く、色々な角度から繰り返され、下腹部がじわりと熱を帯び始める。
「んッ……あぅっ」
「ん? ここ気持ちいいの?」
「分かん、な……ッ」
硬い突端に浅い場所を叩かれ、朔斗は声を飲み込んだ。
ある時から、不快感だけだったセックスに未知の感覚を覚えるようになった。
覚えてはいけない感覚を教え込まれているようで、怖い。こんなこと、絶対に駄目なのに。
――――これ以上はおかしくなりそうだ。
腰を掴む昂良の手に何とか指先を伸ばす。
「お、奥、……して……」
「……何なんだよお前、煽んなよ」
微かに声を震わせた昂良の表情を、見る余裕はまるで無かった。
彼のものが先程よりもずっと激しく内壁を擦り上げたからだ。
そこから昂良は我を忘れたように腰を打ちつけ始めた。
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