59 / 74
sway
18-4
しおりを挟む
久方振りに訪れる美叶の墓は、案の定土埃を被っており、いつ置いたかも知れない花も枯れていた。
「……やっぱりあいつら来てないな」
思わず吐き捨てると、昇良が砂埃を手で払いながら呟いた。
「俺も死んだら、こうやって世間体の為に立てられた墓で放置されんのかな」
「親の知らないところで死ぬしかないよね、それか奴らよりも長く生きるかかな」
墓石を清掃する手が、小刻みに震える。今目の前にあるものが美叶の墓石じゃなければ、間違いなく殴っていた。両親に対しては、怒り以外の感情が無いのだ。
「……お前って意外に図太いよな。そんな奴だったっけ? 初めはあんなにわんわん泣いてたのに」
「あれは生理的な涙だよ」
墓石の清掃を終え、朔斗は項垂れるように膝をついた。後悔と自責の念に苛まれる中、合掌する。
「……親だからって逆らえずに居たけどさ、もっと早くに反抗してれば美叶は死なずに済んだのかな……」
「多分お前の所為じゃないよ」
囁き、昇良はしゃがみ込んで手を合わせた。
「……やっぱりあいつら来てないな」
思わず吐き捨てると、昇良が砂埃を手で払いながら呟いた。
「俺も死んだら、こうやって世間体の為に立てられた墓で放置されんのかな」
「親の知らないところで死ぬしかないよね、それか奴らよりも長く生きるかかな」
墓石を清掃する手が、小刻みに震える。今目の前にあるものが美叶の墓石じゃなければ、間違いなく殴っていた。両親に対しては、怒り以外の感情が無いのだ。
「……お前って意外に図太いよな。そんな奴だったっけ? 初めはあんなにわんわん泣いてたのに」
「あれは生理的な涙だよ」
墓石の清掃を終え、朔斗は項垂れるように膝をついた。後悔と自責の念に苛まれる中、合掌する。
「……親だからって逆らえずに居たけどさ、もっと早くに反抗してれば美叶は死なずに済んだのかな……」
「多分お前の所為じゃないよ」
囁き、昇良はしゃがみ込んで手を合わせた。
64
お気に入りに追加
539
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる