Rely on

sway

18-2

「妹さんの命日いつだっけ」

　昼食を拵えながら、突として昇良が言う。朔斗は僅かに驚いて、その後姿から目を逸らした。彼の機敏な動きを見ながら、スタミナに雲泥の差を感じていたところだったのだ。

「……３月１４日」
「んー、ちょっと早いけど、明後日俺休みだから墓参り行く？」

　そんな事を言ってきたのが意想外で、思わず黙り込む。まさか、微酔した際の発言を、覚えていたとは。

　傍らで、半ば無意識の内にあの日の惨憺たる行為を許そうとした自分に、些か立腹した。

「……遠いよ？」

　語気に、戸惑いが滲む。
　昇良は一考し、振り向いた。

「……お前さ、たしか運転できたよね」
「うん、まぁ……」
「レンタカー借りようぜ。ついでにどっか連れてって」

　またしても思い掛けない提案を食らい、朔斗は呆然としたまま、それを承諾する事しか出来なかった。