Rely on

lie

14-2

「ねぇ、もし僕にちゃんと家族や友達がいたらどうするつもりだったの？」

　行為の余韻が残る寝台で、不図訊ねてみる。かなり唐突な問いだったにも関わらず、昇良は顎に手を添えて一考した。

「……脅して口止めしとくか、殺すつもりだった」

　ギョッと目を瞠る。何となく予想はしていたが、何の躊躇もなく言うものだから、拍子抜けしてしまう。
　間の抜けた顔を見て、彼はクスクスと笑った。

「……なわけねえだろ、何故か確信があったからそんなこと全然考えてなかったわ」
「酷い。それって僕が寂しい人間だって、最初から疑わなかったってことじゃないか」
「まぁな」

　いくら下調べがあったとは言え、孤独であるという確信を持って拉致されていたとは、不服な話だ。

「おいおい、そんな怒んなって。……寂しいもの同士、明日はデートでもしようぜ」
「デート!?」

　驚く朔斗に、またしても昇良が笑い声を上げる。

「本気にすんなよ、お前も此処ばっかじゃ疲れるだろ」

　茶化しているのか、気遣っているのか、はっきりしないところに些か立腹する。

　そして、不満はもうひとつあった。
　彼は寂しいもの同士などと吐ぬかしているが、友人や仲間に恵まれている彼に限って、そんなわけはない。


　――――寂しい人間なのは、きっと僕ひとりだけだ。