Rely on

a scar

8-1

　決して快適とは言えない朝を迎え、遅々と起き上がる。どういうわけかベッドに居て、隣には昇良が眠っている。二人とも真っ裸だ。

　酔い潰れていた為記憶がはっきりしないが、全て覚えていないといえば嘘になる。それがむしろ、朔斗の中のプライドを傷付けた。

　昨夜のセックスは久方振りだったにも関わらず、予想以上にすんなりと昇良を受け入れてしまった。異物感や圧迫感はあったものの、身体が彼の形を覚えたのか、酒によって筋肉が弛緩していたのか、はたまた痛覚が鈍っていたのか分からないが、然程痛みが無かった。

　プライドを切り裂いた原因は、これだけには留まらない。

　――――昨日の、脳を揺らすあの感覚が忘れられない。漠然とした快感が、薄らと残っている。
　朔斗の自尊心を追い詰めた要因、それは、不本意ながらも迎えた絶頂そのものだった。

　自分は男性との性行為を、ついに許容してしまったのだろうかと考える。そうだとすれば、自身が男である事すら疑いたくなってくる。

　思量すればするほどに、忸怩たる思いが込み上げた。