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alcohol
7-2 【挿絵あり】
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空になったグラスに、二杯目の白ワインが注がれる。
酒に不慣れな舌で味わうワインはまろやかな甘さで、不思議と気分を向上させてくれる。
「美味いだろ、遠慮せずもっと飲め。どうせお前のことだから、こんなの滅多に飲めないだろ」
昇良は新しいボトルを開けた。
彼は、ソファーに身を預けグラスを傾ける姿が随分と様になる男だ。
自我が残っているうちに止めなければと思いつつも、横目で見る昇良に飲酒をやめる気配がないので、朔斗も何となく飲み続けた。
「この世っておかしいことばっかだよな、俺らみたいなクズばっかり生き残ってさ……」
昇良が急にそんなことを呟き、気だるそうに天井を仰ぐ。
「……死にたい奴ほど生かされて、生きたい奴ほど死んじまうんだから……」
「あの、もうお酒やめたらどうですか……、だいぶ酔ってみるみたいだし……」
「は、お前も酔ってんじゃん。顔赤いぞ」
「酔ってません……」
「じゃあなんだ? 今度は熱でも出したのか?」
面白がって朔斗の額に手を宛がった昇良だったが、すぐにその表情が強張る。
沈黙が過ぎり、先入した恐怖感から、思わず目を逸らした。
「……お前、なんかさつきに似てるわ……」
思い掛けない台詞に、彼を一瞥する。
「わりぃ、……ちょっと飲みすぎたかも」
自嘲的に笑うも、昇良の視線が朔斗から離れる事はなかった。
上気する顔を直視され、羞恥心が限界に達しかけた時、不意に彼の手が頬に触れた。
酔いが回っている所為で、力が入らない。それどころか、酒に思考力が奪われて、逃げる気すら生まれてこない。
暫く見つめあい、昇良は徐に唇を合わせた。
ゆっくりと唇が離れ、もう一度触れ合う。それを何度か繰り返すうちに、体は熱を帯びていった。
程なくして、塞がれた口唇の隙間から舌が潜り込んでくる。逃すまいと両手で頬を包まれ、口中が支配される。粘膜や唾液が激しく絡み合い、さらに思考は霞んでゆく。
くぐもった声や余裕のない吐息が漏れ、気が付けば、朔斗の体は押し倒されていた。
そこから先は、剥き出しになった欲望を酒の力だけで受け止めるのみだった。
酒に不慣れな舌で味わうワインはまろやかな甘さで、不思議と気分を向上させてくれる。
「美味いだろ、遠慮せずもっと飲め。どうせお前のことだから、こんなの滅多に飲めないだろ」
昇良は新しいボトルを開けた。
彼は、ソファーに身を預けグラスを傾ける姿が随分と様になる男だ。
自我が残っているうちに止めなければと思いつつも、横目で見る昇良に飲酒をやめる気配がないので、朔斗も何となく飲み続けた。
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「酔ってません……」
「じゃあなんだ? 今度は熱でも出したのか?」
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「わりぃ、……ちょっと飲みすぎたかも」
自嘲的に笑うも、昇良の視線が朔斗から離れる事はなかった。
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酔いが回っている所為で、力が入らない。それどころか、酒に思考力が奪われて、逃げる気すら生まれてこない。
暫く見つめあい、昇良は徐に唇を合わせた。
ゆっくりと唇が離れ、もう一度触れ合う。それを何度か繰り返すうちに、体は熱を帯びていった。
程なくして、塞がれた口唇の隙間から舌が潜り込んでくる。逃すまいと両手で頬を包まれ、口中が支配される。粘膜や唾液が激しく絡み合い、さらに思考は霞んでゆく。
くぐもった声や余裕のない吐息が漏れ、気が付けば、朔斗の体は押し倒されていた。
そこから先は、剥き出しになった欲望を酒の力だけで受け止めるのみだった。
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