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alcohol
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食卓を前に、朔斗は瞠目していた。
状況を把握するのに時間が掛かり、席に座ることも出来ない。
昇良に催促されて漸く着席するも、暫くの間固まってしまった。
――――ロールパンの横に、サラダと目玉焼きが置いてある。
飲み物も、普段は水ばかりなのに今日は麦茶になっている。
毒が仕込んであるんじゃないかと訝るが、もたもたしていると何をされるか分からないので、仕方なくロールパンを口に含む。
恐る恐るサラダにも手をつける。久方振りに食べる野菜が、体内を潤してゆく。程好い塩加減の目玉焼きも、一ヶ月ぶりともなれば感動するほどに美味しい。
恐怖と疑念、そして驚喜が鬩ぎ合い、感情が混沌とする。
「……仕事行ってくるから、食べ終わったら皿は机にそのままにしとけよ」
「は、はい」
こちらには見向きもせずに、彼は業務用の鞄を持って家を出た。
まるで人が変わったみたいだ。
数日前から様子がおかしいことは明確なのだが、それ以外に分かる事が何もない。
ごくりと息を呑む。
どうやら人は、事態が唐突に好転すると、恐れを抱いてしまうらしい。
昇良が帰宅した22時頃、唐突に呼び出しを受け、畏縮しつつも布団を出る。
奇妙だ。いつもは彼が寝室に来るのに、今日は居間に来いと言うなんて。
様々な予測をするが、どれも拷問まがいのものばかりで、胃が痛くなる。
竦みそうになる足で居間に辿り着くと、ソファーに座っていた昇良が手招きをした。
「隣、座れ。一緒に飲もうぜ」
机には、数種類のワインボトルが整然と並べられていた。
状況を把握するのに時間が掛かり、席に座ることも出来ない。
昇良に催促されて漸く着席するも、暫くの間固まってしまった。
――――ロールパンの横に、サラダと目玉焼きが置いてある。
飲み物も、普段は水ばかりなのに今日は麦茶になっている。
毒が仕込んであるんじゃないかと訝るが、もたもたしていると何をされるか分からないので、仕方なくロールパンを口に含む。
恐る恐るサラダにも手をつける。久方振りに食べる野菜が、体内を潤してゆく。程好い塩加減の目玉焼きも、一ヶ月ぶりともなれば感動するほどに美味しい。
恐怖と疑念、そして驚喜が鬩ぎ合い、感情が混沌とする。
「……仕事行ってくるから、食べ終わったら皿は机にそのままにしとけよ」
「は、はい」
こちらには見向きもせずに、彼は業務用の鞄を持って家を出た。
まるで人が変わったみたいだ。
数日前から様子がおかしいことは明確なのだが、それ以外に分かる事が何もない。
ごくりと息を呑む。
どうやら人は、事態が唐突に好転すると、恐れを抱いてしまうらしい。
昇良が帰宅した22時頃、唐突に呼び出しを受け、畏縮しつつも布団を出る。
奇妙だ。いつもは彼が寝室に来るのに、今日は居間に来いと言うなんて。
様々な予測をするが、どれも拷問まがいのものばかりで、胃が痛くなる。
竦みそうになる足で居間に辿り着くと、ソファーに座っていた昇良が手招きをした。
「隣、座れ。一緒に飲もうぜ」
机には、数種類のワインボトルが整然と並べられていた。
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