14 / 74
dead end
4-1
しおりを挟む
バタン、とドアが鳴り、人の気配が消える。
いつもならまだ眠っているのだが、今日はとある目的のため、早々と布団を出た。
ナイトテーブルに置かれたロールパンの大袋には見向きもせず、そっと廊下を覗き込む。やはり、昇良の姿はない。
やけに調和の取れた空間を忍び足で徘徊し、床やら天井やらを観察する。どれだけの経済力があれば、こんな家に住めるのかと純粋に感心してしまう。
見たところ、監視カメラは設置されていないようだ。
だが、安心するにはまだ早い。
玄関を出ればあとは遁走するのみだが、そこまでにどんなトラップが仕掛けられているか分からない。
十分に警戒しつつ廊下を歩くと、一寸先に広い玄関が見えた。
瞬間、脳内にバチバチと電流が散り、ナイフで刺されくずおれる自身を映す。
竦みかけた足を何とか前進させ、やっとの思いで玄関に辿り着いた。
その時、靴箱の上で何かが動いた。
恐る恐る正体を確かめる。そして、言葉を失う。
――――カメラだ。それも、スピーカー付きの。
写真レンズは狼狽する朔斗を不気味に追いかけ、彼を見据えたまま、動きを止めた。
≪まさか、逃げようって言うんじゃないだろうなあ?≫
突然スピーカーが音声を発し、驚きのあまり壁に背をぶつける。
紛れも無く、昇良の声だ。
スピーカーがある時点で察してはいたが、このカメラには遠隔操作機能がついている。
此処には子供もペットもいない、それなのに。
IPカメラまで用意しているなんて。
今回の犯行は計画されたものだったのだ。選定や下調べの為、随分と前から監視されていたに違いない。
ぞっと肌が粟立ち、全身が震え上がる。
≪今から帰るから、そこで待ってろよ。少しでも動いたら……うーん、それはまた考えとくわ≫
通告は有耶無耶に終わり、その曖昧さがさらに恐怖を誘う。
一歩も動かずへたり込み、冷えた廊下の上で震えが治まらない膝を抱えた。
いつもならまだ眠っているのだが、今日はとある目的のため、早々と布団を出た。
ナイトテーブルに置かれたロールパンの大袋には見向きもせず、そっと廊下を覗き込む。やはり、昇良の姿はない。
やけに調和の取れた空間を忍び足で徘徊し、床やら天井やらを観察する。どれだけの経済力があれば、こんな家に住めるのかと純粋に感心してしまう。
見たところ、監視カメラは設置されていないようだ。
だが、安心するにはまだ早い。
玄関を出ればあとは遁走するのみだが、そこまでにどんなトラップが仕掛けられているか分からない。
十分に警戒しつつ廊下を歩くと、一寸先に広い玄関が見えた。
瞬間、脳内にバチバチと電流が散り、ナイフで刺されくずおれる自身を映す。
竦みかけた足を何とか前進させ、やっとの思いで玄関に辿り着いた。
その時、靴箱の上で何かが動いた。
恐る恐る正体を確かめる。そして、言葉を失う。
――――カメラだ。それも、スピーカー付きの。
写真レンズは狼狽する朔斗を不気味に追いかけ、彼を見据えたまま、動きを止めた。
≪まさか、逃げようって言うんじゃないだろうなあ?≫
突然スピーカーが音声を発し、驚きのあまり壁に背をぶつける。
紛れも無く、昇良の声だ。
スピーカーがある時点で察してはいたが、このカメラには遠隔操作機能がついている。
此処には子供もペットもいない、それなのに。
IPカメラまで用意しているなんて。
今回の犯行は計画されたものだったのだ。選定や下調べの為、随分と前から監視されていたに違いない。
ぞっと肌が粟立ち、全身が震え上がる。
≪今から帰るから、そこで待ってろよ。少しでも動いたら……うーん、それはまた考えとくわ≫
通告は有耶無耶に終わり、その曖昧さがさらに恐怖を誘う。
一歩も動かずへたり込み、冷えた廊下の上で震えが治まらない膝を抱えた。
74
お気に入りに追加
511
あなたにおすすめの小説
『僕は肉便器です』
眠りん
BL
「僕は肉便器です。どうぞ僕を使って精液や聖水をおかけください」その言葉で肉便器へと変貌する青年、河中悠璃。
彼は週に一度の乱交パーティーを楽しんでいた。
そんな時、肉便器となる悦びを悠璃に与えた原因の男が現れて肉便器をやめるよう脅してきた。
便器でなければ射精が出来ない身体となってしまっている悠璃は、彼の要求を拒むが……。
※小スカあり
2020.5.26
表紙イラストを描いていただきました。
イラスト:右京 梓様
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
特殊な学園でペット扱いされてる男子高校生の話
みき
BL
BL R-18 特殊な学園でペット扱いされてる男子高校生が、無理矢理エロいことされちゃう話。
愛なし鬼畜→微甘 貞操帯 射精管理 無理矢理 SM 口淫 媚薬
※受けが可哀想でも平気な方向け。
高校生×高校生
※表紙は「キミの世界メーカー」よりお借りしました。
凪に顎クイされてる奏多イメージ
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる