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第五話
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「この前三宅くんが聞いてくれたこと、頑張って思い出してたんだけどー」
ピクトさんがそう切り出したのは、あれから4日が経った日のことだ。
自分でした質問への回答だというのに、俺は緊張感を隠せない。
ごくりと息を呑んで、ピクトさんの言葉を待った。
「あのねー、お酒をたくさん飲んで、屋上に上ったところまでしか思い出せなかったんだー」
「屋上に……?」
「そう! あの日は風がすごく気持ちよくて、星が綺麗だったんだよー!」
ピクトさんの回想に、俺の脳は無意識に映像を付け足した。
泥酔したスーツの男性が、屋上に佇んでいる光景だ。
それがただの天体観測ならよかったのに。
俺はピクトさんに根掘り葉掘りと尋ねることもできないまま、勝手に立てた憶測に遣る瀬無い気持ちになった。
もし、ピクトさんが前世で過酷な人生を歩んでいたとしたら。
ベッドに寝そべって、不思議な友人について考える。
――――そうだとしたら、全てを思い出す前に、彼の脳内を幸せな記憶で埋め尽くしてしまいたい。
ピクトさんがそう切り出したのは、あれから4日が経った日のことだ。
自分でした質問への回答だというのに、俺は緊張感を隠せない。
ごくりと息を呑んで、ピクトさんの言葉を待った。
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「屋上に……?」
「そう! あの日は風がすごく気持ちよくて、星が綺麗だったんだよー!」
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それがただの天体観測ならよかったのに。
俺はピクトさんに根掘り葉掘りと尋ねることもできないまま、勝手に立てた憶測に遣る瀬無い気持ちになった。
もし、ピクトさんが前世で過酷な人生を歩んでいたとしたら。
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