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relieving
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寒空の下で堪能する露天風呂は、心なしか何時もよりも温かい。広々とした浴槽も、男二人が入れば些か窮屈ではあるのだが――――。
朔斗は先程から一点を見つめてばかりいる昂良を見遣った。目線の先には、満点の星空だ。何も無いからこそ際立つ星々や月の明かりは、沈黙すら情緒に変えてくれる。
昂良は自身の誕生日に、何を考えているのだろうか。
彼も誕生日には、きっと良い印象を抱いていない。どちらかと言えば、悪い思い出ばかりが蘇ってしまう事は想像に難くない。
況してや今隣にいるのは去年自分を殺そうとした人間で、それでいてこんなにも穏やかな顔をしていられることが、朔斗にとっては奇妙だった。
しかし、こう考えるたびに一瞬で思い直るのだ。
酷いことをされたのに、何らかの愛情の類を抱いているのはお互い様なのだから、自分だって奇妙なのだと。
誕生日祝いの小旅行も、奇妙に思えてくる。
こんな時ですら、昂良との性行為が頭から離れない自分も。
思考しながら見つめていると、突然湯の嵩が減った。徐に顔を上げれば、昂良の濡れた肉体が映る。
「あんま長いこと入ってると、のぼせるぞ。俺先出てるな」
頷き、浴槽にひとり残る。
双方が全裸である状況から、絶対にくっついてくるかと思っていたので、拍子抜けしてしまう。
あまりに意外な展開に数分間呆然としたあと、朔斗ももたもたと寝室に向かった。
朔斗は先程から一点を見つめてばかりいる昂良を見遣った。目線の先には、満点の星空だ。何も無いからこそ際立つ星々や月の明かりは、沈黙すら情緒に変えてくれる。
昂良は自身の誕生日に、何を考えているのだろうか。
彼も誕生日には、きっと良い印象を抱いていない。どちらかと言えば、悪い思い出ばかりが蘇ってしまう事は想像に難くない。
況してや今隣にいるのは去年自分を殺そうとした人間で、それでいてこんなにも穏やかな顔をしていられることが、朔斗にとっては奇妙だった。
しかし、こう考えるたびに一瞬で思い直るのだ。
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こんな時ですら、昂良との性行為が頭から離れない自分も。
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「あんま長いこと入ってると、のぼせるぞ。俺先出てるな」
頷き、浴槽にひとり残る。
双方が全裸である状況から、絶対にくっついてくるかと思っていたので、拍子抜けしてしまう。
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