Rely on -each other-

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relieving

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 3月も中旬に差し掛かり、随分と春らしくなってきた。とは言え日没後は10℃を下回る為、キッチンに立っていても肌寒さを感じる。
 朔斗は冷え切った屋外から帰宅する昂良の為に、暖房の温度を2℃上げた。居間が程良く暖まってきた頃、ただいまと言う声と共にドアが開いた。

 昂良の右手には通勤の際に使用している合皮のトートバッグと、見慣れない紙袋がある。

「これ、朔斗にあげる」

 問い掛ける前に差し出された紙袋を覗き込むと、この近辺では有名なクッキー専門店のロゴが目に入ってきた。

「何これ」
「なんか、誕プレだって」

 昂良の誕生日――3月20日――まではまだ一週間ほどある。少し早めの誕生日プレゼントに、去年同様羨ましいと呟きたくなるのを抑え、適当な相槌を打った。

 一方昂良はと言うと、そんなもの興味すら湧かないと言わんばかりに、背を向けてしまった。すかさず袖を掴み、目が合うなり首を横に振る。

「……昂良が貰ったものなんだから昂良が食べなきゃ」
「じゃあご飯食べたら、一緒に食べようぜ」

 昂良は朔斗から紙袋を取り上げると、それをそのままテーブルに置いて、シャワールームへと歩いていった。

『こういうのって一種の仕来たりみたいなものだろ。多分、金持ってるやつと繋がっていたいだけだ』

 一年前に昂良が放った言葉を、はっきりと覚えている。
 当時は贅沢な悩みだと内心かなり腹が立ったし、今だって当然良い気持ちにはならない。

 しかれども、この一年で彼に対しての理解が深まり、どうしてそう思うのか想像出来るくらいにはなった。

 同時に、自身にしてくれたように、昂良の誕生日も祝ってみようかと言う考えが、自ずと浮かぶのだった。
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