25 / 63
know
4-1
しおりを挟む
午前11時。朔斗は昂良を見送ってから、キッチンに立った。
冷蔵庫を開け、必要な調味料を一つずつカウンタートップに並べていく。そうして徐に醤油を手に取った時、あ、と動きを止めた。
醤油は無くなりかけていた。数日前に同じ動作をしたことを今更思い出す。念の為確認したパントリーにも、予備は見当たらない。メモしておくんだったと後悔しながらも、すぐに思考を切り替えた。メニューを変えればいいのだ。
『なんか和食、食べたくなってきたな』
昨夜、グルメ番組を見ていた時に聞いた昂良の独言が、頭を過った。その時から、今日の昼は和食にすると決めていた。忽ち和食以外の選択肢が切り捨てられ、数秒間立ち尽くした。
昂良の行き先は、遠方の心療内科だ。友人にバレることを恐れて、わざわざ電車を乗り継いでいるらしい。恐らく、あと二時間は帰ってこないだろう。
朔斗は調味料を仕舞い込むと、重い腰を上げてショルダーバッグを背負った。
せっかく家から出てきたのに、醤油だけを買って帰るのは勿体無い。ただそれだけの理由で、無目的にフードコートに立ち寄る。
数ある店舗の中でも一際魅力的に映ったのは、クレープ屋だ。真っ先にチョコクレープへと視線が移動する。しかし、近付きはしなかった。
男が一人でクレープを食べるなんて絶対変だ。それに、間食ひとつの値段にしてはあまりにも高すぎる。帰宅すれば昼食を食べるし、今クレープを買う必要性は全く無い。
あれこれと考えて、どこか遣り切れない気持ちのまま踵を返す。一階にあるスーパーに向かう為、朔斗はエスカレーターを探した。
「新商品、入荷してまーす! いかがですかー!」
快活な女性の声に、思わず歩みが止まる。声の方向を見遣ると人集りが出来ていた。
“今話題になっている超あったかアイテム”と書かれたプレートの下には、黒色のダウンベストが陳列されていた。
冷蔵庫を開け、必要な調味料を一つずつカウンタートップに並べていく。そうして徐に醤油を手に取った時、あ、と動きを止めた。
醤油は無くなりかけていた。数日前に同じ動作をしたことを今更思い出す。念の為確認したパントリーにも、予備は見当たらない。メモしておくんだったと後悔しながらも、すぐに思考を切り替えた。メニューを変えればいいのだ。
『なんか和食、食べたくなってきたな』
昨夜、グルメ番組を見ていた時に聞いた昂良の独言が、頭を過った。その時から、今日の昼は和食にすると決めていた。忽ち和食以外の選択肢が切り捨てられ、数秒間立ち尽くした。
昂良の行き先は、遠方の心療内科だ。友人にバレることを恐れて、わざわざ電車を乗り継いでいるらしい。恐らく、あと二時間は帰ってこないだろう。
朔斗は調味料を仕舞い込むと、重い腰を上げてショルダーバッグを背負った。
せっかく家から出てきたのに、醤油だけを買って帰るのは勿体無い。ただそれだけの理由で、無目的にフードコートに立ち寄る。
数ある店舗の中でも一際魅力的に映ったのは、クレープ屋だ。真っ先にチョコクレープへと視線が移動する。しかし、近付きはしなかった。
男が一人でクレープを食べるなんて絶対変だ。それに、間食ひとつの値段にしてはあまりにも高すぎる。帰宅すれば昼食を食べるし、今クレープを買う必要性は全く無い。
あれこれと考えて、どこか遣り切れない気持ちのまま踵を返す。一階にあるスーパーに向かう為、朔斗はエスカレーターを探した。
「新商品、入荷してまーす! いかがですかー!」
快活な女性の声に、思わず歩みが止まる。声の方向を見遣ると人集りが出来ていた。
“今話題になっている超あったかアイテム”と書かれたプレートの下には、黒色のダウンベストが陳列されていた。
46
お気に入りに追加
221
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
学園の卒業パーティーで卒業生全員の筆下ろしを終わらせるまで帰れない保険医
ミクリ21
BL
学園の卒業パーティーで、卒業生達の筆下ろしをすることになった保険医の話。
筆下ろしが終わるまで、保険医は帰れません。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
冴えないおじさんが雌になっちゃうお話。
丸井まー(旧:まー)
BL
馴染みの居酒屋で冴えないおじさんが雌オチしちゃうお話。
イケメン青年×オッサン。
リクエストをくださった棗様に捧げます!
【リクエスト】冴えないおじさんリーマンの雌オチ。
楽しいリクエストをありがとうございました!
※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる