Rely on -each other-

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interrogative

3-2

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 あらぬ誤解を招かないよう、昂良と距離をとって歩く。家に戻れば指を絡ませ、肌を密着させ、体を繋げるのに、外ではこの有様だ。異様だと自覚しながらも、未だに“二人きりでない時は普通であること”を意識してしまう。

 コスメショップの紙袋片手に前を歩く彼が、振り向いて徐に立ち止まる。朔斗も反射的に足を止めたが、すぐに駆け寄った。

「昼飯、ここで食べてく?」
「……あぁ、うん。そうしよっか」
「フードコートで良い?」

 頷き、足並みを揃える。つい癖で、両手はポケットに隠した。




 特に希望がなかった為フードコートに同行したが、正直なところ店の数が多い故に、選定するのに苦労する。

 選ぶのが苦手、という事に気付いたのも昂良と暮らし始めてからだ。
 それまでは朔斗の人生に選択肢と言うものが存在しなかった。

 衣類は親から与えられるものしか着なかった。外食先では一番安価なものを選ぶのが、暗黙のルールだった。こっそり買ったおもちゃを売り飛ばされたことで、手に入れるだけ無駄だと知った。なので、特段欲しいものも無かった。

 選択肢がたくさんある場合、一番安価なものを選ぶ。そのルールは朔斗の中に未だ残り続けている。

 一通り店舗を見終わると、朔斗はハンバーガーチェーン店へと歩いた。美味しさと安さを売りにしているハンバーガー屋で、平日であるにも関わらず列が出来ている。巧みな客捌きのおかげで、すぐに順番が来た。ハンバーガーをひとつワンコインで購入し、予め二人で決めておいた席に戻る。

「あれ? 朔斗そんだけ?」

 トレーに乗ったハンバーガーを見て、昂良が目を丸くした。スープ付きのローストビーフ丼を食べようとしている人間からすれば、たしかに不思議な光景なのかもしれない。 

「……俺のちょっと食べる? あ、もしかしてデザート食べるために少なくしてるとか?」
「ううん、そうじゃなくて……何か食べれればそれで良いから」
「どうせならもっと美味しいもの食べれば良いのに。朔斗にはもう自由に使える金があるんだからさ」

 酸鼻な過去を背負う昂良の言葉には、何処となく重みがある。

 幼い頃から暗黙のルールに従ってきた朔斗は、いつしかそのルールに疑問すら持たなくなっていた。
 しかし、昂良の言う通り、今は自由に使える金がある。親の監視下では無いのだから、そもそもルールは必要ない。欲が無くたって、経験を積むと思えば良い。

 発言した相手は昂良だったからこその説得力に、朔斗は何度か頷いて、もう一度フードコートを見回した。

 
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